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紙の本
フランス小説の扉 (白水Uブックス エッセイ)
著者 野崎 歓 (著)
トゥーサンやジャン・ルノワールの翻訳家が、19世紀の極めつきの名作から20世紀の逸品まで、小説の読みどころを語る「フランス小説美味礼賛」。さらに、今世紀最初の10年も概観...
フランス小説の扉 (白水Uブックス エッセイ)
フランス小説の扉
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商品説明
トゥーサンやジャン・ルノワールの翻訳家が、19世紀の極めつきの名作から20世紀の逸品まで、小説の読みどころを語る「フランス小説美味礼賛」。さらに、今世紀最初の10年も概観する。〔2001年刊の再刊〕【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
野崎 歓
- 略歴
- 〈野崎歓〉1959年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科・文学部准教授。「ジャン・ルノワール越境する映画」でサントリー学芸賞、「赤ちゃん教育」で講談社エッセイ賞を受賞。
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読み巧者によるフランス小説名作案内
2019/09/04 12:19
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:燕石 - この投稿者のレビュー一覧を見る
フランス文学の古典を縦横に語って楽しい一冊。
スタンダール、バルザック、ネルヴァル、モーパッサン等の名作を、「恋」をキーワードにつなぎ、ネルヴァルを介してプルースト、ブルトンを論じ、そこからソレルス、ヴィアン、ウェルベックの現代小説へと読者を導いていく。
各作品の魅力をしっかりと把握しており、「目から鱗」とも言える指摘は、未読者に作品を読んでみようとの気にさせることはもちろん、既読者にも「そういった読み方があったのか」と思わせる。
たとえば、冒頭の『パルムの僧院』で、主人公ファブリスは「いわば考えることを免除された存在」であり、独房にいる彼のもとへ飛び込むクレリアの台詞は「可憐な恫喝」であり、スタンダールの主要人物はみな「『聞き役』となる相手を必要としない強い孤独者」である、といった指摘。あるいは、『谷間の百合』の秘められたエロティシズムに関しての指摘。
そして、「今なお興奮を味わわせてくれる傑作の数々が、断固『反フランス的』なものとして書かれている」との指摘も興味深い。
これほどの「読み巧者」である著者の翻訳した『赤と黒』に多くの誤訳と日本語表現の誤りを指摘されたことは、何とも遣る瀬ない。