紙の本
思いついた作家はいても、誰も実際に書くことはできなかった。そんな推理小説。
2021/08/14 15:23
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:アントネスト - この投稿者のレビュー一覧を見る
『建築屍材』で第11回鮎川哲也賞を受賞した著者が第7回の同賞に応募した作品の改稿版。審査員でもある鮎川哲也に強く支持されながらも、惜しくも受賞を逃し、その後、自費出版され一部のファンを唖然とさせた怪作にして傑作です。
幾人かのミステリ作家が思いついたであろう――が、どう考えても実現不可能なので結局あきらめたであろう本作の趣向は、読者を間違いなく惑わし、解決に至って呆然とさせるでしょう。
紙の本
そして誰もいなくなった
2024/01/19 22:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
を開いた最初のページに『読者への挑戦』があります。
目次や本のタイトルよりもまず『読者への挑戦』がある挑発的な構成に驚きました。
そして、『雪の山荘』の定番要素、
吹雪による、クローズド・サークル。連続殺人、雪の足跡問題、手口の違う殺人
などが豊富に盛り込まれているのも好みです。
新しさは見えないかもしれない。
でもそんな定番とも言えるコテコテな本格が好きな自分は中々楽しめました。
が、探偵の魅力や説明具合からなのか、
納得できて楽しめた真相に魅力が残らず、
ラスト失速してしまった印象でした。
とはいえ、やはり真相は凄いの一言
投稿元:
レビューを見る
本格ミステリにして、愛すべきバカミス。突っ込みどころは多いけれど、そこはそれ。ただ、巻頭の「読者への挑戦状」は・・・?
投稿元:
レビューを見る
雪の山荘ミステリで、そして誰もいなくなったパターンです。兜虫の亡霊や断頭台など、あやしげな道具立てもばっちり。これは食いつかずにはいられませんねえ。
ストーリー展開は王道に思えましたが。うわ、とんでもないっ! 随所に傍点が振られたあからさまに怪しい部分はたくさんあって、伏線だなとは思ったのですが。この真相は読めなかった~。
なんといっても「兜虫の亡霊」が凄すぎます。これ、悪夢に見てしまうかもしれません……。
投稿元:
レビューを見る
湖畔の山荘に集った6人。
ひとりが誰かに殺された。
犯人は5人のなかのひとり。
またひとり殺された。
犯人は4人のなかのひとり。
やがて最後の6人目が死に手記だけが残された―。
うわぁ~、凄い。初・門前さんですが凄すぎです。
98年頃に出されていた作品の復刊らしいですが、さもありなん。
これだけの作品を埋もれさせてはいけません。
なにしろしょっぱなに「読者への挑戦状」があるのです。
目次の前、中表紙の次ですよ。どれだけ自信があるのか、って。
というか、もう絶対にこんな真相には辿り着けませんから。
後から読み返して、ああそういうことか、と思うのみです。
とはいえ、これはかなりの奇想なんで、けっこう評価が分かれるでしょう。
許せない人は許せないだろうなぁ。
しかしよく考え付いたな、と。そこにまず感心・感服してしまいます。
そしてダメ押しの言葉遊び。
ここまで綺麗にまとめられるともう笑うしかありません。
大好きなクローズドサークルものにこんな名作があったなんて。
でも一番印象に残ったのはカブトムシです・・・。
投稿元:
レビューを見る
久しぶりに本格を味わう…って、これは本格なのか?殺人のトリック&動機は「おいおい…(汗)」って部分もなきにしもあらずだが、それよりも厭な後味を残すドロドロとした全体の構造と「兜虫」の正体に☆3つ。もう少しキャラクターに魅力があればなぁ…。とはいいつつ、このジャンルは謎解きメインだもんな…やんぬるかな。
投稿元:
レビューを見る
バリバリの雪の山荘物で登場人物も雰囲気もそれなりにあって、探偵さんたちもよくいるタイプ。さくさく読んで最後に巴投げくらった気分。あれはないよ~と思うか。まあなんでもありかと開き直るか。
投稿元:
レビューを見る
ちょっと無理があるんじゃないかと思う箇所はあったけれど、
全体として楽しめました。
「屍の命題」か、なるほどと乾いた笑いが出るも妙に納得
投稿元:
レビューを見る
本作も、「僕は秋子に借りがある」同様、書評を読んで手に取った作品。 ん〜む・・・。 絶対に、ネタバレしてはいけない作品なのでしょうね。 しかし、まぁ、作家というのは、特にミステリ作家というのは、いろいろ考えますなぁ。 とにかく、お疲れ様でしたとしか言いようがございません。
投稿元:
レビューを見る
周り回った殺人が…、てな具合。
メイントリックはおお!と思ったんだけれど、ちょっとこう、もやもや感が残るのは文体が好みでない故か。
投稿元:
レビューを見る
雪山で行方不明になり死亡したとされる美島教授の記念館に招かれた関係者たち。教え子である篠原、蓑田、真標、友人である雅野医師、雅野医師の患者で推理作家の阿武澤、友人の鷹舞。怪我で屋敷に来られなくなった美島夫人。雪の中の山荘に閉じ込められた6人。顎を砕かれ死亡した真標の遺体。雪の密室。湖で発見された蓑田の遺体。ギロチンで身体を2つにされた雅野、毒殺された鷹舞。篠原が見た兜虫の亡霊の謎。全員死亡後に自殺した篠原を殺人犯とした警察。篠原の妹の依頼で捜査に当たる蜘蛛手。招待された客たちの関係と美島夫人の秘密。
市川図書館
投稿元:
レビューを見る
一言で言うと、バカミスの傑作。
これぞ純度100%の愛すべきバカミスだと思った。
『建築屍材』の巻末に収録された鮎川哲也賞の選評で
鮎川哲也氏が『建築屍材』以前に鮎川哲也賞に
応募した門前氏の作品のことを触れていて、
鮎川氏は推していたが他の選評者の同意が得られず
受賞に至らなかったという話が紹介されていたのだが、
本作はそのときの『啞吼の輪廻』が『死の命題』として
自費出版された後に、改題・改稿されて出版されたものらしい。
時系列的には『建築屍材』で知り合った蜘蛛手と宮本の
関係性がすでに出来ている状態での話なので
『建築屍材』、『浮遊封館』の後に読んでも違和感はないし
文章としても読みにくいところもなかったので
その辺りは手直しされているのだろうなと感じた。
ただ、本作品が作者にとって本当の意味でのデビュー作に
あたるわけで、そういう意味で作者の本格にかける情熱や
意気込みというものを一番強く感じられた。
冒頭に展開される幻想的なシーンによる作品への引き込みに始まり
別荘に集まるキャラクターもそれぞれ癖があり、特徴がつかみやすく
事件が起こるまでのストーリー展開もまずまずで、
「閉ざされた雪の山荘」というミステリーとして
手垢がついたといってもいい王道ジャンルの中で
水準が高いと思える作品ではないかと思いながら
中盤まで読み進めていってからの、
蜘蛛手登場から事件解明に至る流れは
もう笑うしかないという状況で、ある意味すごく楽しめた。
トリックというか事件の真相としては、力技を超えた力技であって、
いやいやいや、ありえないだろうそんなこと・・・と心のなかで思いつつ
「偶発的要素があったからこそ起こり得た事件だが、
起こりうる確率が限りなくゼロに近くても、
それがゼロでない限りは、偶然的であっても、
それは偶然ではなく必然の出来事であり
必然である以上は論理が存在する」
という蜘蛛手のよくわからない論理展開に
「お、おう」という形で無理やり納得させられるところに
ミステリー読みとしてたまらないカタルシスを感じる。
もっとも、その辺りの作者の立場表明は、
夕食の際の京華と阿武澤の会話に集約されており、
予めエクスキューズがされているといえばされている。
ミステリーはエンターテイメントであると思っている
ミステリー読みに是非オススメしたい作品。
投稿元:
レビューを見る
第一幕では「そして誰もいなくなった」のように、雪の山荘で一人、また一人と殺されていきます。被害者6人に6通りの殺害方法が用いられておりボリューム満点です。
第二幕では建築探偵が事件の解決に乗り出し、第三幕で事件の真相が明かされます。「兜虫の亡霊」は失笑ものですが、奇天烈な真相の連続で圧倒されます。
最後に浮かび上がる事件の全体像も圧巻。ネタに前例はありますが、一手間加えてより良いものになっています。一読の価値がある怪作です。
投稿元:
レビューを見る
初期御手洗のような大技トリックが使われている。「こういうの待ってた」と言いたいが、読後感が良くない。これは、あのカブト虫トリックのせいである。変態版『そして誰もいなくなった』。
投稿元:
レビューを見る
「灰王家の怪人」みたいに本格推理モノって小説としてはサプライズ過ぎて狂ってる!
物語の結末をどんでん返し要素で終わらせたらジェフリー ディーヴァーよりもスゲェ
どんでん返しは結末に関係するので基本的にはミステリーなのでじゃんじゃん人が死んで、人が死ぬのを待つ読者の構図は普通のミステリー(コレはそして誰もいなくなった系)
読後感はコレも「マジかよ、、、」
(?/07/'14)