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紙の本
ペイルライダー (ガガガ文庫)
著者 江波 光則 (著)
転校経験豊富な享一は、他人と親しく接する事はせず、最終的にはいつも人間関係を破壊してしまうような男だったが、新たに転校してきたクラスは、これまでの教室と何かが決定的に違っ...
ペイルライダー (ガガガ文庫)
ペイルライダー(イラスト簡略版)
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商品説明
転校経験豊富な享一は、他人と親しく接する事はせず、最終的にはいつも人間関係を破壊してしまうような男だったが、新たに転校してきたクラスは、これまでの教室と何かが決定的に違っていた。そこでは担任教師の蒔絵が大学への推薦枠を餌に、生徒へ密告を奨励、相互監視によるクラス統治を試みていたのだ。クラスで唯一の孤高の存在、鷹音から驚くべき計画を聞かされた享一は、興味本位でクラス崩壊のスイッチを押そうとする。しかし、享一の周りでも不穏な事態が起こり始めて…。衝撃の展開が待つ、ノンストップ青春破壊小説。【「BOOK」データベースの商品解説】
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紙の本
弱者の復讐
2012/03/02 19:41
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:にい - この投稿者のレビュー一覧を見る
教師を含めた形でのスクールカーストもの
なんというか怨念のようなものを感じる設定
暗く邪悪で陰湿な、弱者の復讐と執念を描く
幼くも強烈な「プライド」こそが根幹にあるだろう
エグい展開だが読みやすく、考えさせられる内容
紙の本
恐ろしく静かな教室
2015/08/28 12:57
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
父親の仕事の関係で七度も転校している享一は、いつ頃からかクラスのパワーバランスを崩すことに楽しみを覚えるようになった。趣味でやっているブログなど、ネットの世界では普通に他人と関係が築けるのに、リアルではそんなことをしてしまう。
だが、新しく転校した高校はかなり奇妙だった。クラスメイトたちが一様で、個性が感じられる行動を教室で取らないのだ。その原因は、新卒二年目の教諭・蒔絵が敷く密告奨励制度だ。他者の失点を報告することで、指定校推薦枠の獲得に一歩近づくことが出来るという。
とりあえずクラスで何もすることがなくなった享一は、ただ一人、クラスで毛色の違う鷹音の眼鏡のフレームを眺めていた。好きなブランドなのだ。そしてその視線に気づいた鷹音は、享一にアプローチをしてくる。
一緒にライブに行ったり、同じ映画を離れた席で見たり、奇妙な距離感で交流をしていた二人だが、あるとき鷹音がクラスを一変させる計画を打ち明けてくる。その提案に対してどうするか。享一が自分の立場を決めきれぬうち、鷹音を災難が襲う。その原因は、享一にあった。
相変わらずエグいネタを平気で学園ものに放り込んでくる。イジメはある意味で定番だが、密告奨励制度や強姦、脅迫や復讐はあまりない気がする。だから中盤では思いっきり暗くなるし、陰惨な描写も多々あるのだが、終盤では意外なまでに明るい終わり方になる。その主因は、鷹音の性格によるとは思うのだが、それが適切かどうかは分からない。
そして密告奨励制度。普通にがんばったら大学進学など望めない生徒に、指定校推薦枠という魅力的なエサを用意して、教室を統治する。彼女の動機には一応理由があるのだが、その解決のためにこのやり方しか出来なかったとしたら、それはやはり元々の教育システムに問題があるのだろう。