電子書籍
他人事では済まないかもしれない
2017/01/23 17:40
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:*iroha* - この投稿者のレビュー一覧を見る
あらゆるメディアを利用して情報操作を行い、経済的に追詰め、教育を与えず、娯楽を利用することで、一部の人が多くの人間を都合よく利用できる社会ができる。
ということが、米国民への取材を通じて描かれています。
ジュニア向けだからなのか、言葉が比較的易しく、読みやすいです。
紙の本
情報過多の時代
2023/11/01 19:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
現在の情報過多の世の中で、社会の真実を見つける方法が、分かりやすく解説されていてよかったです。読みやすい文体で、素晴らしかったです。
紙の本
主張はうなづけるが、例がアメリカの話ばかりで残念。
2011/04/01 16:47
11人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ルポ 貧困大国アメリカ」(岩波新書)の著者が若者向けに書いた本。情報を自分で得てしっかり判断し行動せよという主張、その具体的方法の説明は若者にもよくわかる言葉で書かれている。ただ、日本の若者が身近に感じて読めるだろうかと思う部分が少なくなかったのが残念である。
第1章「戦争の作り方ー三つの簡単なステップ」、第2章「教育がビジネスになる」、第3章「メディアがみせるイメージはウソ?ホント?」、第4章「社会は変えられる」。どの章も9.11や大統領選挙をきっかけに軍隊に入ったり、疑問を持ったり、とアメリカの若者を例に進められている。前掲書の内容を1,2章で書き直し、4章は前掲書以後のアメリカ事情を追加したような感じがする。
著者が日本の若者に伝えたいメッセージはわかる。しかしアメリカの話が中心では、日本の若者には「向こうのお話」になってしまわないだろうか。著者自身はアメリカ生活が長かったので説明を要さないと思ったのだろうが、制度の説明が不足のところ(例えば2章で出てくるチャータースクールとはどういうものか)もあり、それも内容を伝わりにくくしていると思う。これまでの著書でもわかるが、著者の視点・情報のベースがアメリカ中心であることが本書としてはあまり効果をあらわしていない。
第3章「メディアがみせるイメージはウソ?ホント?」は、例はアメリカではあるが、情報をどう判断するかを具体的に書いた章としてかなりタイトルに即していて良い章だと感じた。
メディアが一斉に大事件を報道する陰で大事なことがこっそり進んでいないか、複数のメディアを比較するようにしようという言葉は、全体として社会を捉えていくための重要なポイントであろう。インターネットの有用性については、認めながらも「今までテレビを信じきっていた人々が、日本でいう2チャンネルなどのインターネットサイトをみて、今度はそこに書いてある情報をうのみにすれば同じことだ。P161」としてある。今度の地震・津波後チェーンメールが多発したことが脳裏に浮かんだ。こういうことをいつも考えていることが大事なのである。ただ、4章の中では「若者の強い味方の一つ」とインターネットの良い面だけ書かれている。4章でも上記のような言葉が欲しかったところである。
「道具がハイテクになっても、結局そこにある情報を自分の頭で考えて判断することができなければ、簡単に洗脳されてしまうのだ。P162」
本書のメッセージはこの一文にまとめられていると思う。メッセージはよいけれど、タイトルどおりで日本の若者に読んでもらうためには、第3章を膨らませ、ほかの章はもう少し違うまとめようがあったでは、というのが読み通した正直な感想である。
紙の本
気づきを与えてくれる本
2016/10/29 01:57
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mistta - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦争や教育、社会メディアや政治についてを中高生向けに
書いてあるのかもしれないが、単純でない問題に対して
真摯に向き合っている。
結局自分が物事を判断する時は、生理的な好き嫌いだったり、
また印象やイメージを優先している。
本当は論理的に判断できていないのかも。私達は物事を実は
まっすぐ見てはいないことを指摘している。
その通りだと思う。気づきを与えてくれる本。
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戦争の見えない傷としてPSDT、トラウマがある。イラクやアフガニスタンで戦死した兵士の数よりも多い。
アメリカでは貧困な人ほどジャンクフードを食べるから肥満になる。
同じテーマについて違う新聞を読むこと。
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以前この人の作品で「貧困大国アメリカ」というのを読んだことを思い出した。東北の地震や原発の事故の情報の流れ方に疑問を抱いていたので実にタイムリーな内容だった。9.11のアメリカでのメディアの煽動の仕方、重要な法案と芸能人のどうでもいいスキャンダルが同列に並ぶまやかし、国民はもっと賢くならねばと。アメリカでの市民活動バージニア21やTFAなどの組織を真似て日本でも国政に対して身近な所から参加していく運動が広まればと切に思う。
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岩波ジュニア新書、まぁ、普通にオヤジも読めますが、やはり若者に読んで貰いたい一冊です。第1章戦争のつくりかた、第2章教育がビジネスになる、あたりは、『ルポ 貧困大国アメリカ1,2』と被るところがありますが高校生等若い人たちへのインタビューを取り混ぜてより分かりやすくなっています。第3章メディアがみせるイメージはウソ?ホント?、第4章社会は替えられる、は「情報リテラシーを磨き行動しろ(政治に関われ)!」と若者への叱咤激励が小気味よい。基本的には米国を題材にして書かれていますが、これは米国だけの問題じゃない。
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堤さんの講演を聞いてから書籍はほとんど読破している。アメリカの教育の現状やその課題を詳細にレポートしていたが、今の日本がその教育施策を追随しているということがよくわかって、背筋が寒くなった。教育に直接的な成果主義を求めるとろくなことはない。小学校の時に朝礼で聞いた校長先生の言葉、今になって心に響くということもよくある。
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日本の3.11は、アメリカの9.11並みの衝撃を世界に与えたと言われる。アジアといえば中国、韓国、東南アジアの新興国など。アジアの中に日本は含まれなくなっていた。もう終わった国として、アジアからも除外されていた日本が、3.11以後、突然世界中のテレビや新聞で連日トップニュース扱いになった。こんな状況で、『ルポ貧困大国アメリカ』の著者、堤未果の新著『社会の真実の見つけかた』を読んだ。
この本は、2011年2月に初版発行、当然、震災や福島原発事故の報道については触れられていない。しかし、9.11後のアメリカについて書かれた第1章「戦争の作り方―3つの簡単なステップ―」が、3.11後の日本の状況に酷似していた。
9.11 後、アメリカではテロを伝えるニュースが連日放送、世界貿易センターが爆破される映像が何度も流された。主要メディアはテロ報道一色、アメリカ国民の精神状態も異常な興奮状態になった。「卑劣なテロは絶対許さない、アメリカは自由を守るためにテロリストに必ず報復する」大統領はテロとの戦いを宣言する。メディアもテロとの戦いを支援する内容一色になった。
この状況はおかしいんじゃないかと反論した場合、アメリカ国民ではないと総バッシングにあう。国際社会の反対にあいながら、アメリカは、アフガニスタン、イラクと長い長いテロとの戦いに没入していく。その間、何が行われたのか。著者は、テロとの戦いを名目に、教育、福祉予算がカットされ、アメリカ人に貧困が拡大したことを指摘している。
3.11後の日本に対して、日本政府の情報開示が少ない、日本政府は状況を楽観視しすぎている、日本の報道は政府の公式発表を無批判に垂れ流すだけで、検証する批判精神がないなどと、海外諸国で日本バッシングが起きた。しかし、『社会の真実の見つけ方』を読むと、9.11の時のアメリカでも、3.11の日本と全く同じ情報統制、というか情報パニックが起きていたではないかと思える。
第2章「教育がビジネスになる」に書かれたアメリカの状況も、日本の未来を指し示しているように見える。アメリカでは教育の自由競争化が行われた。学校、教師は統一学力テストのテスト結果で、能力を採点されるようになった。点数の低い教師は給料を削られ、学校は廃校になる。教育の民営化、市場競争化推進ということで、大企業の経営者が教育に介入してくる。経営者たちは政府、マスコミに大規模な投資、寄付をしているので、彼らの改革行為にマスコミは反論しない。
学力テストで、教師がカンニングを助長したり、テストの回答を改ざんしていることが発覚し、ニュースになった。マスコミ、市民は不正を行った教師をバッシングしたが、著者は何故教師たちが不正行為を行ったのか、事実の裏にある原因を見極めようとする。
生徒がよい点数を取らなければ、給料を下げるぞ、解雇するぞ、廃校にするぞと国から言われている教師たちは、自分たちの身を守るため、テスト競争に参加した。人間教育などしている時間はない。点数アップのため、無給の残業時間が増大する。音楽など学力テストに関係ない分野の教師は解雇される。点数のプレッシャーを受けている教師の間に、ストレス���よる退職者が急増する。身体障害者も、健常者と同様の基準で採点されることに抗議した障害クラスの教師は、差別主義者だと批判される。
日本の教育も、アメリカの教育と似たような自由競争至上主義の道に進もうとしている。教師の労働時間は増大している。一方で、勉強することに意味も希望も見出せない為、高校を退学する生徒が多いと、昨日NHKの番組が伝えていた。震災対策だ、エネルギー対策だと連呼される裏で、こっそり教育、福祉の予算が削られていないか、私達はチェックする必要がある。
第4章「社会は変えられる」では、すぐに結果が出なくても、あきらめず、政治行動を続けることの大切さが書かれていた。この本を読んでいる頃、東京都知事選があった。若年者の投票が激減したという。投票しても日本は変わらなかったからといって、絶望する必要はない。投票し続けることが重要だ。
アメリカでは、ジョン・ベネちゃん事件報道があった頃、劣化ウラン弾使用によるアメリカ兵への健康被害を問題にする政治活動があった。マスメディアは、ジョン・ベネちゃんニュース一色で、劣化ウラン弾の問題を取り上げなかったという。日本ではどうだろうか。SMAP草薙剛の飲酒・公然わいせつ事件報道があった頃、国会では、海上自衛隊の活動範囲を広める海賊対処法案の審議がされていた。自衛隊の活動範囲に関わる重要法案についての報道が、芸能ニュースでかき消される。気をつけたい問題だ。
さて、福島原発事故についてのニュースが連日続いているが、今気をつけるべきことは何か。芸能ニュースなど別のセンセーショナルなニュースによって、原発事故の報道が減少することはないか。原発事故報道の裏で、福祉、教育予算のカット、本来注目すべき重要法案が通過していることなどないか、注意したい。
今はネットがあるから、みんなで政府の活動をチェックする逆パノプティコン体制ができている。マスメディアも、ネットメディアも鵜呑みにしないで、自分の経験知と判断力で、集めた情報を批判的に吟味し、社会の困難を乗り切っていく必要がある。
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『社会の真実の見つけかた』感想
■著者の講演を聴いて
堤未果『社会の真実の見つけかた』(岩波ジュニア新書、2011年)を読んだ。
つまに連れられて行った保育の集会で堤未果さんの講演を聴いた。すごくいい講演だった。機会がある人は一度だまされたと思ってこの人の講演を聴いたほうがいい。
『ルポ 貧困大国アメリカ』(岩波新書)の人だと言われて「ああ」とは思うけど、読んだことはなかった。講演を聴いたあと、この人の本はとにかく一冊読んでみようと思った。
最初の一冊としてこの本を選んだ。「『情報を読み解く力』を身につける大切さを若い世代に向けて解説する」と紹介文にある。
■酷いことになっているアメリカの真似を日本は今しようとしている
4章立てで、前半はアメリカの戦争と教育の実態を描いている。インタビューの語りを入れながら、背後の社会情勢を解説していく。読みやすいのだが、書かれている内容があまりに衝撃的で読み進めるのがしんどかった。
戦争と教育と貧困はつながっていて、アメリカの人材育成の機能はズタズタになっていることがわかる。そして、日本も同じ方向に行こうとしている。
競争原理と民営化を導入するアメリカの教育破壊の論理は、橋下徹が大阪府で推し進めているものにそっくりだ。その取り組みを絶賛する市民の姿までそっくりなのだ。
橋下を絶賛する人は一度堤さんの本を読まなければならない。彼女の本を読んでなお橋下を熱烈に支持し続けるかどうかを考えて欲しい。
■もっとジタバタしなければ
後半のテーマはメディアについて。
第3章ではメディアについて。経済と密接につながるマスメディアの偏向の構造と、インターネットの影響力、メディアを活用する視点について書かれている。
第4章では、アメリカの若者たちが始めた新しい取り組みが紹介されている。ここに来てようやく希望が持てる。一人一人が言葉を発し、つながりを広げていけば明るい未来は作れる。その可能性を感じられた。
Twitterという簡単に始められるSNSのおかげで、いろんな人の意見を知り、いろんなことを考えられるようになった。自分の意見を小さいながら発信することもできるようになった。まずはTwitterでいいから一人一人がジタバタしてこの状況から抜け出そう。ちゃんとそれが現実を変える力につながっていくはずだ。
岩波書店紹介ページ http://www.iwanami.co.jp/hensyu/jr/toku/1102/500673.html
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中高生にお勧めと聞いて、弟へのプレゼントとしてどうかと思い購入して読んでみた。
読んだ感想はあえて書かない。
弟には他の書籍をプレゼントしてあげたいと思う。
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私たちが持っている力を、私たちの未来のために。
知らなかったことがたくさんあった。特に、オバマ大統領には、なんとなく無条件で肯定的に見ていた自分を反省。twitterくらいは受信の道具として使おうかと思う。あと、せっかく一定レベルをクリアしているのだから、英語を活かそう。
インターネットの便利さは、自分たちの道具として、武器として。溢れかえる情報に流されないように、常に警戒し、隠された真実に耳を傾けて。ネットでのつながりと、リアルのつながりの両方を、上手に使いこなして。
与えられた情報をうのみにするのではなく、たくさんの情報を自分から取りに行き、取捨選択する。これからの、デジタル・ネイティブが目指す姿は、これでないか。中学生、高校生に、ぜひ読んでもらいたい本。
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アメリカで何が起こっているか。
戦争、教育、メディア(マスコミ)を中心に解説。
対象としては中学生〜高校生くらいを想定しているのかな。
「政治に参加しよう」
「情報を手に入れよう(そのためには英語も大切だ)」
という提案が後半にされています。
わかりやすい。
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はしがき
Ⅰ歴史家と事実
Ⅱ社会と個人
Ⅲ歴史と科学と道徳
Ⅳ歴史における因果関係
Ⅴ進歩としての歴史
Ⅵ広がる地平線
今となっては目新しさはないものの、原著が50年前に出版されたことを考えると当時は新鮮な受け止められ方をしたのだろう。
歴史は手段や視点であって、目的的な歴史観は危うい。
訳者が社会学者であり、歴史学者でないことも妙に納得。
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アメリカでの軍事・教育・メディア・政治をテーマに、若者達が情報操作、教育システムへの競争導入や民間化などによって追い立てられ、搾取されていく重たい現実をわかりやすく伝えている。自分の頭で考え、情報源を偏らせず、何が正しいのかを見極める力を養っていくことは、本当に大切なのだと改めて思う。また終章では高齢者が大規模な組織で時間をかけ政治家を動かし自分達の権利を勝ちとってきた経緯にふれ、若者たちだってやり方の工夫と諦めずに継続的な活動次第で、社会は変えていけるのだと希望を伝えている。