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商品説明
【群像新人文学賞(第59回)】【織田作之助賞(第33回)】【芸術選奨・文部科学大臣新人賞文学部門(第67回)】中学から朝鮮学校に通うことになったジニは、一人だけ朝鮮語ができず、なかなか居場所が見つけられない。1998年、テポドンが発射された翌日、ジニは警察を名乗る男たちに取り囲まれ…。『群像』掲載を単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
「日本には、私のような日本生まれの韓国人が通える学校が、二種類あるんだ」――。1998年、テポドンが発射された翌日、チマ・チョゴリ姿で町を歩いていたジニは、警察を名乗る男たちに取り囲まれ……。二つの言語の間で必死に生き抜いた少女が、たった一人で起こした“革命”の物語。全選考委員の絶賛により第59回群像新人文学賞を受賞した、若き才能の圧倒的デビュー作!
★第33回織田作之助賞受賞!★
オレゴン州の高校を退学になりかけている女の子・ジニ。ホームステイ先でステファニーと出会ったことで、ジニは5年前の東京での出来事を告白し始める。
ジニは日本の小学校に通った後、中学から朝鮮学校に通うことになった。学校で一人だけ朝鮮語ができず、なかなか居場所が見つけられない。特に納得がいかないのは、教室で自分たちを見下ろす金親子の肖像画だ。
1998年の夏休み最後の日、テポドンが発射された。翌日、チマ・チョゴリ姿で町を歩いていたジニは、警察を名乗る男たちに取り囲まれ……。
二つの言語の間で必死に生き抜いた少女が、たった一人で起こした“革命”の物語。全選考委員の絶賛により第59回群像新人文学賞を受賞した、若き才能の圧倒的デビュー作!【商品解説】
目次
著者紹介
崔 実
- 略歴
- 〈崔実〉1985年生まれ。「ジニのパズル」で第59回群像新人文学賞を受賞。
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紙の本
在日朝鮮人少女の抱える空色の青春小説
2017/01/28 06:54
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:baron - この投稿者のレビュー一覧を見る
第59回群像新人文学賞を受賞したチェシルさんの小説。
日本人にはまず書けないでしょう。
日本人と韓国人との狭間で自分のアイデンティティが揺らぐ少女ジ二の気持ちがとても悲しく、でも、とても美しくもありました。
紙の本
あなたならこの作品を芥川賞に推すか
2016/08/16 07:52
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
第155回芥川賞の選評が「文藝春秋」9月号に掲載されている。
面白かったのは、それも近年まれにみるぐらい、高樹のぶ子委員の「胸を打つ、という一点」と題されたそれである。
今回の芥川賞受賞作はご存知の通り、村田沙耶香さんの『コンビニ人間』だが、その作品に触れることなく、まして他の候補作など眼中になく、ただこの本、『ジニのパズル』がいかに素晴らしい作品かを論じた短評になっているのだ。
これはなかなか珍しい。
この作品は2016年に第59回群像新人文学賞を受賞した。
作者崔実(チェ・シル)は1985年生まれということだが、この物語の主人公ジニはまだ中学生だ。時代は北朝鮮がテポドンを初めて発射した年1998年だから、ほぼ作者の年とダブってくる。
小学校を普通の日本の学校で過ごし、中学から朝鮮学校に通い始めたジニ。
ちょうど思春期にあたる頃、自分の出自と向かう合うことになったといっていい。子どもから大人に変わる苛立ちが、言葉の差や民族の違いと重なっていく。
やがて、ジニの怒りの対象は学校の壁にかかる北朝鮮指導者の写真へと向いていく。
小さなジニにとって、「革命」という言葉は大人の世界に燦然と輝くものだったのだろう。写真を棄てること、それがジニの「革命」となっていく。
ジニの行為は幼いのか。
あるいはこう言い換えてもいい。ジニの行為を描いたこの作品は未熟なのか。
高樹委員は「この切実で圧倒的な魂の叫びを潰してはならない」とまで書いているが。
紙の本
力強いデビュー作
2016/08/05 15:48
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:K.ザムザ - この投稿者のレビュー一覧を見る
表現にはまだ初々しさが見られるが、そんなことが気にならないほど力強い作品だった。
主人公・ジニの違和感、苦しみ、怒りが痛いほど伝わってきて、ラストシーンでは思わず泣いてしまった。
世の中には受け入れ難い事象が数多ある。それでも、受け入れること、受け入れられることで皆が輝くことができる。そう強く叫んでくれる本書と著者に感謝したい。
紙の本
悩み抜いた少女が「空を受け入れる」までになる、心痛くて、でも強い強い心の物語。
2022/02/28 13:24
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公の少女ジニは、中学から入った朝鮮学校に馴染むことが出来ない。
そんなある日、テポドンが発射される。
制服のチマ・チョゴリを着て池袋を歩いていたジニは、見知らぬ男達に、いわれのない暴力を振るわれてしまう。
どこにも、その悔しさ、理不尽さをぶつけられぬジニ。
学校を休み悩み抜いて出した結論。それは教室に飾られた「あの肖像画」を教室の窓から投げ捨てる事だった。
「空が落ちてくる」と、そのどうしようもない閉塞感を感じた少女が、友との対話の中で「空を受け入れる」までになる、心が痛くて、でも強い強い物語。
紙の本
エネルギーを感じた作品
2017/02/28 22:01
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mame - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんだろう、この若さあふれる新鮮な感覚。
ジニが時折パーンと爆発する様が気持ち良くもあり、切なくもあり・・・
つらい事・うまくいかない事だらけなのに、何気ないユーモアと、ジニの生来の真っ直ぐなキャラクターが清々しく、笑ってしまう場面もあって楽しく読めました。
どうにもならない現実の厳しさ、それでも生きていける希望を感じさせてくれる物語。
今後の作品が楽しみです。