紙の本
売れ行きと名実共に最高峰の指南書
2015/01/28 01:47
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:おっさそ - この投稿者のレビュー一覧を見る
物書きをやっている者です。
売れているということから、脚本術を知るとっかかりに買った本だったのですが、一年以上経った今でも愛用して、手垢がついてしまうほど使い込んでいる本です。
この本以降も、創作関係の様々な指南書を買って読みましたが、これ以上にわかりやすく、しかも役に立つ原則が書かれている本には今のところお目にかかっていません。
脚本術はシドフィールドが原点と言われていますが、彼の本よりも数倍わかりやすく、読みやすいです。
ぜひ、多くの物書きの方に読んでもらいたい。映画好きの方にもお勧めです。
そしてhontoさん、ぜひ電子版を発売してもらって、いつでもどこでも読めるようにしてもらいたい!
紙の本
危機一髪の猫を助けろ
2015/10/23 07:34
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者のブレイク・スナイダー氏流に、この本のログラインを書くとすれば、「ハリウッドの人気脚本家が売れる秘訣を惜しげもなく披露した脚本術の本」となるだろうか。
もっともこのログラインで出版されるかどうかは別だ。
本を読んだり映画を観たりしたあと、それってどんな本? それってどんな映画? と訊かれて、うまく答えられるかどうか。きっとそこにも才能があるのだろうが、ログラインは作品にとって背骨のようなものだから、そこを巧く書けたら、「じゃあ、プロットでも書いてみて」ということになるのだろう。
ログラインと同じくらいに重要なものに「タイトル」がある。
スナイダー氏は「インパクトのあるタイトルとログラインが組み合わさると、ボクシングの連続パンチみたいにノックアウト確実」とまで書いている。
この本のタイトルは、いい。
「SAVE THE CAT」って何? って、つい手にとってみたくなる。それに「法則」がついているから、この「法則」を使えば、面白い脚本が書けるってこと?
こういう風に「?」がいっぱいつけば、読んでもらえる可能性が増加する。いいタイトルというのは、読者や観客を刺激するのだ。
では、「SAVE THE CAT」とはどういう意味なのか。
日本語に翻訳すると、「危機一髪 猫を救え!」となる。
これはドラマの主人公を観客に「好かれる人物」にする法則なのだそうだ。
スナイダー氏は映画『アラジン』の主人公が盗人で暴れん坊の青年なのに観客が彼に肩入れし応援したくなるのは、盗んだパンを食べようとする場面でお腹をすかした子どもにそれをわけてあげることで観客が主人公の味方になったと分析している。
つまり、危機にひんした猫を助けるだけで、観客が主人公に肩入れできるというわけだ。
こんな具合にこの本が「脚本術」として面白いのは、記述が具体的でわかりやすい(訳は菊池淳子)こと。さすがに実際に脚本を書いている人だけのことはある。
もし欲をいえば、参考例として紹介されている映画に日本映画があればいいのだけれど、さすがにそれは欲張りすぎだ。
紙の本
読みやすい!
2016/02/24 01:24
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:藍玉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ハリウッド映画のシナリオを書いて競売にかけて売っていた著者。
読みやすい語り口で、シナリオに必要な要素をまとめてあります。
でもこれ一つで必ず書けるようになるわけではない。補完するためには別のアプローチからの勉強も必要。でも大切なことや使えるアイデアは書いてあるので、この手の本の中でも使える本です!
創作に関して、売れるモノを描くというのは媚びてることだろうという人がいますが、それは違うのであしからず。
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いわゆるハリウッド式三幕構成をベースとしている脚本術の書籍。軽快な文章で独自の脚本術やルールを紹介している。なんにしても、書かなくちゃ、書こう! という気になる本。前半(1章~4章)の、ログラインやタイトル、BS2の話あたりは日本でいえば企画書作成に役立ちそう。
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この類の本を手に取る機会は、自分がまだまだ書き手として足りていないということを自覚して初めて訪れるわけで。もっと早くても良かったんじゃないかと思いつつ、一生気付かないよりはマシかなとも思ったり。
教本にあまり興味が無かった理由の一つに、偉そうで堅苦しいことばっか書いてあるんだろうな~……ってのがあったんですが、この本は最初から最後まで語り口調で書かれているのでとても親しみやすい。シナリオを書く上で注意すべき点だったり、自分がなんとなく気をつけていることが言語化されてたりするので、とても分かりやすかった。
しかしこれ、去年の夏頃買った本のはずなんですがね、何故読み終えたのが今なんでしょうかね。
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小説を書く際に役立てようと購入。
これは確実に殿堂入り。
ストーリー作りに必要なひな形がわかりやすく、かつイメージしやすい言葉で提示されていて、読み物としても楽しい上に、これに従えばいいものが書ける! という気にさせてくれた。
(実際、抜け落ちチェックなどに重宝しそう)
書く際の心構えなどの精神論ではなく、あくまでも実践編なのがよい。BS2とボードは、これから使っていきたい。
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ハリウッド3幕構成法の理解が進んだ。文章がアカデミックしておらずエンタメ。楽しいし、わかりやすいし、おすすめ。
「Chapter2 同じものだけど・・・違った奴をくれ!」
自分の作品がどのジャンルに属する作品かを知る。全く新しいジャンルはまずない。自分の作品は、本質的にどのジャンルになるのか理解し、そのジャンルのストーリーの本質を理解する。
それぞれのひな形を研究し、ストーリーを構成する歯車がどう組み合わさり、どう機能しているのかよく考える。
これってパクリじゃない? と思ったら、パクるのをやめなさい。
これってお決まりのパターンじゃない? と感じたら、ひねりを加えなさい。
こういうやり方よくあるなあと思ったら、多分その通りだから新しい方法を考えるべきだ。
でもまずはお決まりのパターンを使いたくなる理由と利点を知ろう。
パターンやルールが生まれるのには、それなりの理由がある。
ルールをしっかり理解して、応用できるようにする。
そういったものに制約されている感覚がなくなり、ものすごく解放感を感じるはずだ。
打ち破りたいものを理解して、初めて創造性を発揮できるのだから。
「Chapter3 ストーリーの主人公は?」
設定された状況の中で一番葛藤する
感情が変化するのに一番時間がかかる
楽しんでもらえる客層の幅が広い!
主人公は、何があっても顧客が応援したくなる人物でなければならない。
少なくとも観客が、主人公の行動の動機や感情を理解できる人物でなければならない。
「Chaputer4 さあ分解だ」
(ハリウッド3幕構成法)
全体:110分
論理的ミッドポイント:55分頃
論理的第1幕(1~25)
論理的第2幕(26~85)
論理的第3幕(86~110)
<第1幕:1分~25分>
オープニング(1)
テーマの提示(5)
セットアップ(1~10)
きっかけ(12)
悩みのとき(12~25)
第1ターニングポイント(25)
<第2幕1:26分~55分>
サブプロット(30)
お楽しみ(30~55)
ミッド・ポイント(55)
<第2幕2:56分~85分>
迫りくる悪い奴ら(55~75)
全てを失って(75)
心の暗闇(75~85)
第2ターニングポイント(85)
<第3幕:86分~1110分>
フィナーレ(86~110)
ファイナル・イメージ(110)
セットアップ:主人公に必要なもの、足りていないものがある時は、最初の10分、セットアップでしっかり見せる。繰り返しのモチーフや伏線になる。
第1ターニング・ポイント:一幕と二幕の境目は、古い世界を出て、正反対の世界に進む瞬間である。二つの世界はあまりに違うため、明確な意志が必要になる。何故25分に第1ターニング・ポイントがあるのか? そうなっているからだとしか言い様がない。(映画たくさん見てこの理由説明実感)
サブプロット:メインプロットから抜けて一息つく場。第一幕から突然第二幕になると、観客は混乱する。観客にとってのちょっとした息抜き。作品のテーマを伝えたり、ストーリーを前���させるブースターロケット的な役割もする。
お楽しみ:映画の宣伝で使われるようなその作品の最大のアピールポイント。
ミッド・ポイント:上映時間のちょうど中盤。主人公が絶不調か絶好調の状態にある。絶不調ならその後好転。絶好調ならその後沈む。
全てを失って:75分頃。主人公が死や大きな喪失を経験する。直接の死ではなくても、死や喪失を連想させるイメージが出てくる。古い世界、古い考えが沈む。(本当にどんな映画やドラマでも出てくるから不思議)
心の暗闇:全てを失って絶望の淵にいる時。
第2ターニングポイント:絶望の淵で、天啓を得るところ。最善の解決策が見つかる。
フィナーレ:全てのまとめ。主人公の直すべき点が全て直り、勝利で終わる。新しい秩序が始まる。これも主人公が死を経験したおかげ。
コメディーでも何でも、映画はこの構成で作られる。批判したけりゃヒットした映画を見て見たらいい(実際そうなってました)。
「chapter5 完璧なボードを作る」
ミッド・ポイントで主人公は偽の勝利に酔いしれるか、偽の敗北にうちのめされる。こうしておくと、その後の展開が作りやすい。
「Chaputer6 脚本を動かす黄金のルール」
主人公は観客が出会ってすぐ好きになり、応援したくなるようなことをしなければならない。
ギャングなら、日常会話で親しみ持てる人にする。主人公が悪い奴なら、主人公よりもっと凶悪な奴を敵として用意する(「パルプ・フィクション」)。
マスコミはなるべく出さないようにする。主人公と観客である私の2人だけの物語でなくなってしまうからだ。本当に必要な時だけ出すこと。
「Chaputer7 この映画のどこがまずいのか?」
よくできた映画では、主人公と悪役は、一人の人間の表と裏のように対の存在になっていることが多い。強さも互角だ。
魅力的な登場人物は彼ら独自の話し方をする。日常会話でも、彼ら独自の魅力を感じさせる言い方をする。
台詞は、人となりを表現するチャンス。
直すべきところはきっぱり直す。それがプロとアマチュアの違い。頭の中で「うわ、ここ駄目じゃん!」という声が聞こえてきた時、本物のプロだったらこう答えるはずだ。「大丈夫! 直し方はわかってるから!」ってね。
「Chapter8 やってはいけないこと」
脚本コンクールははっきりいって時間の無駄だ。コンクールに出ても、エージェントやプロデューサーとコンタクト取れるわけじゃない。受賞した脚本を誰が出資してくれるんだ? どうしてもコンクールに出したいなら、レベルの高い審査員がいるか、きちんとした座談会やセミナーがあるものを選びなさい。
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Save the catの法則という名前からもわかるように、過度の一般化を避けている点がすばらしい。
そう、これは、学者が物語という生き物を解体した解剖学の本ではなく、ハリウッドという最前線で脚本を生業としてきた著者が売れている作品の良いところ、実際に脚本を書いた経験からわかったことを生かしながら、これから脚本を書く際に気をつけるべきことが、そして気をつけていることが書かれている虎の巻なのである。虎の巻て。
まず気の利いた(そして皮肉のある)ログラインを決めて、どんなジャンルの作品を書くか決めて(バカの勝利・難題に直面した平凡な奴・バディとの友情)、独自のテンプレートに従ってどんな事件を起こすかを決めて、場面をボードに貼ったりはがしたりして構成を練って、最後にちゃんと法則に背いてないかをチェックする(魔法は一回だけか・パイプを置きすぎてないか・氷山は遠すぎないか)。
物語の構造としては救済が、援助者が、どうこうなんて物語論じゃない。バカの勝利だの、氷山遠すぎだの、プールで泳ぐローマ教皇だの、中国の百科事典みたいな分類には、そういった意味がある。
すなわち、実際に作劇の際に使える方法論であるという意味が。
もちろん、本文でもしばし例外がでるように、これは物語すべてにスコープがあたってるわけじゃない。ハリウッドで売れている作品が主な焦点。しかしだからといって価値を損ねるものじゃないし、こういった本においてはむしろ有益だろう。
だってこれは本当に売れる脚本術なんだから。
そったら意味で、実際に脚本家を目指す人にとっても、他の物語を志向する人にとっても、物語論を読むのが好きな人にとっても、いろんな意味で有益な本。いいね!
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・ログインに皮肉が含まれているか。
・「なぜやったのか」を深堀りして作品にする。
・原始的な動機があること。
・スピルバーグ監督はマスコミを入れなかった。
ETは家族だけの秘密にした。
そうすることで視聴者との共感を勝ち得た。
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↓以下のように書きましたが、再読して印象変わりました。
わかりやすく注意点を指摘してくれる文章には
リマインダーとして学ぶべきものがあるとは思います。
作劇術関連の本は自分なりにこつこつと読んできた者としての感想。
うーん、正直言って新味のない内容でした。
この作者が語っていることは、今まで私が読んできた
脚本術の本ではほぼすべて書かれていたことでした。
妙に口語体風なのも日本語で読むと今ひとつですね。
なんかデーブ・スペクター的で。
興味深いのはチャプター2のタイトル
「同じものだけど、違ったものをくれ!」という言葉。
ハリウッド的だなーと思いました。
もっとほかにいい本があると思います。
初めて脚本を書こうと思ったひとなら
古いけど
新井一「シナリオの基礎技術」
シド・フィールド「映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと」
リンダ・シガー「ハリウッド・リライティング・バイブル」
などのほうがおすすめです。
この本に書かれていることがもっときっちりと書かれています。
あと翻訳ですが、ハリウッド式脚本術の書籍は
(フィルムアート社、フィルム メディア研究所が多くのものを出版しています)
おおむね誤植、意味不明の表現が多いのですが、
この本も同様でした。
人物表記もバーバラ・ストライサンドと間違えてるし。
古い映画をある程度見てる人なら、
バーブラと文字を打つと思うんですが。
訳者はあまり映画のことに詳しくないんですかね。
否定的なコメントばかりになりますが。。。
あと、この人は15のビート(局面、シークエンス、オオバコ、フェーズ)で物語を構成する考え方のようです。
それに基づく「デンジャラス・ビューティー」のオオバコの箱書きがあります。
結論としては読んで感心するようなことはありませんでしたが、
以前読んだことを再度思い出すみたいな効果はありました。
ただ、もしかしたら
この類の本を初めて読む人ならとっつきやすいからもしれません。
ちなみに
ここで語られているロバート・マッキーの著作は読みたいんですが、
ビジネス本以外の
単行本としての翻訳は出ていないようで残念です。
「Story: Style, Structure, Substance, and the Principles of Screenwriting」
これは時間があれば頑張って読みたいんですけどねー。
翻訳出してほしいです。
脚本関係の本については厳しい純丘先生も絶賛していますし。
→この人のいう15のビートシートはハコガキとは微妙に違うものでした。
ハコ+ポイントとニュアンスからなるものです。
意外にこれはいいかも。
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物語に潜む構造を類型化するという営みは、構造学者のクロード・レヴィ=ストロースを初めとして多くの文学研究者や社会学者が取り組んできた。近年でも、テキストマイニングの手法に基づき1,700のフィクションを時間軸とハッピーさでクラスタリングした結果、6つのパターンに収斂した、というバーモント大学の研究成果も公表されたばかりである。
さて、本書はアメリカのハリウッドで成功した職業脚本家である著者が、本当に売れる脚本術と題して、脚本家の卵へ向けた脚本の正しい書き方に関する書籍である。一見、単なるHowTo本に見える本書がなぜ面白いのか?
それは、世界のポピュラー映画の脚本には、10のパターンしかない、という見事な類型化が示されているからである。「家の中のモンスター」、「金の羊毛」、「組織の中で」等、それぞれの類型において守るべきポイントが示され、膨大な映画タイトルの中から各類型に当てはまる具体的な作品とシナリオが示されるが、読んでいて、「これは確かに・・・」という強い説得感がある。
また、売れる作品は1-2行(数十文字)の作品紹介文の中に、皮肉やイメージの広がり、ターゲットとなる顧客層などが全て込めらているべきである、というテクニックなどは、ビジネスにおいて何かしらの企画を考えるときの一丁目一番地といってもよい共通性がある。
脚本家を目指さなくても十分に面白くて何より学びがある稀有な一冊。
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シナリオに興味があるわけじゃない。
でも、魅力的に感じるタイトルだった。
飛ぶように読める。
読みやすいかわりに、不思議と残らなかった。
私がシナリオを描く人だったら、もっと響いたんだろうか。
ちょっと残念。
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脚本術指南もさることながら、私はブレイク・スナイダー本人に好感を持ってしまった。
故人であるのが惜しい。
脚本術指南書ではあるが、物語を紡ぐ指南書でもあると思う。
大変勉強になった。
しかし、勘違いしてはいけない。
ここで指南してくれているのは、ビジネスとしての物語術だ。
もし、大衆に何か迎合したくない、なんて反論を述べるようならお門違いだ。
これはあくまで、脚本家という職業に身を置いた一人の男の処世術だ。
図らずも本書のような口ぶりになってしまった笑
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最初に断っておきたいのですが、僕の仕事は脚本家ではありません。俳優です。ではなぜこんなテーマで本を紹介するのかと言えば、この文章を書くために自分の本棚を眺めていたら、この手の本がたくさん並んでいることにあらためて気付いたからなんです。どうやら僕は「面白い脚本を書いてみたいという欲求がある」らしいのです。そして今からご紹介する「SAVE THE CATの法則」も、そんな僕の願望を満たすために購入した一冊です。
この本は、いわゆるハリウッド映画の脚本術について書かれているのですが、まず僕が面白いと感じたのは、この本の著者であるブレイク・スナイダー氏のキャラクターです。彼はいかにもアメリカ人的で、売れる脚本を書くための法則を次々に断定していきます。例えば「きっかけを書くのは12ページ、絶対だ」のように。なんて潔い文章なんでしょう。ここまで言い切られると、その通りに書いてみようという気になるってものです。この調子で、氏は1ページから最終ページまでになにをどこに書いたらいいのか、全て解説(断言)してくれます。
法則を知って驚いたのは、多くの有名なハリウッド映画の脚本が、この法則にピッタリ合致して書かれていることです。かなりの衝撃だったので、他のハリウッド式脚本術の本も調べてみたのですが、ほぼ語られている内容は同じでした。しかもそれは、ページ単位、時間単位で決まっているのです。それは、これらの法則が、ハリウッドの長い歴史の中で蓄積され、分析されてきた集大成なのだということを感じずにはいられませんでした。
ただ、この完璧に見える法則にも、弱点がないわけではありません。それは、一定の法則に従えば、どの作品もどこか似たテイストになるということでしょう。近年のハリウッド映画を観ていると、前に観たような話だと感じることも少なくありません。しかしながら、基本を知らなければ応用もありえません。この本に書かれている法則を知っていて損はないですし、この本を読んだあとにハリウッド映画を観ると、エンターテイメントの歴史が培ってきた優れた法則を作品の中に発見する喜びを得られますから、この先、脚本を書く予定がない方であっても充分楽しめるのではないかと思います。
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映像関係で働いていた友だちと映画の話をしていたらこの本の名前が出てきて、今のハリウッド映画は基本的にほとんどがこの本の仕組み通りにできているという話を聞いたので、映画の仕組みとははたして、と思い読んでみた脚本術の本。こういう本は読んだことがなかったのですごく興味深く読めたし、なるほど思い起こせばそういう感じにできてるかもと思ったり。これを頭に入れたうえで、ますます映画を見たくなる。
以下、要点抜粋
どんな映画なのか、一行で説明できるようにする。
一行で読者の心をつかめないようなストーリーは聞くまでもない。この一行がログラインと言われる。
良いログラインには4つの共通項がある。
まずは、皮肉があるか。次に映画の全体像が見えるか→読み手の想像力をかき立て興奮できる内容か。 その次に、ターゲットや客層が明確か。 そして最後にインパクトのあるタイトルか。良いタイトルに不可欠な要素はストーリーを象徴するような言葉かどうか。
どんな映画なのという質問に答えるには、なにについての映画か、誰のための映画かの明確化と、作品の雰囲気、展開の可能性、登場人物のジレンマ、登場人物のタイプについても簡潔で説得力のある説明が出来ないとだめ。
脚本を作るとき、どんな映画に一番似ているかを考える。
映画の脚本的なジャンルは10個。
1、家の中のモンスター
→モンスター、家(制限された空間)、モンスターを倒したい人間、これが揃っていると原始人にでもわかる話になる。
2、金の羊毛
→主人公が何かを求めて旅に出るが、最終的に発見するのは別のもの=自分自身というストーリー。 絶対に欠かせないのは、主人公が旅の途中で人々と出会いいろんな経験をするということ。それが主人公を成長させる要素。重要なのは物語で起きる出来事ではなく、それが主人公にとってどういう意味を持つか。ストーリーは出来事で動くのではなく、出来事から主人公が何を学ぶかで動く。
3、魔法のランプ
→昔から人間は〜があったらいいのに!をつぶやいている。願いの代わりに呪いが叶うパターンもある。主人公はひどい扱いを受けていることが多く、だからこそ観客は主人公の願いが叶うことを祈る。けれど観客の性として、成功し続け始めるとそれが鼻に付いてくるので、最終的には普通の人間でいるのが一番だと気づく。そして最後には一番大切なことを道徳に適した行いをすることという教訓が用意されている。
4、難題に直面した平凡なやつ
→どこにでもいそうなやつが、とんでもない状況に巻き込まれる。主人公が観客と同じ普通の人間であることと、勇気を振り絞って解決しなければいけない問題に直面したということ。
5、人生の節目
→モンスターが主人公に忍びより、主人公はその正体に徐々に気づき、受け入れることによって最後は勝利を収める。
6、バディとの友情
→最初はお互いを嫌っているが、旅をしていくうちに相手の存在が必要で二人揃って初めて完結した1つになれるとわかってくる。そうは気づいてもコイツがいなきゃ���メなんだとかまだ受け入れられない。葛藤が生じる。結末近くになってくると連れ添ってきたバディと喧嘩になり、あばよ!となる。ただしこれは本当の別れではなく、お互いなくしては生きていけないことを再確認するためのきっかけ。最後はふたりで覚悟を決める。
7、なぜやったか
→観客の心の闇へと連れて行き、スクリーン上の探偵が観客の代わりに謎を解くかに見えるが真相を突き止めてるのは観客自身だということだ。観客が集めた情報をもとに自分でその真相を明らかにして意外な結果に衝撃を受ける。俺たち人間はこんなに邪悪なのかと問いかける。
8、バカの勝利
→負け犬のバカに対してバカが抵抗する大きな権力が存在する。アウトサイダーが勝利することが醍醐味。
9、組織の中で
→主人公は自分の組織に誇りを持つ一方で組織の一員として生きるための自分らしさを失うという問題を抱えている。個人よりも集団を優先することの是非を描いたりもする。新しく組織に入ってきた新人の視点で語られることが多い。
10、スーパーヒーロー
→人とは違うという事はどんな事か、独創的な考え方や素晴らしい能力を妬む凡人と向き合わなければならないとはどういうことかを観客が共感できるように描く。誤解されたり周りから理解されないヒーローの苦しみに共感している。
主人公を含んだ完璧なログラインを書くために。
1、主人公を描写する的確な形容詞
2、悪役を描写する的確な形容詞
3、人間だったら誰でも共感する原始的な目的
主人公は
1、設定された状況の中で一番葛藤する。
2、感情が変化するのに1番時間がかかる。
3、楽しんでもらえる客層の幅が一番広い。
主人公には原始的な動機があるかが大事。
→動機は原始的でなければいけない。人間は本能的で原始的なものに心を動かされる。根本的な欲求は万人の心を掴む。
特定の俳優を想像して脚本を書くのではなく、典型的な役柄を考えながら書くと配役はうまく行く。
主人公は最大の葛藤をし、
感情面での変化が最も大きく、さらに誰もが応援したくなる動機を持っている。
脚本を分解すると15個に分かれる。
オープニングイメージ=映画の第一印象でファイナルイメージと対になるもの。
テーマの提示=冒頭5分で登場人物の誰かが問題提起したりテーマに関連したことを口にする。
セットアップ=脚本の最初の10ページで冒頭の10分。登場人物の特徴や後に起こる問題の原因となる行動も提示され、主人公が最後に勝つためにはなぜ、どのように変化すべきなのかが示される。主人公に必要なものや欠けている部分がある場合もここで見せる。
きっかけ=110ページの脚本なら12ページに持ってくる。
悩みのとき=脚本の12ページから15ページに来る部分。何かしらの疑問を抱く。
第一ターニングポイント=25ページで起こる。1幕と2幕の変わり目。古い世界を出て、正反対の世界に進む瞬間。主人公ははっきりと明確な意志を持って次の段階に進まなければいけない。
サブプロット=30ページから始まる。観客にとっては息抜き。ラブストーリーであることが多い。
お楽しみ=お約��部分で一番おいしい部分。
ミッドポイント=いきなり危険度がアップする。対を成すのはすべてを失って。
迫りくる悪い奴ら
すべてを失って=ミッドポイントの絶好調とは逆の絶不調状態であるが、それはみせかけの絶不調で最悪の状態は一次的なものではあるが死の気配が漂い、主人公の人生はめちゃめちゃになったように見える。
心の闇=徹底的に打ちのめされたあとの悟りのシーン
第二ターニングポイント=解決策が見つかる。
ファイナル=教訓を学び、主人公の直すべき点が直り、メインプロットもサブプロットも主人公が勝利して終わる。古い世界は新しい世界へと変わり、新たな秩序が生まれる。主人公が勝利しただけではなく、世界が変わる。
ファイナルイメージ=オープニングイメージと対を成す。
観客が主人公を好きになるように配慮する。=セイブザキャット
話し詰めすぎはダメ。アイディアを積み重ねてもろくな事はない。シンプルなほど良い。アイディアは一回に1つだけ。
危機は今そこにないと駄目。
映画の登場人物はすべてストーリーの中で変化する。唯一変化しないのは悪役だけ。
ストーリーは速度や複雑さを増しながらクライマックスに到達しなければいけない。
肝心なことは観客を感情的にヘトヘトにさせること。あらゆる感情を働かせ、経験させる。