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もうすぐ変わる日本史の教科書 “常識”を塗りかえる新しい定説が続々 (KAWADE夢文庫)
著者 河合敦 (著)
「薩長同盟」は名ばかりの関係、鎌倉幕府の成立は1192年ではない…。日本史の教科書に記述されていた“史実”は、新説や新発見によってどう変わっていくのか。これから日本史の教...
もうすぐ変わる日本史の教科書 “常識”を塗りかえる新しい定説が続々 (KAWADE夢文庫)
もうすぐ変わる日本史の教科書
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商品説明
「薩長同盟」は名ばかりの関係、鎌倉幕府の成立は1192年ではない…。日本史の教科書に記述されていた“史実”は、新説や新発見によってどう変わっていくのか。これから日本史の教科書に載るであろう、驚きの説をまとめる。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
河合敦
- 略歴
- 1965年、東京都生まれ。青山学院大学卒、早稲田大学大学院博士課程満期退学。多摩大学客員教授。『岩崎弥太郎と三菱四代』『いっきに!同時に!世界史もわかる日本史近現代編』など日本史関連のヒット著書多数。
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アンチ・パブリックコメント
2018/02/08 15:30
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:イシカミハサミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
教科書を取り巻く状況として、
内容云々よりもまず「パブリックコメント」なる阿呆なシステムが気になって仕方がない。
みんなが義務教育を受けて「科学教」の洗礼を受けている現代では
「国民総自称知識人化」しているように思う。
自身の説が多かれ少なかれ「科学」という後ろ盾を得た「正しい」説だと信じて発言をするから手に負えない。
そんな連中の意見を全部聞いていたら停滞が止まらない(面白日本語ができた)
時に間違いが起ころうと後でただせればいいのだから、
国の選んだ「知識人」が内容は選定すればいい。
それから……。
河合さんの思考は
戦国あたりから江戸、明治と現代に近づくにつれて鮮明になってくるイメージ。
できれば、あまり古代については語ってもらいたくない。ひどい。
たぶん、少ない資料から状況を想像するセンスが決定的に欠けているのだと思う。
センスのなさは3章の邪馬台国、大化の改新の部分に遺憾なく発揮されている。
まず邪馬台国。
畿内説を補強する説として
纏向遺跡と卑弥呼の関係に関して「この時代、ほかに有力者はおらず、箸墓古墳は卑弥呼が生前に築造した可能性が高い」との記述を引用しているのだけれど。
卑弥呼しかいない、というのは誰が証明したのか。そもそも卑弥呼は本当に日本全土を治めるほどの巫女だったのかの論考が抜け落ちている。
そして淡路に鉄器の工房が見つかったから鉄器=九州の構図が崩れたともある。
これは九州で大陸からの鉄器の流入を止められたから自作するしかなかった、
とは考えられないのか。
次に大化の改新。
立教大学教授なる御仁の説が紹介されているのだけれどこれがひどい。
曰く、中大兄皇子はただの刺客、だという。
仮にも、のちに天皇にもなる人間が尖兵になどなるはずがない。
もし尖兵であったなら家系を偽って天皇家にもぐりこんだ可能性が高くなってしまう。
中大兄皇子と大海人皇子の兄弟関係が逆という説もある、という記述は
どこにも書かれていない。
ここの兄と弟の関係が逆転すると歴史観は大きく変わるのに、だ。
「日本書紀の嘘」にも触れてはいるのだけれど、
結局「誰が」「何のために」という視点を持たず
ぼやっと出てきた論を眺めているだけだから基準を失う。
日本書紀のあと誰が得をしたのかといえば、
それは明治の世に至っても貴族社会に存在感を持っていた藤原氏しかいない。
そこさえ理解していれば「天武天皇が自身の正当性を訴えるために……」とかいう
戯言を著書に載せたりはしないはず。
別の著書「神社で読み解く日本史の謎」のなかで「アマテラスは女性神」と
何の疑いもなく言っていたし、
まずは日本書紀が何のために嘘を記述したか、を考えてから古代史の話はしてもらいたい。