紙の本
読みやすい
2020/02/19 09:00
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
たいへん読みやすいエッセイで、楽しめました。日常の何気ないことにも、はっとするような驚きがあり、よかったです。
紙の本
格調高く芯のある文体。
2018/12/01 21:03
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:金山-Kinzan - この投稿者のレビュー一覧を見る
50歳でエッセイストデビューした
森茉莉氏のエッセイを
集めています。
かの有名な森鴎外の娘です。
二度の離婚の後、森鴎外の印税を取得する期間が切れ、生活のために物書きを始めた、という異色の経歴の持ち主です。父親の名に胡坐をかいた人ではありません。こちらに収録されているエッセイについては、父親との交流は少ししか触れておらず、氏の日々感じたことを格調高くまた芯の強い文体でつづっています。
独特の感性を持っています。
父親の小説を面白いと思わない、とはっきり書くところもさすがです。
そもそも氏にとっても、本人にとっても森鴎外という人物は翻訳者であるという認識であったようです。しかし後世「森鴎外は小説家」という認識が定着しています。これは、氏についても「エッセイスト 森茉莉」というイメージがついてしまっているのと同じ現象で、皮肉なことです。蛇足ですが、本書はエッセイ集ですが、森茉莉氏は、小説も書いています。
この方のエッセイを読んだら、最近のエッセイストってなんて薄っぺらい文章書いているのだろう、と感じました。
心に残った言葉を紹介します。
「不幸がだしぬけに入って来た時驚かないで。
不幸は必ずいいお土産を持って来ている」
巻末の解説に、森茉莉さんの最期を「孤独な死」と報じたマスコミがあったが、それは違う、とあります(松田青子氏)。
森茉莉さんは独り暮らしでしたので、通いの家政婦さんに死亡しているのが発見されましたのは死後2日くらいだったそうです。
でも「孤独」ではありません。
本人の意向で、親族の反対を押し切って一人暮らしをしていました。
同居はしていませんでしたが、二人のお子さんとも交流していましたし、仕事も順調、友達もいました。親族や友人がたまたま死に目に会えなかっただけ。孤独ではないですよ。
投稿元:
レビューを見る
森茉莉さんの住む部屋についてを中心にまとめられたエッセイ、こちらもとても面白かったです。ガラスの瓶を始め、森茉莉さんの美意識で選ばれたものに囲まれた暮らし、他の人から見たらごちゃごちゃ…かもしれませんが、素敵な暮らしだと感じました。心根が贅沢なんだろうなと思います。これからは、たとえ不幸だなと感じられる事があっても、ほんとうの幸福を受け取れるような気がします。好きを求める、そんな生き方をしていいのだと思えました。森茉莉さん、優雅で可愛らしくて好きです。
投稿元:
レビューを見る
森茉莉コレクションの3冊目。雑貨やインテリアをテーマにしたものが主に収録されている。
これまでの2冊と比べても、本書が一番『森茉莉らしさ』に溢れていると思う。
投稿元:
レビューを見る
森茉莉氏のエッセイ集。
早川茉莉氏の編で、第3弾。
“おいしいもの”“お洒落”…というテーマが続き、この本は“暮らしと生き方”がテーマか。
…という風にカテゴリー分けしてしまうと、まことにありきたりで乾いていて、茉莉さんらしくないので、申し訳ないと思う。
1冊目、2冊目は、言ってみれば、森茉莉さんの頭から出ている雲形のふきだしのようなもので、その中に美しい回想や幻想が詰まって、あとからあとから出てきていた感じだった。
3冊目は、雲のように消えてしまう“想い”ではなく、実体を持った森茉莉、血肉があって息をしている森茉莉自身、という感じがする。
『生まれつき楽しむことが上手にできている』
『考えに枠(わく)がないから心が自由(人からは変わっているように見えるらしい)』
という楽しい文章で始まっている。
耳を傾けたい生き方もたくさん書かれている。
身の回りに置いたこまごましたものの描写もある。
人からはゴミ屋敷のように見えるかも知れないが、自分の美意識で選んだものばかり。
好きなもの以外は身の回りに置きたくない(とても共感する)
何もかも乾いている現代社会の息のしづらさ。
部屋に帰って好きなものに囲まれて心を癒され、質のいい映画や本で、乾いた頭(脳内)にうるおいを与える。
そして、書くことによって命を与えられたかのような喜びと、書くことのつらさ、良い物を書こうとする生みの苦しみも、切々と綴られている。
一人でたくさんの人生を生きたような、濃い一生だったのだろう。
投稿元:
レビューを見る
このシリーズのエッセイ集を最初旅行中に読んで、いい感じだったので、2冊目もこの3冊目も旅行に持って行った。ぜひ4冊目、5冊目も作っていただきたい。
森茉莉さんのような、美意識をしっかり持ち、それに基づき、気高く1人で暮らすおばあさんに憧れる。老後、お金があったほうがいいけど、賑やかな暮らしもいいけど、もしお金がなくても、孤独であっても、森茉莉さんのように暮らしたい。育ちも才能も違うから無理かもしれないけど。
投稿元:
レビューを見る
好きな場所は本や雑誌の堆積の下。アニゼットの空瓶に夜の燈火が映る部屋。美しいものに触れて子どものように心を震わせ、人生のそばにはいつも「書くこと」があった作家・森茉莉の暮らしと生き方のエッセイ。
「紅茶と薔薇の日々」ですっかりモリマリに魅せられて、彼女が特集されていた雑誌のバックナンバーまで買ってしまった。後悔はしていないし、もっともっと読みたくなる。毎日がキラキラしてて、好きなものや綺麗なもので包まれている様子がまぶしくて、ちょっと笑える描写もあって。いつの間にか彼女と一緒の世界を見ている私がいる。ああ、がらくただらけでも彼女にとってそこは「幸福」の中だったんだな。ただ闇雲に外国の流行ものを取り入れるんじゃなくて、芯のある明治の人たちの生き方、憧れるね。
投稿元:
レビューを見る
子どもの頃友人宅に遊びに行った際、六角形の綺麗なアルミ箱にぎっしり詰まった宝石のように美しいチョコレートを振る舞われたが、そのとき美に触れた原風景を思い起こさせてくれるかのような、森茉莉の豪奢な美文で綴られた随筆集。本のタイトルが秘めやかな美しさを感じて好き。森茉莉は三島とも親交が深かったが、三島とはまた違った和洋折衷の美の探究者である。ボワイエやグレコのシャンソンを流しながら気怠い午後に読み返したい一冊です。
投稿元:
レビューを見る
自分の部屋の中でどう過ごすか、空想したり、書き物をしたり等の事が語られているエッセイ。個人的に食について語られている「紅茶と薔薇の日々」の作品よりも、此方の「幸福はただ私の部屋の中だけに」の方が好き。インドアの過ごし方による至福の時間とか共感出来る物があって、ふむふむと読み込めた。
投稿元:
レビューを見る
美しく、硝子のようにツルツルとした綺麗な言葉たち。私もこんな風に自分の好きなものに囲まれた部屋で静かに愉しく生きたいな。日常離れかも、でも確かにそこに。
投稿元:
レビューを見る
私の大好きなジャンルの話ではあるんだけど、筆者の文体とスタンス(書く姿勢というか生きる姿勢というのか)が、残念ながら私にはまったく合わなかった。少なくとも、今の私とは合わなかった。
初めて読む著者の本は自分にとって合う合わないがあるから、1冊目は必ず図書館で借りて相性を見るようにしている。この本も図書館で借りたかったんだけど、旅先だったので&表紙のデザインも好きだし面白そうだったから、1冊目だったのにもかかわらず購入。そして失敗・・・
投稿元:
レビューを見る
やっぱり好きだなぁと満足した。うっとりするだけではなく、今回は感動した。
特に最後の不幸からは光る宝石を受け取って帰って貰えばいい、というようなニュアンスの文章。森茉莉はそうやって、いろんなことを経験してきたのか、となんだかしみじみ。
綺麗な空、素敵な景色を見つけて散歩する。美しい文章に触れる。それらを素直に感動できるこころを持ちなさい、との文章に大いに励まされる。これは文章技術を磨くことについて書いているのだけれど、文章技術だけでなく、生き方について書かれているなぁと思う。きれいなもの、美しいものに感動できる心。そういうことって、今の慌ただしい、時短や効率重視の社会では吹き飛ばされそうと感じてしまっていたけれど、それでいいのだと応援されたような気持ちになった。
しばらく森茉莉に浸りたい。
投稿元:
レビューを見る
夢の日、と下町に暮らした思い出話が好き。
森茉莉は3冊目ですが、こんなに美しい文章を書ける人なのですね。
現代、といっても60年代〜80年代の若者の批判も意外と好きでした。
なんとなくこの人の影響で、わたしは小さないちごしか食べない。野いちごのような本当に小さいものはスーパーに並ばないけれど、できるだけ小さなもの。
あと、リプトンは青缶で。明治屋で買えます。
銀座も普段着で行く。
日本人は流行に従順すぎる(60年代〜80年代をもってしても!)のも納得なので、日本の服屋で買うのをやめよう、と思いました。いまだに大好きなアメリカのブランドにする。
くらいかなあ。
ヨーロッパに行ったことはないので、欧米礼讃の気持ちはわからないけど、いつか惚れ惚れしてしまう日が来るかもですね。
投稿元:
レビューを見る
・森茉莉の素敵な感性に触れて、心が楽しく穏やかになるエッセイ集。
・部屋に置いてあるガラクタを列挙するだけのエッセイがなんとまあ素敵ですこと。
・現代とは文章のリズム感がだいぶ違うけれど、なぜか読みやすい。
・ものすごく長い一文(全10行!)に自分でツッコミ入れてて笑った。
・西洋かぶれした日本社会に対してけっこう強烈な毒を吐いてて笑った。愉快でかっこいいお婆ちゃんだ。
投稿元:
レビューを見る
文章の雰囲気は嫌いじゃないんだけど、ベッドのうえに飲食物まで置いてるとか部屋のあちこちに大量の硝子瓶とか、描写はかなり受け入れがたい…。