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東芝トップの無様な状況が赤裸々に語られます!
2017/12/01 09:57
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、メディアで騒がれている東芝の企業問題の真実を赤裸々に伝える報道ノンフィクションの書です。社員20万人を抱える日本の名門企業が、如何にしてあそこまで落ちぶれ、崩壊寸前の状況に直面しているのか。その真実を詳細に伝える画期的な書です。そこには、虚栄、嫉妬、粉飾、責任逃れなど、同企業のトップにおける様々な問題があったと同書は語ります。企業の内部に潜む影、本書はそれを見事に明らかにしてくれます。
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東芝の迷走の元凶に鋭く迫る!
2018/11/30 19:37
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投稿者:YK - この投稿者のレビュー一覧を見る
東芝の迷走・凋落の様を描いた本はかなり多数出版されていますので、どれを読むか迷うところですが、本書は福島原発事故に関する著作で講談社ノンフィクション賞受賞の大鹿氏の手による作品ということで読んでみました。
東芝の凋落は歴代社長の人事抗争により経営が歪められてきたことが最大の原因と位置づけ、1990年代後半以降の7代にわたる社長の人間像を丹念に描き、これらのトップがどのような決断をしてきたかを追っています。
ハードカバーで350ページ超の大作ですが、引き込まれて一気に読めました。後付けになるとは言え「この時点で何とかしていれば、ここまでひどい状況にはならなかっただろうに」と思わせられる箇所がいくつも出てきます。
最終的に東芝の命運を決したのはアメリカのウエスチングハウス社の買収だったのですが、世界的には衰退傾向である原子力産業になぜあれほど東芝が入れ込んでいたのか、その理由が本書で明らかにされています。
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名門の没落
2017/11/30 22:21
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投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦後の日本の発展をひっぱてきた東芝が、これだけ問題を起こすとは。その悲劇を、的確に分析しています。
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東芝という超名門企業が、トップのつまらない虚栄心やプライドにより、ズタズタにされていく過程を淡々と記している。
恥ずかしながら、私の勤務先を思い返してみても、似たような状況ではある。
経営環境が変わっても、トップに恥をかかせられないからという理由で、過去にトップが打ち出した方針に対してつまらない忖度ばかり積み重ねる社風。
トップか誤った方向に進もうとしても、保身を考え、物申せない従業員。
結局、会社を運営するのは自分たちなのだという自主性や確たる考えをもって仕事にのぞまないと、悲惨な結果に繋がるということだろう。
本書は、サラリーマンにとって仕事とはなんぞや、会社にとってガバナンスとはなんぞや、ということを考えさせてくれる貴重な資料だと感じた。
末筆になるが、東芝の歴代の経営者を一方的に叩くのではなく、優れた功績にも触れている点も良かった。すなわち、優れたビジネスマンがどのようにして狂っていくのかを教えてくれたように思う。
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「チャレンジ」=必達目標
「Buy-Sell取引」2005年~
PCの主要部品のODM先への売り付け、完成品での再購入、時間差で粉飾決算。
考案者の田中が社長になる2013年残高840億に。
WH買収 2006年
当初2000億円の試算見積、
WHパートナー三菱重工との落札やり直しで54億ドル(6200億円)で落札。みずほが絡む。
イギリスのファンドの売却担当者の報酬は5億円。
ウラン採掘から廃炉までの垂直統合へ。それでも連結でも9%売上。
セル、HD-DVD、SED失敗。
「キャリーオーバー」
映像部門の支払いの先送り、営業外取引とし脱税
「フォレンジック forensics 調査」=サーバー内のメールの解析
東芝崩壊 2015年7月
WH経営破綻 2017年3月
工事業者S&Wをタダで買収した結果、負債1兆円で倒産、
買収損失と合わせて1兆4千億円の損失。
NANDフラッシュ 2017年12月
東芝メディカルのキヤノン対富士フィルムの売却で味をしめるが、
アジア企業へ渡ることを避けた通商産業省の主導によりWDと和解。
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東芝の凋落の過程を歴代経営者のバックグラウンド等の解説を交えながら鮮明に抉り出したノンフィクション。
表面的に知っていたバイセル取引やM&Aの失敗など、具体的な過程や発言等を交えながら記述されており、面白く読める。
東芝ほどの大企業でも社長・会長の誤った判断を諌めるガバナンス機能が働いておらず、結果として企業価値を大きく毀損する結果につながる暴走を許してしまったという事実に驚く。
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模倣の西室会長
山梨から武蔵中 二浪後、慶応大 大学の推薦で1年間米国留学 東芝入社の同期より年上
兄2人が東大卒業後、再受験しようとしたが止められた
武蔵時代は寮生活のリーダー 学生運動な勉強の邪魔
英語が得意 三井物産まかせの海外交渉だった東芝
グローバル化ブームで初の文系私大卒の社長
ソニーの出井社長と同じ失敗経営者
カンパニー化で院政 イエスマンしかまわりにいない
無能の岡村 東大工学部卒だがラグビー部で入社
忙しくない部門に配属 岡村に気にられた
ITバブルがはじけ業績悪化
野望の西田 慶応大で研究者をめざす
イラン人美人留学生にはまり結婚 研究者を断念
イラン人のコネで東芝のイラン子会社に就職
アピールが激しくとりまきはドン引き
PCパーツを海外メーカーに売り、完成品PCを買い戻す
バイセル方式で見かけの売上アップ 購入費は翌年へ
自分の部門だけが好調にみせる 他社が撤退するPCビジネスを好調維持で評価あげる 実際は会計捜査
無謀の佐々木 早稲田理工の原子力技術者
独身キレキャラ、パワハラで有名 会長からあんなのを社長にして大丈夫?
西田のバイセル方式をみて「こんなやり方があるのか」と感心してさらに悪化
WHの無理やり買収 経団連の副会長になった直後、社長をやめさせられ副会長に
経団連の会長になりたかったので、そのためにポストをおりない会長
原子力部門からの内部告発がきっかけ
東芝は社格のある会社 土光さんのチャレンジも遠因
技術者リーダー達は歴代社長に悪口を吹聴させ失脚
テレビも在庫の山だった
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なかなかの力作と思います。西室さん以降の歴代の同社トップの人物像を追いながら、同社の経営判断と会計処理の迷走(と敢えて書かせていただきます。当事者は外部者には計り知れないくらい大変だったろうと思いますが)の経緯を丁寧かつリアルに追っていて、何というか大変に読み応えがありました。
しかし、歴代トップの対抗意識と保身意識、強烈ですね… 世の中のサラリーマン社会にはここまで激しい内部やトップ間の争い、意地の張り合いがあり得るのか…というのも、正直な感想です。
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東芝の迷走・凋落の様を描いた本はかなり多数出版されていますので、どれを読むか迷うところですが、本書は福島原発事故に関する著作で講談社ノンフィクション賞受賞の大鹿氏の手による作品ということで読んでみました。
東芝の凋落は歴代社長の人事抗争により経営が歪められてきたことが最大の原因と位置づけ、1990年代後半以降の7代にわたる社長の人間像を丹念に描き、これらのトップがどのような決断をしてきたかを追っています。
ハードカバーで350ページ超の大作ですが、引き込まれて一気に読めました。後付けになるとは言え「この時点で何とかしていれば、ここまでひどい状況にはならなかっただろうに」と思わせられる箇所がいくつも出てきます。
最終的に東芝の命運を決したのはアメリカのウエスチングハウス社の買収だったのですが、世界的には衰退傾向である原子力産業になぜあれほど東芝が入れ込んでいたのか、その理由が本書で明らかにされています。
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不正経理、原発への過剰投資、役員同士の内紛と、次から次へと負のニュースを発信しまくる大企業、東芝。そのお粗末な経営はいつから始まったのか。長年、東芝を取材してきた著者による東芝の崩壊ドキュメンタリー。
著者が語る、東芝崩壊の原因は歴代社長たちの無能さにつきる。その始まりは西室泰三が社長に就任したときだ。彼は自社の発展より自身の権力と名誉を求めることを優先。社長引退後も、自分の権力を維持するため、自分に逆らわず自分よりも目立たない者を社長にした。その結果、西田厚聰、佐々木則夫、田中久雄という3代続けての無能社長を生み出すことになる。
特に西田厚聰と佐々木則夫の大人げない権力争いは、20万人の社員を抱える巨大組織のトップとは思えない醜悪さ。しかも「バイセル取引」という決算月だけ黒字化できるという手段を発明するのだから、タチが悪い。
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東芝がWHを買収した当時を思い出す。
バブルがはじけた後、半導体は韓国勢に負け続け、家電は中国・台湾勢に負け続けて三洋電機が潰れパナソニックやソニーまでもが縮小撤退を余儀なくされていた。
そんな中での東芝によるWHの買収は、日経新聞や日経ビジネスでは好意的に取り上げられており、私も日本の産業を憂う一員として応援していたのだか・・・・。
もし東日本大地震がなければ、また違った展開になったかもしれない。しかし社内の崩壊が1兆4千億円の負債に拍車をかけたのもまた事実。
こうした結果に終われば、このような内情を暴くドキュメンタリーの本が売れるのも、少し淋しい。
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いい人ばかりのところに、強引な個性の人が来ると引っ張られてしまったということかな。
不正発覚の時に東芝の関連会社に勤めた事があり、東芝出身者と一緒に仕事をした。優秀な人が多くいたが、確かに上意下達の社風で上に物申す雰囲気では無かった。
トップが財界活動とか名誉を追い掛けるようになると会社がおかしくなる。土光さんの申し送り事項をないがしろにしたツケを払った。
それにしても可哀想なのは一般の社員だ。
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東芝の社内抗争が概観できてよかった。ただし、時系列に説明されているので、特定の人物から見た思いとかが今ひとつ分からなかった。
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『東芝は、経済環境の激変や技術革新の進化の速度に対応できず、競争から落伍したわけではなかった。突如、巨大なライバルが出現し、市場から駆逐されたわけでもなかった。
その凋落と崩壊は、ただただ、歴代トップに人材を得なかったためであった。彼ら歴代トップは、その地位と報酬が二十万人の東芝社員の働きによってもたらされていることをすっかり失念してきた。
それが東芝の悲劇であった。』
いかに経営陣が、大事なことを蔑ろにして権力闘争に明け暮れ、経営資源を食い潰してきたのか。いかに日本のプロフェッショナルと呼ばれてきた人たちが、東芝を食い物にしてきたのか。いかに国策が、東芝を甘やかしてきたのか。いかに世界が、東芝をカモにしてきたのか。
東芝の悲劇はまだ終わってないけれど、崩壊の過程が克明に描かれている。
6月に東芝メモリの売却も完了し、LNG事業売却も進めているようだが、この先、どこに向かって行くのか。顧客と社員を蔑ろにしてきて、この先どうするんだろう。
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わかりやすかったー。パソコン販売粉飾やウェスチングハウス買収は歴代社長の功名心や社外取締役、監査法人が仕事をしなかったことが原因のひとつ。