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商品説明
夫・吉村昭と共に小説のため苦労した若き日々、故郷について、旅路の思い出、小説を生んだもの。そして今もふと甦る夫の面影−。88歳の著者が、人生の軌跡を綴る珠玉のエッセイ。『波』連載を改稿し単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
夫・吉村昭と共に苦労した若き日々のことなど、懐かしい思い出を綴る一冊。作家として立つため共に必死で書き続けた若い頃。仕事以外に旅をしない夫の取材に連れ立った思い出の土地。「戦艦武蔵」「海鳴」などそれぞれが生み出した小説作品の創作秘話。故郷・福井への思い。そして今もふと甦る夫の姿――。88歳の著者が来し方に想いを馳せ、人生の哀歓をあたたかい視点で描いた珠玉のエッセイ集。【商品解説】
著者紹介
津村節子
- 略歴
- 〈津村節子〉1928年福井市生まれ。学習院短期大学国文科卒。日本芸術院会員。「玩具」で芥川賞、「異郷」で川端康成文学賞、「流星雨」で女流文学賞を受賞。
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紙の本
夫唱婦随は婦唱夫随でもある
2017/05/17 15:55
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
津村節子さんが吉村昭さんと結婚したのは、昭和28年吉村さんが26歳、一つ年下の節子さんが25歳の時でした。
大学の文芸部で知り合った二人はともに作家をめざすライバルでもありました。
二人は同人誌で地道に執筆活動を続け、何度か芥川賞直木賞の候補になります。そしてついに節子さんは昭和40年『玩具』で芥川賞を受賞しますが、夫の吉村さんはついにこの賞とは縁を結ぶことはありませんでした。
しかし、吉村さんは作家として大成します。『戦艦武蔵』といったノンフィクション小説を構築し、多くのファンを集めました。
吉村さんは平成18年79歳の生涯を閉じましたが、節子さんは現在も作家としてエッセイも小説も書き続けています。
この本は新潮社のPR誌「波」に平成23年から平成28年春まで書き続けてきたエッセイをまとめたものです。
長い連載でしたからテーマはさまざまで、「旅の思い出や、各地各種の取材、身内のように親しかった編集者の方々の死、(中略)戦時中の青春の思い出」と多岐にわたります。
中でもやはり夫吉村さんを偲んだエッセイは数も多く、この本では「夫の面影」という章でまとめられています。
吉村さんの取材旅行にも足を運んだ節子さんですが、それでも夫のすべてを知っていたわけではありません。
「不思議な夜」というタイトルのエッセイで、吉村さんのなじみのバーに足を踏み入れた節子さんは「かれにはかれの世界があったのだという至極当りまえのこと」に気がついたと綴っています。そんなことに胸をつかれたりしました。
なお、タイトルの「名残り」は「なごり」と読みます。