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紙の本
言葉の魂の哲学 (講談社選書メチエ)
著者 古田徹也 (著)
【サントリー学芸賞思想・歴史部門(第41回)】「ゲシュタルト崩壊」を扱った中島敦とホーフマンスタールの小説から、ウィトゲンシュタインの言語論、カール・クラウスの言語論まで...
言葉の魂の哲学 (講談社選書メチエ)
言葉の魂の哲学
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商品説明
【サントリー学芸賞思想・歴史部門(第41回)】「ゲシュタルト崩壊」を扱った中島敦とホーフマンスタールの小説から、ウィトゲンシュタインの言語論、カール・クラウスの言語論までを検証。「生きた言葉」「魂ある言葉」を考える、新しい言語哲学。【「TRC MARC」の商品解説】
【2019年サントリー学芸賞受賞(思想・歴史部門)】
中島敦の小説「文字禍」、ホーフマンスタールの小説「チャンドス卿の手紙」。この二つの作品に描かれたいわゆる「ゲシュタルト崩壊」、すなわち、文字が意味や表情を失って見える現象をてがかりに、ウィトゲンシュタインの言語論に新しい視座を与え、カール・クラウスの言語論に、すぐれて現代的な意味を見出す。清新な言語哲学の登場!
言葉が表情を失うことがある。たとえば、「今」という字をじっと見つめ続けたり、あるいは、「今、今、今、今、今、今・・・」と延々書き続けたりすると、なじみのあるはずの言葉が突然、たんなる線の寄せ集めに見えてくる。一般に、「ゲシュタルト崩壊」といわれる現象だ。
逆に、言葉が魂が入ったように表情を宿し、胸を打つようになることがある。こういう現象を、どうとらえたらいいのだろうか。魂のある言葉とは、どのようなものか。
本書は、中島敦とホーフマンスタールの二編の小説からはじまる。いずれも、「ゲシュタルト崩壊」をあつかった作品である。
ついで、ウィトゲンシュタインの言語論を検証する。かれが「魂なき言語と魂ある言語」といったとき、どのような哲学が展開されるか。
そして、最後に、カール・クラウスの言語論を考える。
生涯をかけて、言語批判をつらぬいたクラウスの思想とは、どのようなものだったか。
それは、「常套句に抗する」ことで、世の中をかえようとする試みでもあった。
以上の三つの核によりそいながら、「命ある言葉」とはなにかを哲学する力作。【商品解説】
目次
- 第1章 ヴェールとしての言葉――言語不信の諸相
- 1.中島敦「文字禍」とその周辺
- 2.ホーフマンスタール「チャンドス卿の手紙」とその周辺
- 第2章 魂あるものとしての言葉――ウィトゲンシュタインの言語論を中心に
- 1.使用・体験・理解
- 2.言葉の立体的理解
- 3.「アスペクト盲」の人は何を失うのか
- 第3章 かたち成すものとしての言葉――カール・クラウスの言語論が示すもの
- 1.クラウスによる言語「批判」
- 2.言葉を選び取る責任
著者紹介
古田徹也
- 略歴
- 〈古田徹也〉1979年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。専修大学准教授。専攻は哲学・倫理学。著書に「それは私がしたことなのか」など。
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言葉を立体的に彩る
2018/05/30 14:20
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:病身の孤独な読者 - この投稿者のレビュー一覧を見る
普段何気なく使用している言葉について考えたことはあるだろうか?また、同じ言葉を使用しているのに他人に伝わらなかったり誤解を生んだりすることはないだろうか?
本書は、このような言葉の根本的な性質に関する書籍である。具体的には、ウィトゲンシュタイン哲学を踏襲することで、平板化された言葉ではなく「言葉の立体性」について考察を行う。立体性とは何か?それは言葉のもつ連関的で深い意味である。その内容の詳細は本書を読んだ人のお楽しみである。
言語の本質を突いた議論と生きた言葉の自覚へと導く手軽で面白く読める書籍である。