紙の本
久しぶりのスミスの作品は期待通り
2015/10/16 11:48
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投稿者:川越ながちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
上下とも一気に読ませる内容でした。相変わらず内容に含みがあり、最後の展開も衝撃的でした。
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田舎社会の保守的な閉塞感と、そこを支配する有力者の身勝手な保身。
ダニエルがゲイとして設定されているのは、女を欲望する男でも・男から欲望される女でもない、中立の立場で真実を明らかにする必要があったからなのかな。
周囲の反対にも関わらすスウェーデンに渡ったのは、両親の過去を知ろうとしてこなかった彼なりの罪滅ぼしだろう。
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序盤は慌しく始まり、気がつくと母の話に引き込まれていた。裏返ったカードを一枚ずつめくっていく作業で少しずつ輪郭が見えてくるが、全貌までは程遠い。大部分を占める母の話は引っ張りすぎ。追ってくる父の影に神経質になり、話は寄り道し、どちらを信用すべきかますますわからなくなる。
興味深い構成で吸引力も抜群なのだが、ミステリとしては完全に肩透かし。ラストでいくつか明らかになるが、すっきりとはしない。小さなコミュニティでの閉塞感、保守的な人々と高圧的な権力者──これは家族の物語。そう読むと面白く感じる。辻褄合わせの違和感は残るが、悪くない締めくくりだと思う。
三部作とは全く雰囲気が異なります。どっちの作者が本物なのだろう? ダニエルの気持ちがちょっとわかるわ。
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上での広げ方に対して、下の収拾の仕方が急ぎ過ぎのような、ちんまりし過ぎのような。。。
家族の、家族であろうとするぐちゃぐちゃは面白かったし、ラストもわるくないと思うけど。
まあ、そうだよね、そう来るよねの真相。このテーマはミステリでは結構多く決して珍しくないけれど、個人的には好きじゃないし、それほど掘り下げられそうな気もしないので、そろそろ禁じ手にしてほしいくらいである。つい「またか。。。」と思ってしまうのであった。
あ、でも、一気本には認定します。
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かなり引っ張った割には、少々肩透かし感が。あんなに喋ったお母さん、なんだったんですかね。それほどのトラウマだったってことでしょうか。このあと展開あるのか、と思った瞬間から怒涛のようにおじいさんとの関係が明らかになり、そこには驚かされましたし、ラストの大団円的なところもよかったんですが、やはり引っ張られすぎ。かなりぐったりしました。もうちょっと何か欲しかったな、というのが正直な気持ちです。
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スウェーデンはもちろん北欧の物語ははじめて。
スウェーデンにも日本以上に古臭い社会問題があることを知った。
機会があれば、このような社会問題をテーマにした欧州の物語を読んでみよう
ところでマークはいったい何だったんだろう。
主人公か準主人公だと思っていたのに、資金のスポンサーでしかないように見えるが。
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この本を手に取り、読んでいる人の大半は
一方的に語られる内容とその人に「何かある」
と思っているだろうから、その何かが何であり
どう明かされるのか、気になるところだろう。
実は不安定な精神ではなく、認知症や癌などによる
の脳への疾患かと思っていたが・・・
息子が母の故国を訪れて知った事実は、
現在の「事件」と遠く結びつけられるような
過去の「事実」。読者が薄々感づきながら
やっぱりというより、そうだったのかと思う種の。
原題と邦題の関係を確認していないが、
二重、三重の意味で楽園など
偽りでしかなかった、偽りにしかならなかった。
北欧で話題になったミステリーを読もうと思って
北欧が舞台のミステリーを間違って
買ってしまったような気がする。
しかし、一方的な独白に嫌気がさしても
我慢してじっくり読んでみては、いかが?
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下巻に入り、途中までは母親の告白がつづく。
ようやくダニエルがスウェーデンに向かい、母親の話の内容を確認しようとする。
そこからは流れがよくなる。
そこまでが長かった。
この母親の言っていることが色々と矛盾がある。それをダニエルも問いただしたりする。
ティルダは、自分の夫が自分を陥れる陰謀を企てていると考えている。今までの夫とは変わってしまったと言う。それもほんの数ヶ月で。
その反面、このことをティルダの父親に相談したいと言う。父親は昔と同じ謹厳なひとで変わっていないので大丈夫だと言う。もう何十年も会っていないのに。
そもそもそれだけ交流が途絶えた理由が、ティルダが殺人を犯した疑いをかけられたときに信じてくれなかったから。
娘を信じない父親に、息子でさえすぐには信じられないことを相談したいと言う。父親が変わっていないのなら、今回も信じてはもらえまい。
ティルダは、父親にはチャンスを与えたいと言う。それなら夫にもチャンスを与えてあげたらどうだと思う。
このティルダの理論が既に破綻しているところから、何となくどういう謎があるのかがわかったと共に、父親を拒絶しながらも信じたい複雑な気持ちが読み取れた。
また、夫には厳しい考えを持つことに、今まで夫への信頼が厚かったことと夫への甘えに似た感情が伝わってきた。
この部分の描写が、多くのことを含んでおり逸話としてうまく出来ていると感じた。
ここのところ、北欧の作家作品を読む機会が増えたが、北欧作品には独特の雰囲気があるように感じる。
「ミレニアム」のスティーグ・ラーソンのときもそうだったが、女性の社会的な位置づけや、閉ざされた環境での問題といったことがある。
北欧に詳しくないのでよくわからないが、北欧社会といったことがわかった上で読むと、更に面白く読めるように感じる。
戦前戦後の日本、田舎の様子、女性の社会的地位、家族制度、こういったことがわかっていて読むと、横溝正史作品の闇や悲哀が更によくわかるように。
ラストは良い形だった。
ダニエルの恋人との関係はどうなるのか、ティルダと夫との今後などきちんと書かれてはいないが、こうなるのではと読者に推測させる書き方だった。
下巻の帯に、『厳寒の北欧で開かれた狂乱の宴』とあったのだが、これはちょっと煽りすぎ。
宴なんかあったっけ。
狂乱っていう程騒然としたものではなく、もっとじっとり湿った不快な感じを受けたけれど。
こういう過剰な帯は勘弁して欲しい。せっかくの作品の魅力を損なっていると思う。プンプン
この作家さんははじめてで、上巻の流れの悪さに疲れた。
全体として、どこかしら文学作品のような雰囲気が漂っているところなどとても良いと思えただけに、下巻への布石と考えてももっとコンパクトに書けるだろうと感じた。
最初に読みたかった「チャイルド44」はエンタメとしてよく出来ているという評判なので、そちらを是非読んでみたい。
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上巻に続いて母親が物語を語る。
物語の後半は母親の語った物語に真実があるのかを確認する旅にダニエルは旅立つ。
下巻位までにくると、実際に起きた犯罪の謎解きとかが主題ではなく、夫婦間の、あるいは親子間といった家族の断絶を描いていることが分かる。
ダニエルがスウェーデンを旅して母の語る物語を調べる中で、家族の謎が解き明かされていき断絶がどこからきているのか分かっていく様子は中々感動的。
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全編読み終えれば、なるほどねえという感慨がある。あるのだが…。
上巻があまりにもつらかった。どういう所に向かう話なのか、なかなか見えてこなくて。精神を病んだとされる母親の、まともなところとヘンなところが混在する語りを追っていくのに疲れる。結局どういうことなのか、という興味に引かれて最後まで読んだけれど、読んだ甲斐があったかどうかは微妙。
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これそんなに傑作?
女が、その若さ美しさ、その輝きゆえに舐めさせられる理不尽極まりない辛酸の底…を、もう読みたくなくて、『イレーヌ』のかわりに手にとったのに、またぞろミソジニーだったよ囧rz
母親の語りも冗長だし、主人公は情けないばかりだし、なんとか斜め読みで終わったけど、ああ、もっとすっきりと犯罪と闘うシンプルミステリが読みたい…
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上から一気に。
息子と母親はかくも深い相互の信頼感で~と思いきやさすがに客観的に見ることのできる目を持つむすこのお陰で最悪の結末は防げた。まあ、それは良かったのだけれど母の抱える闇は今後、誰が救ってくれるんだろう。やはりここは息子ダニエルなんだろうな。ダニエルって本当にいい子なんだ。だからマークもとってもいい人でいられるんだ。
恐ろしい妄想はことごとくハズレたけれどグイグイ読ませてくれたし、読後感も家族の信頼関係がより深まりそうでよかった。
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長過ぎる導入部に対しあっけない幕切れ。意外な真相を期待すると肩透かしを食う。帯の謳い文句に騙されてはいけない。
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敢えて「結論」から述べれば、実験的な構成が裏目に出た凡作である。
傑作レオ・デミドフシリーズの超ド級スリラー路線に一旦区切りを付けたトム・ロブ・スミスが新境地を開いたと評される最新作であり、いやが上にも期待は高まったのだが、中盤まで読み進めたあたりで「失敗作」と断じた。先の読めない展開はデミドフ三部作と同じだが、導入部では斬新と感じた構成が次第に単調に思え、いつ終わるとも知れぬ話を延々と聞かされる苦痛へと変わる。閉塞的な社会での人間不信と理不尽な暴力、崩壊する家族愛、その再生……と、旧ソ連の年代記で追及したテーマを、スウェーデンの片田舎を舞台に、家族そのものに焦点を当てて物語を綴る。
より高い文学性を目指したのであろうが、その気負いだけが、作品全体に虚しく漂っている。ぼんやりした狂気に始まり、真性の狂気で終わる。物語の根幹となる主人公の母親が語るパートが全体の半分以上を占めているが、冗長で緊張感に欠けている。流石に語り口は巧く、上下巻を一気に読ませる筆力を持っているのだが、所詮は短編向けのプロットで、終盤に至りようやく明かされる「真実」も使い古した悲劇であり衝撃性も薄い。
何よりも、主人公を含めた登場人物の造形が成功しているとは言い難く、手放しで絶賛する翻訳者述べるところの余韻も感じられない。
トム・ロブ・スミスのファンは、こんな作品を待っていたのだろうか。
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スミスの作品はこれで、全制覇です。
個人的にすごく好きな作家で、この作品も彼のファンなら楽しめると思います。
彼の作品は「家族」が常に描かれていると思います。
家族愛について、いろいろな形で表現していて、今回も今までと違った形で描いてます。訳者もいいのか、文章も読みやすい。
ラストはぐっときました。
映画にするといいな。