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商品説明
戦時下、戦後混乱期、高度成長期、そして現代。時代の陰影を描いた文学は、なにを語りかけているのか。戦後日本と同年齢の著者が、丸谷才一、松本清張から、乙川優三郎、桜木紫乃らまで現代の作家と作品を論じる。【「TRC MARC」の商品解説】
戦争、戦後の混乱期、高度成長期、そして格差社会の現代。激流の時代を賢明に生きる人々を描いた文学は、私たちに何を語りかけてくるのか。戦後日本とほぼ同じ年齢の著者が、人間のしなやかな強さと優しさを見据えた「時代論」。【商品解説】
著者紹介
川本三郎
- 略歴
- 〈川本三郎〉1944年東京生まれ。東京大学法学部卒業。評論家。「大正幻影」でサントリー学芸賞、「荷風と東京」で読売文学賞、「白秋望景」で伊藤整文学賞を受賞。
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紙の本
包み込むほどのあたたかさ
2016/11/25 08:08
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
川本三郎さんの文章とは映画評論を通じて出会った。
映画に夢中になっていた頃であるから、かれこれ40年以上前のことだ。
だから、私にとっての川本三郎さんは映画評論家であるのだが、書評家としても数多くの著作を残しているから、その方面でも川本三郎さんというだけで手がのびてしまう。
この本もそんな一冊だ。
雑誌に掲載された書評、文庫本の解説などさまざまな初出だが、川本さんの口あたりのいい文体は同じだ。
紹介されている本は20冊以上。ひとつの文章に複数の本の紹介がされている松本清張作品を扱った文章などもある。(ちなみに映画化されている作品が多い松本清張だから、そうなると自然と川本さんのボルテージもあがるのが面白い)
タイトルのように時代を見据えた作品群と町と人との姿を描いた作品群、それと家族と老いを見つめた作品群にわかれているが、私は二つ目の作品群が面白かった。
章タイトルでいえば「「街」と「町」に射す光と影」で、先ほどの松本清張作品はこの章で紹介されている。
その他の作品でいえば、佐藤泰志の『海炭市叙景』や桜木紫乃の『ホテルローヤル』ほかの作品、川本さんが愛する野呂邦暢の作品と、廃れつつある町への川本さんの視点はやさしい。
おそらくそういう視点は川本さんらしさだといっていい。
40年以上前から映画に見つめる視線もそうであった。
誰もから放っておかれる弱いものへ、川本さんはずっと暖かだったといえる。
それは映画だけでなく、物語もまた同じだ。