紙の本
聖書の読み方
2021/08/30 20:23
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投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
難解とされる聖書の読み方を、大学で長く聖書の講義をしてきた著者が、教え子のアンケートをもとになぜ聖書が読みにくいのか、原因と対策を教えてくれる。
聖書に書かれていることをそのまま信じるのではなく、かといって荒唐無稽と切り捨てるのでもない、中立的な読み方で、興味深かった。
紙の本
やはり聖書は理解するのが難しい書であることは理解できた。
2010/07/13 22:12
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る
新訳聖書学を専攻する東大名誉教授が著わした一冊です。
本書前半で現在著者が勤務する二つの学校で学生たちに聖書を読もうとして戸惑った点はどんなところかについて記述させたアンケート結果が掲げられています。その中に、旧約聖書の創世記、出エジプト記と読み継いで、その次のレビ記あたりから読み進むことに苦労を感じるという答えがあり、まさに私の聖書体験と同じだという共感を得ました。そんな私のような読者に聖書の難解さを解きほぐしてくれる書ではないかという強い期待とともに頁を繰りました。
しかし残念ながら私の期待どおりの読書とはなりませんでした。
私が本書を通じて理解できたのは、やはり聖書は理解するのが難しい書であること。そしてそれは読者の読解力の問題ではなく、聖書そのものに読み進めることを妨げる要素が満ちているということです。
「出てくる人物名が多くて読みにくく、大小さまざまな『隙間』もあって話の筋が通らないところも少なくない。読むに読めない戒律集が延々と続くこともある。」(111頁)
その一方で著者はこうも記します。
「聖書の読みづらさこそ、聖書の豊かさの証である。その読みづらさの一因は、聖書が至るところで『隙間』や『破れ』を残していることであった。しかし、そのことは、その著者たちも、パウロの言葉を借りれば、欠け多き『土の器』の人間なのであるから、当然のことである。」(149頁)
とはいうものの、その隙間や破れを人間性のあらわれとして肯定的に眺めつつ聖書を読むだけの技量も度量もまだ私にはなさそうです。
もう少し別の書にあたりながら視野を広げる必要がありそうです。
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世界で一番読まれた本ってことで聖書を一度は読んでみよう!と思って挫折した人は多いはず。自分もその一人です。
この本では、どうして聖書が読みにくいのかという部分を結構しっかりまとめてくれていて、あーそうだなと共感を得ることができる。
ですが、読んだからといってじゃあ聖書が読みやすくなるかといわれたらそうでもないような気もする。原因分析はなかなか知識が無い人にもわかりやすく書かれているが、じゃあどうやって読むか?という方法をしっかり理解するのは結構辛い。
解説書だと思うと物足りないけで、ガイダンス的なものだと思っておくと良いかも
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読むのが難しい聖書を、「どういう気構えで」読むか。ということを提案している本であって、聖書読破の詳細なガイド本というわけではない。
聖書の「読みにくさ」の原因を丁寧に解き明かすことにより、その部分に「いかなる気持ちで挑むか」、聖書に入る前段階からの下準備をさせてくれる。また、聖書の構造を丁寧に説明することで、そもそも聖書とはどういう書物なのかという基礎的な知識を教えてくれることは意味があると思う。
ただ、ではこの本を読めば一度は挫折した聖書がスラスラ読めるかというと、そういうわけではない。「この部分を記述した人々の苦難を理解し」「書き手の経験に踏み込む」といった読み方を提示しているが、具体的に該当の章が書かれた時代背景が詳細に説明されているわけではないから、読み手がそれを実行しようと思えば、結局は他の資料を当たって知識を仕入れるなりの努力が必要になるのではないか、と思う。
聖書が読みにくい理由については、頷けるものもあれば、個人的には首を傾げたくなるものもあるが、そうした点も含めて改めて読破に挑戦する際の心境の整理には役立つだろう。
聖書の一部分だけを取り上げ、聖書はこんなに面白い、だから読みましょうと安易に薦めるだけではなく、読みづらさを踏まえた上での視点は誠実であると思う。
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「聖書の面白さを得々として謳う入門書や概説書は枚挙に暇がない。本書はそれとは逆の道を行く。聖書の読みづらさにすでにつまずいた経験のある人は、実は無数にいるに違いない。その読みづらさの理由をていねいに解きほぐすことこそ、これから初めて聖書を読もうとしている方々にとっても、もっとも親切な聖書入門になるはずである。」(「あとがき」 p. 208)
とある通り、よくある「入門書」とは違って、
読みにくく感じることが当然であって、
どうしてそう感じるのか、
どう考えれば、もっと読みやすくなるのか、
といった視点で書かれている。
この本でいう「読み方」というのは大部分、態度の話で、
実際の解釈の仕方という点では参考文献をあげるに留まっている。
全体的に、非クリスチャン向けに書かれているが、
クリスチャンの方にも読んで頂きたい。
内輪では当たり前となっていて、疑問すら抱かないことが、
外からはどう映るのか、また、そういった人たちと、
どう聖書を読んでいくべきなのか、という点で参考になると思う。
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聖書を読む前の導入本みたいな本。
でも、聖書を全く読まない状態で見るんじゃなくて、ちょっと見てみた後「意味わかんない!」って思った後に読むのがいい。
いろいろ共感できて、おもしろかった。
聖書がよくわからなくて嫌いになった、大学のキリスト教学受講当時にこの本を読みたかった…。
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なぜ聖書が読みにくいのか、という理由を、アンケート結果をもとに整理し、読みにくさの理由や克服の方法などを聖書学の見地から教えてくれる本。旧約聖書、新約聖書、グノーシス主義文書に含まれるそれぞれの文献の案内もある。
キリスト教の信者であるなしに関わらず、宗教的な記述をどのように「自己規制から解き放って、それぞれ自主的に聖書を読む(p.9)」か、ということがメインテーマで、聖書がどのような思考の枠組み、「基本文法」で書かれているかという点が解説されている。さらに、聖書だって神によって書かれたものではなく、人間の手で書かれたものであり、一般の書物と同じように読むことが大事であると説かれている。特に印象的な部分は、「人間は神によって造られたもの」という記述をどう解釈するか、という点で、創世記の創造神話やキリストの復活が非科学的であると退けてしまうことが、いかに稚拙なことか、という点に共感を覚えた。それに、「読者の常識に照らして違和感を呼び起こすところ、意味不明、異質で読みづらいと感じられるところ」こそ「本文の前での新しい自己了解」が得られる(p.149)、や「真の経験は遅れてやってくる」、「周縁ではなく中心に躓かない」といった部分がとても印象的で、他者理解の姿勢、読書の方法などにも役立つと思う。(10/06/12)
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神学の学習をしているが、いまだに聖書はよくわからない。
聖書の読みづらさは、聖書では原則としていつも神を主語として話が進むから。
旧約聖書では終始、神がイスラエル民族の大祖先に与えた救済の約束とそのめまぐるしく変わる行方が中心的な主題である。キリスト教会がそれを自分たちの聖典の一部として受け入れたとき、旧約聖書と呼んだ。そのわけはイエスキリストにおいて神の新しい救済の約束が実現されたと考えたから。
読書はいわば未知の路を行く旅である。旅人の読者は読み進むたびごとに視野に入ってくる新しい景色をその都度総合していく。
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聖書を読む際の道標になる本。系統だてての解説は解りやすかった。宗教としての読む方ではなく、書物としての解釈の仕方は客観性に富み、納得のいくものだった。
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聖書は「神が主語」である・・・がわかりやすい。
対してグノーシスは「人が主語」となる。
入門の入門書。最後の参考文献はいらないかも。全体としてもっと「読み方」についての量を増やしてほしかった。学生への「読みづらさ」調査もいらないかも。
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世界最大のベストセラーである聖書。世界中のあらゆる言語で翻訳されている聖書。けれど、聖職者や研究者を除いて、この書物を通読したことのある人が、いったいどれだけいるでしょう?
本書は聖書の内容を解説したものではなく、聖書がなぜこれほどまでに読みにくいかということを解き明かし、そして、この読みにくい書物を読むには、どうすれば良いかという手ほどきを記したものです。聖書に関する本としては、ちょっと視点がかわっていて、とても興味深い内容でした。
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[ 内容 ]
聖書は信仰をもつ人だけが読むものなのか?本書は聖書を、広く人びとに開かれた書物として読むための入門書である。
特定の教派によらず、自主独立で読む。
聖書学者の著者が、自身の経験と思索をもとに提案する「わかる読み方」。
キリスト教に関心がある人はもちろん、西洋思想を学ぶ人にも格好の手引きとなる。
[ 目次 ]
1 聖書の読みづらさ―青年たちの声と私の経験(「正典」と「古典」であるがゆえの宿命;聖書そのものの文書配列の不自然;異質な古代的世界像;神の行動の不可解)
2 聖書をどう読むか―私の提案(キリスト教という名の電車―降りる勇気と乗る勇気;目次を無視して、文書ごとに読む;異質なものを尊重し、その「心」を読む;当事者の労苦と経験に肉薄する;即答を求めない。真の経験は遅れてやってくる)
3 聖書の読書案内(旧約聖書;新約聖書;グノーシス主義文書)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
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読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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聖書はなぜ読みにくいのか。そもそも通読を前提として作られていない。文書ごとに読んでいけばよい。特定の教派の読み方に縛られる必要はない。
聖書の基本事項が分かりやすくまとめられている。
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読み応えのある本だった。私は子供の頃、教会に通ったこともあるし、近親者にキリスト教の信者もいる。信者ではないが、キリスト教は宗教として身近な存在であるであることは確かだ。クリスマスしかり。この本の中で、著者は「聖書」を「全て正しいことを書いてある本」として盲目的に受動的に読むのではなく、能動的に一つの書物として読むべきである、と主張している。中でも私が印象的であったのは、「声」それも「多声性(ポリフォニー)」ということについて書かれていたことだ。「多声性」が個々に十分に認識されることが「交響性(シュンフォニー)」となり、「一体性」となる、というくだりが一番心に残る。
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学生たちが聖書を読む際に抱く素朴な疑問を出発点として、なぜ聖書は読みづらいのかという考察を通し、聖書をどう読むか提示する本。目次通りにいけば。
Ⅰ部の学生の疑問については回答というよりはこういった疑問があげられているんですよーっと取り上げるだけにとどまり、Ⅱ部の提案についても散漫で聖書をどう読むかという提案の印象は薄く、さらに三部に詰め込まれた読書案内も相まってなんだかごちゃついた感じの本。
取り上げる質問の数や、提案の数を絞ってスッキリさせた方が、もっと伝わりやすかったんじゃないのかなーっつー。
簡単にいえば、聖書はもともとバラバラの文書のアンソロジー(しかもバージョンによって順番ちがう)だから通読するようにできてない。つーわけで読みたい文書ごとに読めばいいし、文書ごとに作者ちがうんだから違和感バリバリ当たり前。わかんねーとこあってもそのうちわかることもあるから無理に納得しようとせずそのままの気持ちを大事に。後、なんつっても何千年も前の外国の、しかも信仰の書だから、聖書学の研究も踏まえると捗るよ、ってなカンジ。