紙の本
日本の経済と文化を深く考察した画期的な書です!
2017/12/05 10:30
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、デービット・アトキンソン氏によるものですが、彼は元ゴールドマンサックスのアナリストとして名を馳せ、我が国の金融再編にも多大な貢献をしてくれた人です。加えて、彼は、我が国の文化及び伝統を守るために、日本のある老舗企業の経営者に転身したことでも有名です。本書は、こうした彼の経験から、外国人から見た日本の強みと弱みを分析し、日本の経済と文化について深く考察した内容となっています。日本人が知らない、日本の実像を語ってくれる希少な書と言えるのはないでしょうか。
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違う観点から物事をみる
2016/10/24 21:22
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投稿者:Anna - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本で育ったわけではないイギリス人だらこそ、かつ分析者だからこそわかる情報がずらりと書いてあります。とても勉強になるので面白く一気に読んでしまいました。ただ文化に関しての価値観はイギリス人と日本人の間では大きく差があるので、デイビッドさんが言うような国宝を守れる日本人を育てるのには政府ぐるみの活動が必要ですね。
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投稿者:うらら - この投稿者のレビュー一覧を見る
「前々から思っていたけどうまく言葉にできなかった事を言ってくれてありがとう」というのが最初の感想。会社の上司や経営者の全く人の話聞かずやたらと上下関係にこだわるなど仕事と関係ないところにばかり力注いで馬鹿みたいなのが最近の日本企業の衰退の一つの原因かなと思ってたので。日本とイギリスじゃ違う事もあるでしょうが日本人でもおかしいと思ってる事沢山ある。あるけど変て言うの勇気がいる。言ってくれてありがとう。
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クールでは無いミステリアス・ジャパン
2015/10/25 10:18
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投稿者:okadata - この投稿者のレビュー一覧を見る
いやあこれは爽快、バブル崩壊後に日本にメガバンクは四つあれば良いと書いた元アナリストで、現在は寺社仏閣などの文化財修理会社小西美術工藝社社長のデービット・アトキンソンさんの日本社会への提言。日本はまだまだ遅れた部分がある、だからそこを伸ばせば成長できるとこういうストーリーだが日本社会へのだめ出しっぷりが気持ちいい。
例えば非科学的なことを大真面目に語るミステリアスジャパニーズ現象の数々
メガバンクの頭取がプライベートバンキング部門を新設するとコミット、どれだけ人員を割きますかという問いへの答えは「5人!」、しかし日本人アナリストは「買い」推奨(笑)なぜかというと「頭取の目つきがいつもと違っていた!」だ。日興銀の頭取は合併を主張し、その根拠として「利益も少ないし、含み益はあるけど人も店舗も少ない、しかし実態を無視して株価は高い」と説明するアトキンソンさんに「この興銀の廊下から壁から。これまで日本経済を支えてきた産業界、経済界の人々のパワーが出ている。それが利益に反映されていないだけだということが、株が高い理由です」だと。元々銀行幹部はアナリストは「俺が言ってることを黙って書けばいいんだ」という態度だったらしいがそれは外国企業には通じないわなあ。
そんなアトキンソンさんの日本の現状の基本認識はこうだ。日本の一人当たり購買力平価GDPは世界25位、先進国ではアメリカ10位、ドイツ17位フランス、日本、イギリスが24〜26位だ。世界一の技術大国だというならアメリカやドイツに並んでいないとおかしい。
GDPに占める輸出入の割合が小さいのは成長のための大きなポイントになる。輸出ですら世界シェア3.9%でドイツの半分以下だ。そしてここからが本題で観光業には大きな可能性があるが日本は観光客が望むものを理解しているとは思えない。「お・も・て・な・し」を勘違いするとせっかくの資源が無駄に終わるよと言う話。アトキンソンさんは裏千家で茶道をやっておりお茶の基本は「もてなすための臨機応変」だという。普通の町の人の小さな親切の方がおもてなしとしては本筋なのだ。
イギリスでは観光客の多くが文化財を見に来るのに日本の文化財保護予算は余りにも少ない。しかもアトキンソンさんの修復には国産漆を使いましょうと言う訴えはなかなか受け入れられなかった。ただコストを下げろといのではだめで、観光客はその世界を取り巻くストーリーを体験しにくるのが「文化」なのだと。そして観光業が雇用も経済成長も呼ぶのだ。日本の予算はイギリスの1/10しかなく入札が無防備で工事終了後の検査制度がなく、つまりちゃんとした仕事もやっつけ仕事も入札金額でしか評価されていない。
アトキンソンさんの重要な指摘は「シンプルアンサー」を求める人が多いことだろう。アベノミクスで景気が良くなるとかもそのわかりやすい例だ。サッチャーもレーガンも効果が出るまで5〜7年はかかっていた。15年度の税収は予算を上回り54.5兆だとか。新規国債の発行は4兆円減らして37兆円。そして文化財保護費用は81億ほどで、観光業収入は149億ドルとマカオの1/3以下。だからといってカジノやIRに飛びつくのが「シンプルアンサー」だ。観光地でお金を落とす国民で日本に来ているのはアメリカと中国くらい。オーストラリアやヨーロッパのリピーターが来る様な施策が必要だ。外国人観光客が日本に来て食べたい料理はステーキ、しゃぶしゃぶ、すき焼き、お寿司、鉄板焼きと言う順。イメージとの違いはやはり数字に基づいた分析と細かい改善を積み重ねていくしかない。
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日本人は技術力があると言われているのは、本当なのかをサイエンスする必要がある。著者のデビッドは、例えば日本のGDPを見るとこう分析している。世界には242か国あり、人口が一億人以上の国は11あると言う。日本はその10番目。人口で考えれば、中国に抜かれのは当然となる。など、日本人には、分析する習慣がないので、感情論になる傾向が強い。なるほど。また、東京オリンピックのおもてなしの考え方は、上から下を見る見方だと喝破している。しかしながら、分析を深めれば、日本にはまだ伸びしろがあるとデビッドさんはまとめている。
がんばろ!
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快刀乱麻。「肯定も否定もせず、ただおかしいと思うところは指摘する」と念を押した上で、圧倒的な客観性とデータによって日本の経済を分析します。辛辣に事実を突きつけられますが、日本の良い所、悪い所を発見し、新たな歩みを始めるための希望も授けられます。オススメです。
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著者は、ゴールドマンサックスでパートナーを務めた後、文化財の修
繕・補修を行なう小西美術工藝社の社長に就任するという、異色のキ
ャリアを積んだ方。ゴールドマン時代は、金融機関の不良債権の実態
を暴き話題になったそうです(驚くべきことに、銀行からは猛烈なク
レームや脅しを受けたそうです)。また、小西美術工藝社の社長にな
ってからは、旧態依然とした会社の体質改善に成功。まだ40代。こう
いう方を真のエリートというのでしょう。
本書は、金融と文化財という、二つの世界から日本を眺めてきた著者
による、日本論・日本人論であり、文化財保護や観光活性化に対する
具体的な戦略提言の書です。凄腕アナリストだっただけに、データに
基づくわかりやすい分析はお見事。あまりマスコミで語られることの
ない、日本経済の実相がよくわかります。そして、実際のデータを確
認することなく、感情論や精神論で物事を判断してしまう日本人のヤ
バさも。本書を読むと、いかに自分達の視野が狭く、偏ったものの見
方をしているかを思い知らされます。
後半部では、日本の文化財保護の実態と観光の問題点が語られます。
オリンピック・パラリンピックの招致に成功し、「お・も・て・な・
し」で盛り上がる日本ですが、それがいかに実体のないものなのかも、
指摘されます。そして、英国の政策などを参照しながら、文化財保護
を通じた雇用創出、観光活性化、地方創生戦略が提言されます。非常
に納得感のある提言です。観光立国に向けた具体的な処方箋と言える
ので、観光や地域経済に関心のある方、必読です。
外国人が見た「ここが変だよ、日本人」的な本はあまたありますが、
本書は、それらとは一線を画します。著者に、高い知性と教養、そし
て日本文化に対する深い敬意があるが故だと思います。
私達自身のことをよく理解できるようになる好著です。是非、読んで
みて下さい。
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▽ 心に残った文章達(本書からの引用文)
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三百年続いた日本企業の改革に成功して感じたのは、
「やるべきことをやれば日本の組織は劇的に改善する」
ということです。
イギリスのマーガレット・サッチャー首相だろうが、アメリカのロ
ナルド・レーガン大統領だろうが、先進国の経済を上向きにさせる
までは5?7年はかかっています。まず徹底的にマイナス面を出し
切って、改善して、そこからようやく経済が上向いていくという非
常に長いスパンの話なのです。
これに手をつけたら、すぐに結果がでてバラ色の未来が待っている、
というような「シンプルアンサー」を求めている人があまりにも多
いような気がしています。
「すぐに良くなる」「すぐに悪くなる」という単純明快な「シンプ
ルアンサー」を求めている限りは経済改革というものがう���くいく
わけがないのです。
数字に基づいた分析をおこない、細かい改善をひとつずつすすめて
いけば、成果というものは必ず現れます。
日本人ならではの良いところも、もちろんあります。日本人は恐ろ
しいほど前向き。いや、もはや「忘れっぽい」と言ってもいいかも
しれません。日本のサラリーマン文化も然りです。
「過去にとらわれない」「変化に対して前向きに対応できる」
これは非常に良いことだと思います。可能性に制限がないからです。
社長さんたちの多くは「信長に学ぶ」とか「坂本龍馬を目指す」み
たいな話が大好きで、よく勉強会もされていました。(…)しかし、
経営者がまずやるべきことは「生き様」を真似るなどではなく、
「数字」を見ることではないでしょうか。
「おもてなし」について重要なポイントは二つあります。ひとつは、
海外では「おもてなし」を受けたかどうか、評価をするのは客であ
って、供給者側が決めるものではないということ。そして、もうひ
とつが、日本人が自画自賛する「おもてなし」と、外国人観光客が
評価をする「おもてなし」は違う場合があるということです。
残念ながら、日本は「技術大国」「おもてなし」など自画自賛ばか
りをしているご都合主義がゆえ、社会のなかに蔓延するこのような
「効率の悪さ」に気づいていません。
(英国では)文化財保護を産業政策のひとつに位置づけて、文化財
の保護予算を増やしてきたのです。予算が増えたことで、英国文化
を守ることができたのはもちろん、文化財保護にまつわる様々な仕
事が生まれたことで雇用促進につながりました。特に地方経済が活
性化して、治安まで改善したのです。
海外のさまざまな国のデータでは、文化財などに興味のある観光客
は一日10万円を消費するというデータがでています。では京都を
訪れる外国人観光客一人当たりの消費額はいくらなのかというと、
1万3000円弱なのです。
(「ゆるキャラ」は)文化財にカネを多く落とす外国人観光客から
すれば逆に興ざめしてしまうような「子どもだまし」の観光PRと
いう印象を異だいてしまうかもしれません。
海外において文化財保護の基本はPreservationとPresentationの
両方といわれます。つまり、保存しながら、それをどう人にアピー
ルするかということです。
忘れてならないのは「自然保護」です。日本は一平方キロメートル
あたりの植物と動物の密集度が世界一だと言われています。
これは間違いなく日本の財産です。この自然を見たくてやってくる
何千万という外国人観光客に楽しんでもらいつつ、それを維持して
いく整備も今後は求められていくのではないでしょうか。
地方は歴史と文化と自然の宝庫ですから、文化財を中心とした観光
戦略というのは真の地方創生戦略になるのではないでしょうか。
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欧州各国にとって、観光は極めて重要な産業です。先日訪れたオー
ストリアでは、観光が第一の産業と位置づけられていました。
オーストリアに行って感心したのは、どこの町も綺麗だったことです。文化財の
維持修繕にお金をかけているということもあるのでしょうが、観光と関係のない
仕事についている普通の市民が、「綺麗にしておかないと、観光客が来てくれ
ない」と言っていたところを見ると、市民一人一人の力が大きいのではないかと
思いました。
どの地方都市に行っても文化財がある状況を見て、一緒にいた日本人の一人
が、「過去の遺産で食っている国だ」と嫌味を言っていましたが、その過去の遺
産をきちんと守り、綺麗に保つ努力をしていることについては、思い至らなかった
ようです。
オーストリアの次に行ったドイツの農村の美しさも印象的でした。農業がちゃん
と生きていて、その日々の営みが美しい風景を生み出している。そして、家や
道も、とても綺麗に手入れされていて、それが独特の美しさを生み出している。
暮しと結びついた美しさというのは、本当に特別ですね。
日本では失われつつある美しさが、ドイツにはまだきちんと息づいている。その
ことにショックを受けると同時に、農村もここまで美しくなれるんだ、という希望
というか目標をもらった出張でした。
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コンピュータの発達によって仕出しに代わっていき、全てが数字化されてきた。このアナリストはすごいという抽象的な評価ではなく、会社がデータを集めて分析したものが評価されるようになった。たとえば、このレポートでお客様からどのくらい注文があって、推奨した株がどうなったか、お客様は儲かったかは当然で、レポート数、頻度、質、周囲の評価、お客様の表か、訪問数、電話の数まで数値化されていきました。
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数字に基づいた痛烈な日本の企業風土批判などは耳が痛いながらも痛快。しかし本当に読みたかった文化財に関する内容が最後の1/4だけだったのが残念。
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アナリストと文化財補修者という二つの立場から語られる日本に、日本人ながら圧倒されてしまいました。日本人の見えていなかった日本、世界における客観的な日本の立ち位置というものが如実に語られています。自分にとって将来の指針となる一冊になると感じています。この本に出会えて良かった。
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イギリス人による日本の観光業への提言。ジャパニーズは数字を見ないご都合主義だと言い放ち、表面的なおもてなしをも否定する。批判覚悟の主張ばかりではあるがその内には日本愛が感じられる。日本という国を忘れてしまった日本人にこそ読んでもらいたい一冊。
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日本に魅せられたイギリス人の元外資系アナリストによる一冊。
さすがアナリストだけあって、随所にデータに基づいた現状分析とそれに対する処方箋が明示されていますのでいちいち「ごもっとでございます」と思う内容が多いですね。
著者のような第三者的な視点でデータに基づいたりして話を進めるというのは、私は比較的好みですのでここ数日の生活での待ち時間の長い場面を利用してあっと言う間に読むことが出来ました。
日本文化のことだけではなく、観光に関することだけではなく、経済のことだけではなく。
上記の内容はもちろんですが、それらの周辺部分にまで及ぶ幅広い内容がこの一冊に凝縮されています。
年末年始のお休みに、サラリと読まれてみてはいかがでしょうか?
付箋は21枚付きました。
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日本人の「おもてなし」に関する誤解や、日本人がそれを勘違いして使っているという点が非常に興味深かった。
特に、日本人ではなく、日本という国家として考えた場合は、必ずしも高評価の「おもてなし」になっていないという指摘にはドキっとさせられた。するどい分析だと思う。
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サブタイトルのGDP8%の話は全く出てこず、日本の経済・社会的な価値観の否定に終始している。
日本の経営者は数字を語らず、サイエンスがないとこき下ろしているが、彼こそその批判は感情的、主観的。投資銀行のアナリストも、人によっては怪しい商売をしているのだが、その前職の時の話で、銀行を始めとしたクライアントをバカにしたような論理的でない話(彼の主観)を書きつづり、自分の仕事ぶりをアピール。興銀の実名を出すところなどは、彼のモラルを疑う。老舗旅館、レストランをこき下ろすところも、アーリーチェックインを断った従業員から「部屋は空いているが入れない」と言われ、宿泊客限定レストラン(というのもいまどきあるのか?)も「食材もあり、席も空いているが宿泊客しかだめ・・」と断られたらしいが、わざわざ断るときに正直にそのように言う従業員は日本はもちろん、世界を探してもいないと思う。正直、売名行為ではないかと思う。残念な本。
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転機が訪れたのは、1937年のナショナルトラスト法改正。買取だけではなく貴重な資産の所有者とナショナルトラストが保存の契約を結び、両者が協力して資産を保護し、管理することを認めた。所有者には相続税の減額などの特典が与えられることとなり、大規模改修や土地をナショナルトラストに寄付する所有者が増えた。チャーチルや「ピーター・ラビット」の原作者であるビアトリクス・ポーターという著名人も、所有する屋敷や土地を提供した。