紙の本
そんなこと、やってちゃだめなのは百も承知。でもねぇ・・・
2012/01/27 14:19
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投稿者:チヒロ - この投稿者のレビュー一覧を見る
会話だけ読めば、妙に若々しいやり取りもあり、惣菜屋「ここ家」の厨房で、みんなでわいわいガヤガヤ、
朝仕入れた食材を囲みその日のメニューを相談するところは、とても楽しそうでもある。
でも、仕事がおわると心寂しい毎日がそこにある。
別れただんなの家に電話なんて、普通しちゃいけない。
けど、江子を捨ててしまった白さんは、
元来の優しさプラスある負い目で、彼女を拒まない。
休みの早朝に突然、訪れて昼食を食べて行く前妻、それはだめでしょう。
いくら受け入れてくれたとしても、甘えちゃあだめでしょう。
元彼とヨリが戻りそうだけど、上手く行き過ぎるのが怖くてたまらない痲津子もだめ。
息子の死因が病院へ連れて行くのが遅かったせいだとして、
夫が死ぬまでわだかまりがあり、死んだあとも許せないでいた郁子もだめ。
だめだってことは百も承知なのだ。
承知なのに、その進路を変えて上手く歩いていけないのだ。
そんな思いを背負って、でも「ここ家」では楽しんで働く3人と、進む青年との交流で、
最後はみな過去から吹っ切れて、幸せになっていく物語。
ラストは明るいです。
終わり良ければすべて(じゃないけど)良し。
紙の本
60歳になっても
2021/05/26 20:18
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投稿者:kochimi - この投稿者のレビュー一覧を見る
60代になってもまだ色々あって、
時の蓄積がある分、一筋縄ではいかないと
覚悟と期待をさせてくれる作品でした。
紙の本
やっぱり井上荒野さんの小説は裏切らない
2021/01/09 19:51
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投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
惣菜屋で働く60代の女性3人の人生の物語。
江子さんは別れたご主人のところへ電話もして家にも遊びに行く。それは江子さんが別れた元ご主人の白さんが忘れられないから・・とっても江子さんが痛々しい。
麻津子さんは幼なじみのダーリンが忘れられなくて・・恐い。
郁子さんは1年前にご主人を亡くし、昔2歳だった長男を亡くした事でご主人を恨んできたことに悩んでいる。
それぞれの思い出の料理が、生き生きと描かれる自分たちが幸福だった事を思い出させられる。
美味しいものを美味しいと食べられる幸せ。
美味しいものを好きな人のために作って、一緒に食べる幸せ。
少しはちゃめちゃ感のある話しだけど、みんなそれぞれ傷を癒す、納得して前を向いていくストーリーは読んでいて共感できる。
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60を越えた総菜屋、ここ家で働く三人の女子、の物語。
一編ずつ語り手が変わる。郁子、江子、麻津子。
その三人のかけ合いがとってもチャーミングで微笑ましい。そこに米屋の進くんが加わり、よりチャーミング!
そしてなによりも出てくる食べ物がどれも美味しそうでたまらない。
ほっこりする物語。すごくよかった!
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まずは恒例、井上荒野先生(@arereno)、三省堂書店有楽町店さん(@yrakch_sanseido)に感謝を。
人生後半の三人の女子。
10代のように眩しくて痛いくらい弾むのではないけど、優しく穏やかな明るさ。微笑ましくて好き。
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お惣菜屋さんで働く3人の60代の女性のお話。
しみじみ、ほのぼの。
読んでる時、彼女たちが60代とはそう意識して読まないのだけど、井上荒野さんの食べ物が出てくる小説はなんとなく角田光代さんっぽいとも思ってしまう。お惣菜とかがおいしそう。文中出てくるレシピ本は辰巳先生の「手塩にかけた私の料理」かなー、とか。あの年代の方でレシピというと、これか「暮らしの手帖」でしょ、と思ってしまう。
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ヨダレが出てきてお腹が減る本です。惣菜屋のおばさんたちの会話のテンポが良い物語だけど、総菜屋だけに出てくる料理が美味しそうで、美味しそうで。
美味しいご飯を食べていれば、元気になれるってのは本当ですよね。
あさりフライが食べたい!
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白米と混ぜご飯、おかずは旬のものや定番商品。
そんな「ここ家」の個性的な従業員の3女子の、それぞれの生き方が食を通して語られ、美味しくほっこりした気持ちになります。
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雑誌連載の作品のせいか、井上作品にある苦みはほとんど感じられないユーモア小説。
惣菜屋「ここ家」で働く、料理好きな60才前後の3人の女性の日常を描いた作品。それに絡むのは新米の米屋の進君。
おいしいものを作ると人を元気になる。一番印象に残ったのは「モモソーメン」。
楽しく読んだ。
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欲の秋にふさわしい一冊。食べ物や料理がメインに登場する小説はかなり好きだ。なぜか食べ物と共に語られる人々の人生にいたく興味を感じる性質なので、、、 「食べ物は人を語る」なんてことはないか?
さて、これまでの井上さんの作品では「ベーコン」が、食とエロスを絡み合わせたもので印象に残っているけれど、今回の作品で取り上げられている料理はかなり庶民的。生活感に溢れているのは、舞台が私鉄沿線の住宅街に近い小さな惣菜屋さんだからかもしれない。
食べ物や食材のタイトルを付けられた11編の読み切り短編は、その惣菜屋さん「ここ家」で働く3人の女性が交互に主人公として登場するチェイン・ストーリー。
面白おかしい日常の裏で繰り広げられる各々の人生が実に印象的。それなりの年齢になるまでには幾多の積み重ねがあるということだ。そんな「ここ家」に、米屋の新人のイケメン君が登場する。その名も「進」君。これはもう運命とばかりに、「くる、まつ、いく」の3人は盛り上がる、、、
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中年女性三人が営むお惣菜屋。三人それぞれの過去、そして現在を描きながら、美味しそうなお総菜の数々が登場する。中年女性のはずなのに、若い女性にも思えてくる、不思議な魅力。
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お惣菜屋さんで働く3人の妙齢の女性たちの物語。出てくるお総菜はとても美味しそうでしたが、お話の方にイマイチ入り込めず…。うーん。私にはあまりしっくりとこない感じ感じでした。
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江子、麻津子、郁子。
60歳近辺のねーさん達のお惣菜屋さん「ここ家」。
本当にあったら通いたいくらい、メニューを見ただけでお腹が空いてくる。
家事は嫌いだけれど、お料理をきちんと作りたくなった。
井上荒野さんの本を読んだのって、3冊目だったかな?
今までの中でいちばん好き。
子供や若人の成長のお話もいいもんだけれど、さすが大人は面倒くさくなくていいわ。それはあたしが江子たちに近いからか。
あたしはどんなふうな60歳になるのかな。
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東京の私鉄沿線の、小さな町のささやかな商店街の中に「ここ家」がある。こだわりのご飯に、ロールキャベツ、肉じゃが、コロッケ、ひじき煮、がんも、あさりのフライ、茄子の揚げ煮、鰺のフライ・・・・・・、「ここ家」のお総菜は、どれもおいしい。オーナーの江子は61歳。友だちとダンナが恋仲になってしまい、離婚。麻津子は、60歳。ずっと想いつづけている幼ななじみの年下の彼がいる。一番新入りの郁子は、子どもにもダンナにも死に別れた60歳過ぎ。3人は、それぞれ、悲しい過去や切ない想いを抱きながらも、季節ごとの野菜や魚などを使い、おいしいお総菜を沢山つくり、お酒を呑み、しゃべって、笑って、楽しく暮らしています。
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同年代だがそれぞれ違う屈託を持つ江子・麻津子・郁子の三人がとてもいい。一見気が合うようには見えないながら、食べものという人が生きる上での根源的なところでつながっているような安心感がある。長く生きてくると屈託もあれこれと形を変え、なにもかも放り出したくなることもあるだろうが、「ここ家」の厨房で、旬の食材を前にして、あれを作ろう、これにしよう、と言い合う三人のやり取りが、それでも前を見て生きていくんだと教えてくれるような気がする。進くんがほどよいスパイスになっている一冊である。
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津市芸濃図書館-----安濃図書館。
NHK E-TV 10/22放送予定の「週刊ブックレビュー」で作者登場。