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商品説明
荷風研究の第一人者である著者が、「濹東綺譚」以降の作品と生活を中心に、老いを生きる孤独な荷風の姿を描く。また、これまであまり論じられなかった「問はずがたり」「来訪者」「浮沈」や戦後の短編についても論じる。【「TRC MARC」の商品解説】
『濹東綺譚』以降の荷風を探る
『荷風と東京 「断腸亭日乗」私註』(読売文学賞)をはじめ、荷風評論に他の追随を許さぬ第一人者が、これまで注目されることの少なかった『濹東綺譚』以降の作品や生活を中心に、老いを生きる荷風の孤愁ともいうべき姿を、絶妙な視点と筆さばきで描く力作。
戦争中、60代後半に差しかかっていた荷風は、『踊子』『来訪者』『問はずがたり』など、発表のあてもなく、時勢の定まらぬなか、新しい小説を書きたいという強い意欲をもち、日々の研鑚を重ねていた。戦後発表されたこれらの作品には、老いゆく荷風の憂いが色濃くあらわれていると著者は指摘する。
本書ではほかにも、市川移住で生まれた戦後の諸短篇「羊羹」「或夜」「にぎり飯」などを取り上げながら、市川周辺をはじめ、亀戸や小岩といった隅田川の向こう側光景を、荷風が抱き続けた都市の周縁への関心と併せて論じている。
〈人の世を、早いころから「老い」の目で見る。現実社会と深く関わらない「老い」の目で、時代を見る。そこに荷風文学の真骨頂があるように思えてならない〉という著者の指摘が、深い説得力をもって読者に迫ってくる。【商品解説】
著者紹介
川本三郎
- 略歴
- 〈川本三郎〉1944年東京生まれ。東京大学法学部卒業。「大正幻影」でサントリー学芸賞、「荷風と東京」で読売文学賞、「白秋望景」で伊藤整文学賞を受賞。
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荷風の老後と戦争で失われた江戸
2017/07/17 16:53
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Takeshita - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の荷風研究は久しいが、本書は戦争で何度も被災し逃げ惑う苦難の時期の荷風と、従来余り評価されていない戦後の荷風の短編を中心に伝記的事実を掘り起こしながら書かれている。流石に細部に至るまで詳しく、荷風ファンには愉しい読み物になっている。それにしても荷風は失われ行く江戸文化と江戸陋巷の庶民の哀感を追い続けた最後の文人であった。パリでもペテルブルクでもロンドンでもまだ19世紀の香りは街中に残っている。東京にはもうそのかけらすら残っていない。