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- カテゴリ:一般
- 発売日:2017/03/03
- 出版社: 築地書館
- サイズ:20cm/316p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-8067-1533-7
紙の本
外来種のウソ・ホントを科学する
外来種の侵入によって間違いなく損失があるのか? 駆除のターゲットは正しかったのか? 英国の生物学者が、世界で脅威とされている外来種を例に、在来種と外来種にまつわる問題を、...
外来種のウソ・ホントを科学する
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商品説明
外来種の侵入によって間違いなく損失があるのか? 駆除のターゲットは正しかったのか? 英国の生物学者が、世界で脅威とされている外来種を例に、在来種と外来種にまつわる問題を、文献やデータをもとに多角的に検証する。【「TRC MARC」の商品解説】
何が在来種で何が外来種か?
外来種の侵入によって間違いなく損失があるのか。
駆除のターゲットは正しかったのか。
人間の活動による傷跡に入りこんだだけではないのか。
英国の生物学者が、世界で脅威とされている外来種を例にとり、
在来種と外来種にまつわる問題を、
文献やデータをもとにさまざまな角度から検証する。
ラクダはどこのものか――
真っ先に浮かぶのがアラビアだろう。
ところが彼の地では、ラクダはどちらかと言えば新参者だ。
ラクダ一族は北アメリカで進化し、南アメリカで多様性を最大限に保持した。
一方、現在も野生のヒトコブラクダがいるのはオーストラリアだけだ。
これは、生物多様性の議論のなかで、
「在来」種と「外来」種を取り上げようとするときに直面する矛盾の典型例だ。
「侵入」生物が引き起こす空恐ろしい話には事欠かない。
英国の庭師を戦慄させる日本からの侵入種、グアム島の野鳥を食べつくした毒ヘビ。
だがわたしたちはほんとうに、
侵入生物を恐れなければならないのだろうか?
管理することはできないのか。
駆除しようとする相手を間違えてはいないのか。
そして在来種は、いつだってみんな「いいやつ」なのか――。
トムソンは、魅力的な語り口で、これこそ肝要だろう、という疑問を探っていく。
移入種のうち、定着することができるのはほんの一部にすぎず、
さらに定着した土地で厄介な問題を引き起こすのは
そのうちのごくわずかでしかないが、それは何故なのか、と。
さらにまた、侵入生物をいたずらに恐れることが、
生物多様性の保全や地球温暖化への対応の障害になりはしないか、
という点も掘り下げる。
〈 原著書評 〉
「侵入種をめぐる科学と哲学を見事な手腕でまとめ上げた1冊」
――タイムズ紙
「つい惹き込まれてしまうほど、挑発的――ケン・トムソンはわたしたちの自然を見る目に、刺激的な挑戦状を送り付けてきた」
――ジョージ・モンビオット(環境問題ジャーナリスト)
「大げさに思われるかもしれないが、本書は生態学の分野における『種の起源』と言ってもいい」
――ブライアン・クレッグ(popularscience.co.uk)
「トムソンは、『外来種=悪』を信奉する原理主義者への皮肉のスパイスをたっぷりと利かせつつ、読みやすい文体で生き生きと立論を進めていく。科学文献からの引用も豊富で、それがまた、彼の論拠に喜ばしい重みを増している」
――ニューサイエンティスト誌【商品解説】
目次
- 第1章 移動する種(しゅ)
- 生物種と大陸
- 残存種、避難圏、そして氷河時代
- 渡り、海や島を伝う分散
- 人の手による分散
- どれほど長くて不思議な旅だったことか
- 第2章 在来性のわずかな歴史
- 「在来」とは何か?
- 戦争と平和
著者紹介
ケン・トムソン
- 略歴
- 〈ケン・トムソン〉生物学者。英国シェフィールド大学の動物および植物科学の部門で20年間教鞭をとる。『デイリー・テレグラフ』紙でガーデニングに関するコラムを執筆。
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紙の本
人間は思い込みをしやすい生き物のようだ。
2017/07/10 20:45
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
全ての現象には表があれば裏もある。
本書のテーマは「外来種」。英語のタイトルは序章のタイトルになっている「ラクダはどこのものか」である。翻訳者もあとがきに書いているが、これ一つでも「人間って結構安易に考え方を固定している」ことに気づかされる。著者は自身の生態学者としての知識から「外来種」について一般の人が抱いているイメージはどうなのかを次々と検証していく。
生物多様性を脅かすと言われるが、人間が改ざんして在来生物を減らした場所に多様性をもたらしているのかもしれない。作物の減産など経済への影響も、多額の駆除費用を考えればどちらが影響が大きいのか。などなど豊富な実例を紹介しながら、急に増える見知らぬ生き物に対しての「思いこみ」がそこにはかなりあることを著者は指摘する。最初あげたラクダについても(理由は本書を読んでいただくことにして)その一つである。
詳細な話の中には少しわかりにくいものも混じってはいるが、著者が正しい理解を深めようとしているということはよく伝わってくる。どんな事象も「違う面から見れば違う顔がある」。表も裏も見ないといけないと警告されている気がするところでもある。著者の見方も一つの解釈でしかないのかもしれないが、「わかりやすい」「信じやすい」見方は少し疑った方がよい、という警告ととらえたい。そして反論にもきちんと耳を貸すことも大事だということも読み取れるところであろう。
荒れ地に適応して緑を増やすために導入されたが、今は「はびこり過ぎ」と駆除の対象になる。珍しい、綺麗な生き物として持ち込まれたものが「捨てられたり」「飛び散ったり」して在来のものと混じっているケースもある。「後からきて力を持ち始めたものを脅威と感じる」のは人間がもつ、あるいは生き物がもつ生来の性質なのかもしれない。外来種の問題についてだけでなく「外国人労働者」とか「移民」の問題についての指摘のようにもとれる文章であった。