「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
- カテゴリ:一般
- 発売日:2010/10/14
- 出版社: 文藝春秋
- サイズ:20cm/208p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-16-329650-0
紙の本
夏目家順路
著者 朝倉 かすみ (著)
夏目清茂七十四歳、本日脳梗塞のためめでたく昇天いたしました。「どこにでもいるただひとり」の男の一生を、一代記とは異なる形で描いた傑作長編小説。【「BOOK」データベースの...
夏目家順路
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
夏目清茂七十四歳、本日脳梗塞のためめでたく昇天いたしました。「どこにでもいるただひとり」の男の一生を、一代記とは異なる形で描いた傑作長編小説。【「BOOK」データベースの商品解説】
74歳のある日、脳梗塞で亡くなったブリキ職人の夏目清茂。葬儀に集う人々のさまざまな人生が、清茂の死を中心にして交錯する。「どこにでもいるただひとり」の男の一生を描く長編小説。『別册文藝春秋』連載に加筆・修正。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
朝倉 かすみ
- 略歴
- 〈朝倉かすみ〉1960年北海道生まれ。「コマドリさんのこと」で北海道新聞文学賞、「肝、焼ける」で小説現代新人賞、「田村はまだか」で吉川英治文学新人賞を受賞。
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
誠実に生きる男
2011/02/26 10:11
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:こぶた - この投稿者のレビュー一覧を見る
夏目清茂が74歳で突然亡くなった。
彼の一生と彼を取り巻く人々の視点で
人が生きるということを描いている。
「機嫌の良い男」夏目清茂はどんな人生を送ってきたのか
親や兄弟とも縁が薄く学歴もない彼が
ブリキ職人としてコツコツと努力し
結婚、二人の子を得、ささやかな幸せな人生を歩んでいくはずだったが・・・
人間は呼吸を止めるまで生き続ける
息を止めるまでの間
さまざまな出来事が起きて
その都度泣き笑い悲しみ、時には憎しみ、怒り
さまざまな思いを抱いて
打ちのめされるように辛い出来事が起きても
呼吸が止まるまで生き続けなければいけない
生きるということの意味を問いかけられたように感じ
心に響くよい一冊だと思う
紙の本
機嫌のいい男とその周囲の人々
2010/11/03 12:38
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
「夏目清茂は、めでたい男だ」
で始まる、彼と彼の周囲の人々を連作短編でつなぐ物語。
清茂の生い立ちから74歳の現在までを、ざっと振り返ります。
身内の縁の薄い過去から
ブリキ職人として一家を構えるようになるまでは
努力しながらも、努力したとも考えずに機嫌よく暮らしています。
しかし、脳梗塞で亡くなり
息子・直がやってきたり
娘・素子に連絡がとれなくなったり
離婚した妻がやってきたりと
そのありきたりな人生が
実はあまり幸せでもない雰囲気が漂い始めます。
けれど、誰かを助けたこともあることが
明るみになったりもします。
そうなると、やっぱり一般的な人生に帰着していきます。
また、物語は清茂だけではなく、
嫌っていた母親と同じように不倫から離婚を考えている娘、
隣の気のいい中年男――しかし、清茂から見れば若者――の
光一郎の本音、
小6の孫娘・詩織が敏感に観察する大人たちと
多くの人々を語っていきます。
短い中に凝縮された、幾つもの人生がクロスします。
人の営みはエンドレス。
そのなかの一人が亡くなると、
一応の区切りがつくのかもしれません。
紙の本
人生のラストページ「葬儀」、敢えて淡々と描かれるのですがこの技にやられました。
2010/11/08 07:55
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nyanco - この投稿者のレビュー一覧を見る
田舎育ちの清茂、ブリキ職人の修業時代から始まり、実に人が良さそうで世話好きなお爺さん…と息子・直が知る父の姿が描かれる序章。
清茂が実に良い爺さんだった感じが好ましく描かれる。
そしてこの章の最後に不思議な「903」という章タイトルの意味が解る。
う~~ん、巧い、このあたりのセンスが実に朝倉さんらしい。
本のタイトルもインパクトがあるが、各章のタイトルの妙も素晴らしい。
娘、疎遠になっていた親類、かつての近所の悪ガキども、行きつけのスナックのママ…と彼の人生に関わった人たちによって清茂の人生が描かれていく。
そう、葬儀ってそういう場所なんですよね。
疎遠になっていた親戚の娘の父から聞かされていた清茂の話と、息子・直が見ていて父親・清茂像の違いが面白かった。
このあたりがとても朝倉さんらしい。
男を作って家を出た母親に反感を持ちながらも…という娘・素子の話も実に良い。
学校をさぼり、清茂の家にたむろする少年達。
「学校サ行け」「なしてもだ」といいながらも追い出すことなく、温かい目で彼らを見つめる清茂がとても好きだ。
行き場の無かったある少年がそっと焼香に訪れるシーンにジーンとくる。
家を出て行った妻の話も巧い。
夫婦仲が良いと信じていた清茂の心の葛藤が作品のあちこちに実に見事な配分で散りばめられている。
朝倉さんにしてはエキセントリックな部分は無く、全体を通して敢えてサラリと描かれているのだが、何処にでもいそうな人にも、こんなにも様々な物語があり、人と関わって生きてきたのだという当たり前のことが本当に胸にズンと来た。
朝倉さんの代表作となるのではないでしょうか。
私はとても好きな作品です。
紙の本
さまざまな思いがあふれてくる
2010/12/24 18:33
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゆこりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
夏目清茂が、脳梗塞で突然他界した。彼をよく知る人たち、そして彼の
家族が葬儀のため集まってくる。さまざまな人から見た清茂の人間像
とは?一人の人間の生きざまを、多角的にとらえた作品。
物語は清茂が自分の過去を回想するところから始まる。そして清茂の死。
集まってきた人たちは、清茂と過ごした日々をふり返る。あるひとつの
できごとも、人それぞれ受け取り方が微妙に違う。そして、清茂の人物像
も、いろいろな人たちがさまざまな角度からとらえている。読んでいくと、
だんだんと清茂の立体像が浮かび上がってくる。そんな感じだった。
この作品を読んでいると、「自分の生き方について、いったい家族はどんな
ふうに思っているのか?」と気になってしまう。「どんなに深くつき合って
いるつもりでも、その人間の本質に迫ることはできない。」そういう思いも
強く感じる。だが、人は器用には生きられない。自分の思った道を進む
しかないのだ。自分が老いて自分の人生をふり返ったとき何を思うか?
そして、まわりの人たちはどう思うのか?そこに現れる自分の人間像は?
知りたくもあり、知りたくもなし・・・。読んでいて、さまざまな思いが
あふれてくる作品だった。