- 販売開始日: 2023/03/18
- 出版社: 共立出版
- ISBN:978-4-320-00927-1
生物をシステムとして理解する
生物を「システム」として理解しようとするシステム生物学という学問が注目を浴びている。システムとして生物を理解しようとすると、生物と機械(たとえばラジオ)には多くの共通点が...
生物をシステムとして理解する
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商品説明
生物を「システム」として理解しようとするシステム生物学という学問が注目を浴びている。システムとして生物を理解しようとすると、生物と機械(たとえばラジオ)には多くの共通点が見えてくる。
本書ではこのようなシステム生物学の考え方が通常の生物学とどのように違い、面白く、そして今後の生物学の発展にどのように貢献できるのかについて、生物学を教育背景としながらシステム生物学の世界に飛び込みそして魅了された筆者の経験や考えをもとに、実例を挙げながら説明する。読み終わった後、「生物を理解するのにこのような考え方があるのか!」と少しでも思っていただけたなら幸いである。
目次
- 1 通常の生物学とは?
- 1.1 通常の生物学
- 1.2 生物は数多くの部品からできている
- 1.3 酵母の研究へ
- 2 システム生物学との出会い
- 2.1 システム生物学とは?
- 2.2 分子の時間パターンによる制御って?
- 2.3 ネットワーク構造が生み出す特性
- 3 細胞とラジオのシステムは同じ!?
- 3.1 ホルモンによる生体応答の制御
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観察、データ収集から数理モデルへ。
2018/08/30 16:44
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
副題にある「細胞とラジオのシステムは同じ?」とはどういうことなのだろう。そんなところにまず目を魅かれてしまうのだが、本書は「システム生物学」とはどういう学問なのかを知るにはの良い入門書になった。
このシリーズは新進の分野の研究者が執筆しているものが多い。本書もそうであり、どのような形でこの研究を進めたのかから始まる個著者自身の研究への過程は、これから研究に足を踏み出そうという若い人には参考になるだろう。研究内容の詳細は少し面白味がない、と感じられるかもしれないが、新しい分野ができるときはどんな感じか、がわかる面白さもあった。
細胞とラジオ。どちらも情報を受け取り、それを異なる形で発信する。「ブラックボックス」としての細胞もラジオも同じ、という考えである。研究の流れとしては「実験によるデータ収集」から「それを著す数式モデル」作成、新たな要因の推測といったところであろうか。
最後の章「システム生物学の未来」で著者が描く「科学の進歩」のイメージは確かにそうだ、ととても納得がいくものであった。確かに物理学もはじめは天文学のような観察や観測から始まり、実験を経て現在のような形に展開してきた。生物学も観察や実験を経て、の段階としての展開をし始めた、ということなのではないだろうか。観察、データ収集から数理モデルへ、は科学の王道? 社会学などでも数理モデルを使う予測などが行われている。これもある意味同様な科学の展開の方向なのか、とも思える。
科学の進む方向はどの分野でも同じ人間が行うこととして似てくるのかもしれない。ではこの先どちらを向いていくのか。終わりにはそれを考えさせられた。