半分世界 （創元日本ＳＦ叢書）

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「吉田同名」★★★★
「半分世界」★★★★
「白黒ダービー小史」★★★
「バス停夜想曲、あるいはロッタリー999」★★★

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SF短編のウィットさを期待して読んだら
北欧ミステリーの重苦しさや
ラテンアメリカのマジックリアリズム
英米の皮肉、批判的な目線もあり

私は今何を読まされているんだ？
そもそもこの話のオチはどうなるんだ？
と気になるが
流れに身をまかせるしかない。

初見ではよく理解できないが
ふと思い出してあああそこはそうかとなり
それも本当にあっているのか、わかったことになるか
わからないが
人を喰ったこの作品群はそこに味わいがあるのだろう。

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おおいに人を食った話。前半２篇はややミニマル過ぎる気もしなくはなかったけれど、「白黒ダービー小史」と圧巻の「バス停夜想曲、あるいはロッタリー999」は片道切符の超飛躍でガンギマリ不可避。
特にバス停は突飛な展開なのにまるまるコルタサルの南部高速道路の雰囲気なのが最高にシブい。

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基本ネタ運び構造は同じ。だが、展開は予想を裏切る。白黒サッカーがかわいい。長編、次作が苦しそうではある。

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読み始めは「うっはー面白い〜何これ〜」って興奮したけど、なんだか既視感が…。高校時代に筒井康隆を読んだ世代なんですよね。
個人的に「今更スラップスティック」よりは、「スマートに松崎有理」か「なんかズレてる飛浩隆」な気分。

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読みたいリストにいつのまにか入れていた本。SFというより不条理小説だった。吉田さんが増殖した「吉田同名」とドールハウスみたいに家の片側の壁がなくて丸見えの「半分世界」は面白かったが、その他は頭に入らなかった。どちらかと言えば苦手ジャンル。

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4つのSF短篇集。あまたある奇抜なSF設定にはない新たな地平を作り出す稀有な作家。ただ奇想天外なだけでなく、そこに現実感のあるリアルな描写が重なり読む者を引き込む。

表題作よりも、吉田同名が興味深い。全く同じ吉田が突如2万人以上も同地域に発生。原因は不明。遺伝子も性格も同じだというのにわずかな環境の差が少しずつ違う吉田を形成していくという過程が面白い。しかしどの短編も過程が良く出来てはいるがオチは印象に残らない。

4つ目のバス停の話は、あーこれは世界中を旅してみてきた風景を綴っていると感じる。多少なりとも長旅をした経験がある人ならばその情景を思い出して共感できるしなつかしくもある。

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　サラリーマンの吉田大輔氏が突如、19329人に増えてしまったという事態を淡々と報告書風に記述する「吉田同名」。仕事帰りに駅を出たところで瞬間的に増えていたのである。携行品なども同時に。そんなことが起こったらどうなるか。まあ、しょうがないから廃病院とか確保して、何カ所かで収容するしかないし、と、そこから先はごくごく現実的な対処を語るところが味である。

　藤原さんちはある日突然、半分になってしまって、ドールハウスみたいに中が丸見えだが、平然と暮らしているという「半分世界」。それは「半分世帯」じゃないかとも思うが、世帯が半分になったわけではなく住居が半分になって丸見えなのである。みなが注視するなか、誰もどうしてそうなったか藤原さんに聞くことができず、観察し続けるのである。向かいの家に集って、藤原さんちを観察する人々はいつしかフジワラーと呼ばれるようになる。

　まあ、サッカーのようなんだな。町の住人が白黒のチームに分かれて、町の北端と南端にあるゴールめがけて300年間試合を続けている。ホワイツとブラックスはサポーターの住民も含めて犬猿の仲だ。ブラックスのメンバーとして雇われて町に来たぼくとホワイツ監督の娘にして選手のマーガレットとのロメジュリ話を交えながら語られる「白黒ダービー発展史」。白黒つけろ。

　荒野の交差点にあるバス停。999の路線が通っているというが、ここで乗り換えを待つ人々はいつ来るかわからないバスを何日も待ち、次第に集団が形成されていくという「バス停夜想曲、あるいはロッタリー999」。人が増えて、集団が増えれば、それは社会であって、社会ってえのはどうなるものかだいたいみんなわかっていると思うが、どう話がエスカレートするのかお楽しみ。

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SF小説集。設定が面白すぎる。一人の男が一瞬にして19329人となる「吉田同名」、半分となった家に暮らす「半分世界」などがある。どれもあり得ないと思う設定だが、大真面目に語られるので、それがとても面白い。文明や文化の成立を見ていく感じもあった。人間の文化って偶然とかによって成立していくんだろうなぁ…

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設定にまず引き込まれて、文章力と展開にあっというまに溺れてしまう。今後の日本文学史に確実に名前を残すであろう一冊。

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短編集。
｢日常の延長線上に狂気が有る｣、｢その境目を説明しようとすると、意外と難しくて混乱する｣感じ、かな。
最後のストーリーがやたら長い。すごく長い。筆者的には一番気に入って力の入った作品なのだろうと思う。でも長い。
多分、世界とか歴史・文化とかを投影しているのかなと思うけど、個人的には正直言って読み飽きた。
読後感は｢疲れた｣。
ボーッと平和におバカに読むにはエネルギーを食う作品だと感じた。

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国立増田書店

[関連リンク]
奇妙で奇怪で底抜けに愛おしい世界を描くデビュー短篇集──『半分世界』 - 基本読書: http://huyukiitoichi.hatenadiary.jp/entry/2018/01/24/080000

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諸君脱帽の用意を　という飛浩隆の帯であるが、ぶっ飛びすぎて疲れてしまった。筒井康隆のわけわからん弾けっぷりに通じるものがあり、天才（の飛さん）にしか判らない良さなのかも。凡人にはついていけない話の展開に靴を脱ぎたくなる。
吉田同名：吉田さんが19329人に突如増殖。これは面白かった。
半分世界：ドリフの全員集合セットみたいに半分の家に住む藤原家の人々とそれをウオッチするフジワラ―の話。後半　だれてきた
白黒ダービー小史：町の住民が南北に別れてサッカーする話。ロミオとジュリエットばりにフォワードとデフェンスが恋に落ちる話
バス停夜想曲、あるいはロッタリー９９９：時刻表のないバス停でバスを待つ人の話が、だんだん無茶苦茶になってきて、もはや文字をたどるのみ。