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投稿者:senchan - この投稿者のレビュー一覧を見る
外交官 主人公 と誘拐事件 大変面白く 一気に読んでしまいました
紙の本
クレッシェンドしまくりのストーリー!
2013/06/12 17:44
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投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
イタリアのアマルフィへと観光旅行に来た、ひと組の日本人母娘。ところがホテルのロビーで忽然と、9歳の娘の姿が消えてしまう。日伊共同開発事業の調印式の為にイタリアを訪れる日本の外務大臣を警護せよ、という任務を受けていた主人公、日本大使館の外交官黒田だったが、突然娘を奪われた母親を放ってはおけず、共に娘探しを始める。やがてそれは誘拐事件である事が判明するのだが、その一つの誘拐事件が、物語が進むにつれとんでもないスケールの事件へと展開していく。最後はもう、世界をも揺るがさんばかりのはらはらどきどきの物語になっていくのだが。
まずこの作品の面白い所は、主人公が大使館員だという事。警察や軍隊が国民を守るために戦う、というのは分かるけど、海外で何か災いに遭遇したら、たよりになるのはやはり大使館にいる外交官なのだ。具体的にどんな事をしてくれるのか、どんな組織なのかという事が描かれていて非常に興味深かった。また海外であるから、イタリアとの風習や文化のギャップ等も、読んでいて非常に興味深かった。
そして何が白眉かって、物語の最後の最後、エンディング。最後の数行がもう、カッコいいカッコいい。ガッチガチのハードボイルドでもここまでは、と思わされるカッコ良さ。スピーディかつクレッシェンドに展開する物語をしっかりと捉えつつ読みすすみ、ぜひ最後のエンディングを堪能して下さい。次回作は無いのかな?ぜひシリーズ化してもらいたい一作でした。
紙の本
国際舞台の推理小説
2022/01/06 07:35
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投稿者:岩波文庫愛好家 - この投稿者のレビュー一覧を見る
小説として割と楽しめたと思います。国際色豊かで、観光都市としての魅力も見出だせます。外交官という内容は普段案外よく判らないもので、フィクションでありつつ、垣間見る事が出来たのではないかと感じます。
途中折々に出てくる犯人側の述懐を挟むのではなく秘匿しておくなど、小説の構成を練り込めば、より高まった内容になるように個人的には思いました。
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
かなり前に、映画でみました。その後、この本は、コロナ禍の最中に読了しました。映画の織田裕二と、この小説の主人公が、やや違和感アリでした、同じセリフでもなんとなく……違う感じがしたのは自分だけでしょうか
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今さらながら、黒田康作は後悔の舌打ちを繰り返した。どうしてサングラスを忘れてきたのか。現地の気候を頭にたたき込んでおくのは、この仕事の基本だった。
歳のころは、まだ二十代半ば。これから就職試験の面接でも受けに行くようなリクルートスーツを、一分の隙もなく着込んでいた。
黒田は苦笑を噛み殺した。野暮ったさを絵に描いたようなスタイルを恥じない日本人女性は、書類を手に辺りをやたらと見回している。
短くそろえた髪型のせいもあって、まだ学生にしか見えない。
総務の責任者は、黒田より五つも下の、まだ三十四歳。さりげなく、外務省トップとかつて仕事をともにしたとの経験を、あえて口にしてきた。
これで、部屋中の視線がすべて黒田に集まってくれた。
「いいかな、諸君。大臣が立ち寄る予定の施設は、すでに本省からファクシミリで送られてきている。その平面図に周辺の地図。地図は縮尺比の大きなものから小さなものまで、あらゆるサイズが必要になる。さらには、所管する行政官庁の職員名簿。そうそう、施設に出入りする業者のリストもあれば、万全だ。すべてそろえて、今村領事に提出すること。手分けしてかかってくれ。すぐにだ」
聖人ニコラウスの祝日である十二月六日にオランダ系清教徒がプレゼントを贈り合ったものなのに、いつしかイエスの誕生日の行事として世界へ広まっていた。
キリスト教徒は、こういう資本主義と結託した布教行事が、実に上手い。年の瀬にプレゼントを贈り合うことで、キリスト教徒でもない世界中の子供たちが、いつしか十二月二十五日を聖なる日だと信じ込むようになっているのだから。
黒田は申請書の一点をペンの先でつつき、谷本の表情を見守った。
「あ、いえー」
それですぐに抜群の言い訳を思いついたなら、充分に外務省の伏魔殿の中を渡り合っていける。
が、やはり彼は「坊ちゃん」だった。
「そう。仕事は探せば、いくらでもある。万全だとの思い込みが慢心を生む。俺はまあ不安で仕方ないよ」
谷本の肩をたたいてから、黒田は席を立った。
「当時の交友関係を押さえておくべきかと思いまして。急に昔の知人と会いたいと言われたのでは事ですから」
疑問が氷解したと見えて、西野が尖った顎を引いて黒田を見返した。
「そこまで調べ上げておくのか」
SOSが発信された先は、ポポロ広場のすぐ側に建つホテル・パルテノンだった。四つ星に輝く伝統あるホテルで、日本大使館からは直線距離にして二キロもない。
明らかな身代金の要求-。
黒田は一度深く息を吸い、動悸を抑え込んだ。今は誘拐された娘の母親が、目の前にいる。対応する外交官が慌てふためいていたのでは、彼女をさらに動揺させてしまう。
十時十五分、テルミニ駅発のナポリ行きのユーロスターの予約券だった。
ナポリの南、五十キロほどの海岸にある高級リゾート地として知られた街だ。十世紀ごろに繁栄したイタリア最古の海洋都市国家があったことでも知られ、付近の沿岸地域をふくめて世界遺産の指定も受けている。
ナポリ中央駅には定刻どおり十一時五十分に到着した。改札を抜けると、構内の表示板を確認してレンタカー屋のカウンターへ急いだ。
「警察を引き連れていないか、確かめさせてもらう。徒歩でサン・ビアージョ教会へ五分で行け。急げよ」
娘を誘拐され、しかも犯人からの電話が途切れた中、これほどまでに仕事を続けられるはずがなかった。この懸命さは、娘の誘拐に関係している、そう思えた。
彼女はインターネットを利用して何かを調べているのだ。
「あなたの睨んだとおりでした。このホテル・パルテノンだけでなく、ユーロスターを運行するイタリア鉄道、それに犯人が指定したアマルフィのホテル・グエッラ。すべて同じ警備会社の監視カメラが設置されていた」
ミネルヴァ・セキュリティのイタリア本社は、ローマ中心部より南へ約10キロほどになるEUR地区にビルを構えていた。
EURとは、ローマ万国博覧会の略だった。かつてムッソリーニがローマで博覧会を開くために開発を進めた新都心を意味する。
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「アマルフィ」とはイタリアの風光明媚な観光地。
母子でそこに行くための旅行中に娘が誘拐され、身代金を要求される。
犯人からその子を助け出そうと手伝うのが、主人公外交官の黒田康作。
最近の「覇王の番人」「デパートに行こう」と違い、著者らしいスピード感があり、以前面白いと感じた頃に作風が戻ったようで安心した。
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海外の邦人保護を任務とする外交官・黒田はテロ情報をもとにローマへと派遣されます。
時期を同じくしてイタリアを訪れた日本人の母親と幼い娘。
少女が何者かに誘拐され、黒田は真相を追いかけていきます。
最初から、ただの誘拐事件ではないことを思わせる部分が多々あり、
裏に隠れた真相を見極めようと、1つの言葉も漏らすまいと真剣に読みました。
中盤まではノンストップ状態です。
次第に最初の想像とは異なり、政治的な思想と民族問題が絡んだ展開になります。
やや強引な部分もあったと思いますが、
アマルフィの美しい景色を容易に想像することができ、
最後まで面白く読み終えました。
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真保裕一による映画原作から書き起こした、外交官シリーズ第一弾。
読み始めはどうも、織田裕二の顔がチラついてなんだかなあと思っていたが、読み進めるに連れそんなことはどうでも良くなってきて、物語の世界に没入してしまう。日本人誘拐事件に端を発した物語は、やがて思いも寄らない展開を見せ始める。このあたり、真保裕一のストーリーテリングの巧さが光っている。
それにしても、久しぶりに寝る間を惜しんで読んでしまい、今朝3時までかけて一日で読み終えてしまった。
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イタリアは好きな国であり、その国の中で発生する事柄がスピーディに展開され、非常に娯楽性の高い作品。
自分の仕事柄、日本大使館の方に会うことも少なくなく、その裏舞台を見ているようで楽しくもあった。外交官シリーズ、面白し。
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映画の原作を書いた著者が、後で小説を書いたということを知らずに読んだ。映画を観ていないので比較ができないが、それを知ると、人物設定やストーリー展開の点で、なるほど・・と思う点が多々ある。
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多少まどろっこしい所はあるが、それほどテンポも遅くなく面白かった。
いくつか伏線を見逃してしまった所があったかもしれない。
読んでから映像を見てみたいと思ったが、織田か、、、、、、、、、、
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久々の真保裕一。
テンポがよく読みやすいが、期待しすぎたぶん、ページ数の割には内容はうすく感じた。
惜しい。
映画原作ありきで書かれたので仕方ないのか・・・
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父親に借りてきて拝読。
犯人一味を悪役ではなく、崇高な理念を持ったカリスマ集団に見せようとしてたのが印象的。
方法はどうあれ、考えとしては間違ってないと。
日本という無宗教に等しい国にいると気づかないけど、宗教によるアイデンティティーって大きいんだろうなあ。
あと、本文のどこかで「資本主義というイデオロギー以外の原因による紛争などない」みたいな表現があったけど、これがテーマとの対比になってるのだと思いました。
2013.7.15(月)
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外交官シリーズ。
映画が面白かったし、真保裕一だから、ストーリーはわかっているけど購入。展開が映画とはかなり変わっていて、違ったものとしても楽しめる。映画を見ているから、アマルフィ海岸など情景をリアルにイメージできるのも楽しめた理由の一つ。
同時に、織田裕二と天海祐希は頭から離れないが。
きっとヴァチカンでこのロケはできなかったから、映画のストーリーが変わったんだろうな。
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久しぶりに真保 裕一氏の作品を読了。もともと映画からドラマへと繋がる「外交官 黒田康作」シリーズのストーリーを小説化したとのこと。イタリアを舞台に展開が目まぐるしく変化し、ラストにいたる活劇も手に汗握る。
主人公の黒田は、映画主演の織田裕二のヴィジュアルとはしっくりこなかった。もっと堅物っぽいルックスが合いそうな?
誘拐の裏に隠された真実の目的は、いかにも真保 裕一氏らしい、以下ネタバレ…
犯人一味は少人数で不可能犯罪に挑んでる、その手法も目的意識も高く、自分は犯人サイドに思いっきり感情移入した。この話犯人視点で描いたらもっとサスペンスフルな作品になったんじゃないだろうか?
そしてやっぱりアマルフィの青い海に魅せられる。