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きみ、れいせいにおちつきなさい。
ドイツというのは外国だよ。
外国というのは新宿より遠いんだよ。
『ドラえもん』より
エピグラフにこれを持ってきてる時点で「この本好きだ」と思った。私もドラえもんは相当好きなのだが、読み過ぎで細部の変なところにおかしさを感じるような状態になっている。冒頭のエピグラフは「ゆうれい城へひっこし」という話で、ドラえもんが「ドイツなど簡単に行けないだろう」とのび太を諭すセリフなのだけれど、ちょっとドラえもんの諭しかたがズレているというか大人なんだか子供なんだかわからない感じがなんか笑いを誘う。『ドラえもん』のセリフにはわりとこういうのがある。藤子先生が好きだった落語の影響なのだろうか。
ちなみに私が初めて覚えたドイツ語はこの「ゆうれい城へひっこし」に出てくる「ヤパーナ(日本人)」ではなかったかと思う。あとこの話にはロッテさんという人が出てくるのだけれど、『若きウェルテルの悩み』にロッテが出てきたり、トーマス・マンの『ワイマルのロッテ』という題を見たりするたびに、「あのドラえもんに出てきたロッテさんはいろんなところに出てくるのだな」と思ったりしたのだった。
話がおかしな方向にそれているので『マンガホニャララ』に戻す。
ブルボン小林こと長嶋有さんのマンガ論で、単行本だった頃から狙っていたのだが、うかうかしているうちに文庫化(うれしいけど)してしまった。ハットリくんの表紙絵がやはりいいなあと思って早速買って読む。
目のつけどころが本当に面白い本だった。『にこたま』の地に足がついた感じ、『シンプル ノット ローファー』のキャラの覚えられなさ。読んだことのあるマンガに対する話は「なるほどなあ」と感心する。読んだことないものもかなり読みたくなった。本書で3回も言及される『打姫オバカミーコ』がかなり気になる。麻雀ちょっとわかるしいいかもしれぬと思った。絵がスゴイけど…
ブルボン小林さんの読み方は少しひねくれていると映る人もいるのかもしれないけど、自分にはこういうのが楽しい。
最後に文庫版の付録としてついている「スネ夫全自慢148連発!」は声を出して笑った。
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すでに単行本で読んでましたが、いつものごとく手放してしまったため、
文庫が出たというので即買いに走りました。
ブルボンさんは文章がおもしろい。
この人の言い回し(書き回し?)だけでクスリと笑えてしまいます。
特にこの文庫版には、巻末にスネちゃまの「自慢148連発」が
掲載されています。
ここにもブルボンさんの一言が。
「将来さえ自慢(P.272)」とか、さらりと書いてあるので
グフフと笑ってしまいます。
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週刊誌・雑誌に連載されたマンガについての批評コラムをまとめたもの。『ドラえもん』から最近のものまで、ギャグ漫画も少女漫画も幅ひろく登場。
マンガを語るにもいろいろな目のつけどころがあるもので、知ってるマンガについての記事なら「なるほどね」と思いながら、知らない作品については「へぇ〜、そんな作品があるのね(読んでみたいな)」などとおどろいたり感心したりしながら読めるので、マンガ知識がごく限られている私でもわりとすいすい読んでしまった(著者と同世代というおかげも多少はある)。
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≪目次≫
第1章 「面白い」だけでは愛されない
第2章 「キャラ」と「個性」は違います
第3章 彼氏に進めるマンガ
第4章 「たかがマンガ」といわせてほしい
文庫付録~マンガはみんなで楽しむメディア
≪内容≫
2000年代のマンガ評論。主流をはずして、例えば片山やすゆきの『打姫オバカミーコ』を薦めたり、自分には合わないところもあったが、第4章あたりははまる部分だった。最近離れ気味のマンガを手に取ろうかと思った。
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文庫版出たから買った。単行本との違いはピエール瀧との対談・補遺:すね夫の自慢集、あとはカットが2点増えている。ロワイヤルの方がトーンが抑え目なので、1作目の秀逸さが映えている。
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絶賛せず、かといって(そんなに)おとしめることもない、漫画レビュー。ネットの漫画書評サイトとはまた違う視点からのレビューは新鮮です。
古いのから新しいのまで独特のチョイスで選ばれたレビュー群。黒子のバスケあり、人によっては聞いたことないぞ?な漫画あり。
本文中でなぜか三回もとりあげられている片山まさゆきの「打姫オバカミーコ」。麻雀漫画とは敷居が高いらしく読んでもらえないらしい。
私個人としては麻雀しらなくても麻雀漫画は面白いと思う。ルールは知らなくても大丈夫! 雰囲気を楽しめたらいいんだ! バイオレンスだったりSFだったり昭和初期だったりギャグだったり恋愛だったり色々盛り沢山だよ!
みんなもっと麻雀漫画を読むんだ!
文庫特別付録としてスネオの自慢リスト付きです。まさに誰得。
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『モジャ公』読みたい。
言わずと知れているかどうかは分からないけど、藤子・F・不二雄の作品で、宇宙を冒険する物語。
この本を読むと、まずとにかく、『モジャ公』を読みたくなる。
そもそも、そのビジュアルは何となく分かる気がするのに、はっきりと自信を持って、読んだ!という記憶がなく、なんとも曖昧なのである。
ところがブルボン小林さんの中ではかなりウェイトが大きいらしく、再三にわたり『モジャ公』を推してくるのだが、いかんせん記憶が曖昧すぎて、「とりあえず読まねば……!」という気になるのである。
古今東西(といっても、基本的には日本のコミックのみだが)のマンガを網羅し、さまざまな視点観点からのコミック論を展開させ、かつ、楽しく読ませ、且つ、読者に「読んでみたいなあ」と思わせる、優秀なコラムというかエッセイというか。(このあたりの線引きはよく分かってない)
片山まさゆきと『モジャ公』が好きな人は、安心してお手に取れること請け合い。(枠が狭すぎる?)
懐かしいマンガだけじゃなく、今をときめくジャンプマンガにも言及してあるので、新旧マンガ読みは、安心して本書を手に取られたし。
そしてみんなで、『モジャ公』を買おう。(案外書店で見かけない……)
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数多とある日本の漫画に関し、作者がつらつらと綴ったエッセイ。巻末の「スネ夫自慢148連発」に釣られ、先輩から借りて読みました。
「そういう見方をするか!笑」と衝撃を受ける部分もあるものの、非常に沢山のジャンルの漫画が出てくるため、この本を理解するにはあまりに基礎知識不足でした。
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この人の本をはじめて読んだが、
かなり穿った視点、ほめともくさしとも言いきれない発言、などなど、
狭く深いところを耳かきくらい細く長い棒状のものでぐりぐり刺激される。
F氏、A氏への愛もすばらしい。
・漫画的人名。
・「ガラスの仮面」級になると途中で携帯電話が現れたりする。
・あとがき自画像。
・「ヒストリエ」のあらすじ問題。
・題名ロゴ。
・現実のいちいちがすべて伏線に見えてくる、金田一少年効果。
・吉田秋生のシフトダウン。
・女性は、彼氏よりもかっこいい漫画を褒めてはいけない!
・「青い花」→別の高校に通っていること、の、漫画史的おどろき。
・「ドラえもん」の題名。
・花輪和一→宮崎駿。
・漫画内効果としての扇動されやすい大衆。
・F……死ぬのではなく、消える。
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マンガ愛が溢れるコラム。その指摘は、愛するが故に厳しく本質を突いている。巻末対談で、ピエール瀧氏が「外堀を内側から攻めるような」と評したとおり。
また、文庫版ふろくの『スネ夫の自慢148連発総まくり!』がうれしい。アイドル伊藤つばさ自慢の多さが意外な発見。
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漫画コラム集。「どの指摘にもなるほど!」というピエール瀧の推薦文にもあるようにふむふむと頷きながら読んでいました。コラムが載った日付自体も古いのでマンガ自体も名作(迷作)が多い印象。もちろん新し目の作品もあります。知らない作品を読んでみたくなります
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【誰も指摘しなかったことばかり。脅威の68本!】宮崎駿と花輪和一の類似性とは? 少女漫画の後書きで著者はなぜ過剰にへりくだるか? 為にはならないが、最高に面白い漫画コラム。
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読書録「マンガホニャララ」4
著者 ブルボン小林
出版 文藝春秋
p76より引用
“知人曰く「やはり人気が出る漫画は、一巻
からヒキの強さがちがう」のだそうだ。”
目次から抜粋引用
“「面白い」だけでは愛されない
「キャラ」と「個性」は違います
彼氏に薦めるマンガ
「たかがマンガ」といわせてほしい”
数多くの連載を持つコラムニストによる、
マンガ評論コラム集。
多くの人が知っている作品からマイナーな
作品のほんの一部分まで、独特の切り口でマ
ンガへの思いが記されています。
上記の引用は、著者の知人についての一文。
人気漫画の一巻だけ読むことにしたそうです
が、人気漫画とわかってよむからこそ、一巻
のヒキが強く感じられるのかもしれません。
なんの予備知識もなしに、一巻ばかり多くの
人に読んでもらったら、きっと結果はかなり
ばらけるのではないでしょうか。
そうでなければ、今みたいに数多くの漫画が
世の中に出てくることはなかったように思い
ます。
漫画やアニメが日本の文化だ、と言われる
ようになっていますが、穏やかな時でないと
ゆっくりと楽しめませんね。
世の中が穏やかでありますように。
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おもしろかったよ。読みたくなったし。読み続けてるうちに置いてきぼり感もある。ひとりで先に行っちゃった(喋りながら)。対談がもっとおもしろかった。瀧が言ってた、小説はパーソナルなのに対してマンガは共有してなんぼって感覚、いいな。
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ブルボン小林氏の漫画コラム。
相変わらずの「痒いと思ってなかったのに掻いてもらってはじめて痒かったと気づく」ようなプチ快感なコラムだなあ。
特に浦沢直樹さんの漫画に対するモヤモヤする違和感「面白いんだけど、上手いと思うんだけど、なんだか納得できん」の正体が分かってスッキリした。
マイナーな作品も多いが、独自の視点で読ませてくれて、興味を引かれたものも。
一番気になったのは最近『うつヌケ』でヒットを飛ばした田中圭一さんの『神罰』。ブラック・ジャックが「エロゲーってのはな、こうやるんだ」とのたまいつつサファイヤやメルモを攻略するためにパソコンのマウスをカチッカチッと動かすシーンがあるらしい。神をも恐れぬ同人誌マインド!それを超絶的な漫画の腕(手塚さんが描いたとしか思えないほどのコピー感!)で見せる。くだらん、と思う人もいるかもしれないが私はそういうものに感動してしまう。いや、手塚さんの漫画も大好きで大尊敬していますが。
文庫版のふろくはピエール瀧さんとの対談と『ドラえもん』のスネ夫の自慢148発。