紙の本
あまりにも意味深なタイトルだが、爽快な読後感
2020/11/19 14:02
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投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作家の作品には、人生に「落ちこぼれ」そうになっているヒトたちを描きつつ、紆余曲折ありつつも、必ず次のステージにもっていってくれるエンディングを期待するところがあって手に取りがち。本作もそんな読者の期待を裏切らない。
舞台は、小笠原諸島で行われる「人生再生セミナー」。その募集広告が新聞紙面の全五段で載った。応募してきたのが、元ヤクザ、引きこもりの東大生、対人恐怖症の女性フリーライター、大手オートバイメーカーを定年退職、間際まで勤めたコロンビア再度渡って帰国したという初老の男性…などなどで、この小説の登場人物として非常に興味深い属性を持つ4人が主人公。
読者も、登場人物と一緒にセミナーを受けるように読み進み、もちろん爽やかな読後感でした。
紙の本
国家や歴史など大きなものに巻き込まれても
2012/04/16 17:19
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
小笠原諸島の父島・母島で開かれる人間再生セミナーに
参加した引きこもりの東大生・太郎、
フリーライターの由香、元ヤクザの柏木。
三者三様に社会から落ちこぼれてしまい
将来に希望を見出せないでいる。
元経団連会長が代表者を務めるこのセミナーは
適正合格者には就職斡旋を行うため
期待をかける者も多い。
小笠原の豊かな自然、独自の文化や歴史を学び
戦争の残骸や戦後の占領時代、その後を知る。
そして彼らは社会人としての基本的な能力、
生きる手段を学んでいく。
「人生教習所」とか「人間再生セミナー」の
内容としてはどうなのだろう? と思う。
でも小笠原の歴史を知らなかったのが
日本人として恥ずかしい。
欧米系日本人がいるなんて。
そして1968年のラインで家族や兄弟がバラバラに
なってしまったなんて。
国家や歴史など大きなものに飲み込まれながらも
日々、楽しくおおらかに生きるすべは
垣根涼介ならではの人生観。気持ちよく読める。
やや影が薄いけれど、由香が人と普通に
コミュニケーションをとれるようになり、
自分をオープンにできるようになったのが嬉しい。
エッチも好きな人とできるようになるといいね。
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タイトルから期待した内容には物足りなさが残るが、世界遺産に登録された小笠原の歴史と自然を感じるための本だと思えば興味深い。
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作者は南米系もしくはギャング犯罪系のハード路線とリストラ請負系のソフト路線が今や両輪となっているが、どちらも底辺にあるのは人としての生き方を問うものが多いが、本作はそれを真正面にストレートに出した自己啓発論的な話となっている。前半はもろ、自己啓発セミナーで後半は舞台となる小笠原の世代をまたぐ住民の人生を語らせる展開となっており、後半の展開が唐突感があるため、何故、小笠原と戸惑う読者が多いだろうが、共にアイデンティティの喪失と再生の話であり、根底は同じ根を持った話となっているが、フィクションとしては起伏のある展開が無いため、平板な印象に終わってしまうのが少々、残念。また、安易に救いの手を差し伸べない展開が作者の持ち味であって良いところではあるが、本作では安易に平穏な結末に至ってしまう。あと、昔の恋人を投影している息子を溺愛する母親が肉体的な不倫をするかなというのも少々、疑問でもある。
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ひきこもりの休学中東大生、南米へ逃亡していた元ヤクザ、何をやってもダメな女性フリーライターなど―人生に落ちこぼれた人間たちが目にした「人間再生セミナー 小笠原塾」の募集広告。錚々たる団体・企業が後援し、最終合格者には100%就職斡旋。一体、主催者の目的は何なのか?遙かなる小笠原諸島で、彼らを待ち受けていたのは、自分たちが知らなかった日本と世界、そして美しい自然。今、彼らの中の「なにか」が変わりはじめた…。清々しい読後感へと誘う物語。
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ひと言で言ってしまえば、人生の落ちこぼれたちが、「人間再生セミナー」によって自分の生き方を見直して再出発する、という物語である。お約束どおり、初めはけん制し合っていたメンバーが次第に歩み寄り、胸のうちをある程度さらけ出して連帯感を抱くまでになる、という筋でもある。だが、それだけにまとめてしまえない枝葉や隙間のあれこれ、メンバーそれぞれの人となりやそれまで生きてきた感興に由来する挙動など、些細な部分にこそ面白みがたっぷり詰まっているのである。ひと言で落ちこぼれと言っても、さまざまな落ちこぼれ方であり、セミナーへの参加動機も人それぞれである。人間の多面性を思わされもする。小笠原の風景や歴史、住民たちの様子と併せて、とても興味深い一冊だった。
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人間再生セミナーに応募した人々がセミナーを通じてかわっていくという物語。若者にお勧めです。世界遺産に登録された小笠原という島の持つ歴史が興味深いです。
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内容(「BOOK」データベースより)
ひきこもりの休学中東大生、南米へ逃亡していた元ヤクザ、何をやってもダメな女性フリーライターなどー人生に落ちこぼれた人間たちが目にした「人間再生セミナー 小笠原塾」の募集広告。錚々たる団体・企業が後援し、最終合格者には100%就職斡旋。一体、主催者の目的は何なのか?遙かなる小笠原諸島で、彼らを待ち受けていたのは、自分たちが知らなかった日本と世界、そして美しい自然。今、彼らの中の「なにか」が変わりはじめた…。清々しい読後感へと誘う物語。
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以前に読んだ作者に関する話があって、興ざめした。他の作家の作品でもあったが、出さない方がいいとおもう。小笠原の歴史は面白かった。
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小笠原についての理解は深まる。内容的には、盛り上がることはなかった。起承転結になっているように感じない。ドキドキ、ハラハラも笑いもなかった。
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人間再生セミナーに参加した男女4人のストーリー。大切な事が書いてあるのか?なんか普通だな。小笠原諸島のガイド本?
2011.11.16
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「人生再生セミナー」小笠原での二週間の合宿セミナー。
休学中の東大生。逃亡中のヤクザ者。自分に自信のない女性ライター。
三人にスポットを当てて、セミナーでどう変わっていくか?を描いている。
小笠原の自然、歴史、人物なども丁寧に描かれていて
楽しみながらも、少しだけ人生のためになる本。
ちょっと心が癒される癒し本なのかもしれない・・・。
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『ワイルド・ソウル』『ヒート・アイランド』系=南米・型破りな主人公と『君たちに明日はない』系の=人間偏差値追及、自己認識成長譚の合わせ技。
自分探しと自己肯定の物語も小笠原諸島が舞台となり、この島の歴史的地理的特殊性がアクセントになり、気軽に楽しめた。
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小笠原の2週間のセミナーにやってきた人物。元ヤクザ、愛想がいい南米帰りのおっさん、ひきこもりの東大生、太って暗い女となれば、バトルロワイヤルやカイジ路線のハードな展開を期待してのだが、ずーと最後まで、ためになる普通にいい話だった。
がっくり。
なんか小笠原諸島の歴史や人生の成功哲学みたいなものを普通に学ばされてしまった。うっかり勉強させられた。勉強だけは嫌いなのに。なんだこのゆるい話。
垣根さんだから期待したオレがバカだった。こんなん書くんだったら早く君たちにシリーズの4作目を出しとくれ。
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小笠原諸島で開催されるとあるセミナーに集まった老若男女が次第に…。フィクションならではの「あざとさ」が決して嫌いではない俺ではありますが、このお話にはいくらなんでもリアリティがなさ過ぎでしょう。ツッコミの足りない結末にも大いに不満です。
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小笠原って言葉には私は非常に弱い。楽園のような響きを覚える。
そこで元経団連の元会長が主催するセミナー。参加者は中間試験を通過すれば就職が保証される。参加者は元ヤクザや引き篭もり東大生。
講義の内容やら試験問題など、読んでいるだけでその研修に参加したような気分になれます。
努力と成功は関係するのか?
好きになる異性はどんなタイプ?
なんて講義から始まっていきます。こんな研修、本当にあったら是非とも受講したいものです。