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商品説明
【日本比較文学会賞(第20回)】日本の明治期、中国の清末民国初期における日中演劇界の緊密な連携関係、とりわけ中国の近代演劇の成立に果たした日本の役割について、多数の新史料と、人物の往来、脚本の翻訳といった具体的な事象を通して総合的に論じる。【「TRC MARC」の商品解説】
日本の明治期、中国の清末民国初期における日中演劇界の緊密な連携関係、とりわけ中国の近代演劇の成立に果たした日本の役割について、両国話劇のはしりである文明戯(中国)と新派(日本)の関係を中心に、多数の新史料と具体的な事象(人物の往来、脚本の翻訳、舞台芸術)を通して総合的に論じる。【商品解説】
目次
- 序章
- 一 本書の課題
- 二 これまでの研究
- 三 研究の目的と方法
- 四 本書の構成
- 第一章 日中近代演劇の展開
- 第一節 近代化と演劇改良
- 第二節 新演劇の誕生
- 第三節 新演劇の担い手と享受者
- 第二章 新演劇のネットワーク(一)
著者紹介
陳 凌虹
- 略歴
- 〈陳凌虹〉1979年中国雲南省昆明市生まれ。総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程修了。学術博士。華東師範大学専任講師。専門は日中近代演劇交流史、比較文学比較文化。
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紙の本
まだ自由だった民国初期の様相が見える。
2016/08/23 10:09
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投稿者:照月 - この投稿者のレビュー一覧を見る
明治維新後は、中国では清末民国初期に当たり、非常に多くの中国人が日本に留学していた。
その実情は、実は、文明開化に成功した日本を学びたい、という目的と同じかそれ以上に、「文明開化により日本に流入して来た西洋の学問を日本で学びたい」という目的の留学生が多かった。
(西洋に留学するより安く済むだけではなく、既に日本語訳された時点でかなりの部分が漢字になっており、中国人には原文読むより楽である)。
演劇は西洋から日本に渡り、その後帰国した留学生が中国に持ち帰り、大きな影響を与えた。特に「椿姫」は、日本でも中国でも設定を自国人にして上演し、人気を博した。
この時期の中国は「演劇改良論」が展開された背景には、伝統演劇が厳しく批判されたこと、また演劇の社会的効用が高く評価されたことがある。
要は演劇を、国威を上げる為に利用しようとしたわけだが、中国には当時の特殊事情がある。字が読める人は、本書によれば1000人に1人しかおらず、日本の寺子屋のように文字によって思想を教えるということに限界があったのである。
こうして中国近代演劇は成立するが、戦後内戦で共産党が勝利すると、こうした自由な演劇もすたれた。
中国演劇が花開いた、束の間の時間である。それを伝える貴重な本である。