電子書籍
数字の裏を読む
2020/11/25 17:08
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投稿者:Turnbull - この投稿者のレビュー一覧を見る
計測できない世界をどう読むのか、それはITが進み、AIが導入されつつある現代でも、業務としてできるのであろうか?
考えは理解できるが、寧ろ個人技を感じてしまうのは。。。そもそも大学を卒業して、ずっと銀行員とかでは難しいのでは?という気もしてしまう。
紙の本
シリーズ3作目 計測できない世界での銀行の役割はなにか
2020/04/27 20:54
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:もちお - この投稿者のレビュー一覧を見る
早いもので銀行の現在と将来を描くシリーズも3作目。1作目では旧来の銀行業務では銀行は役割を失うこと、2作目では信任責任をまっとうできない金融機関は役割を失うことであった。それぞれ前任の森長官の銀行改革に沿った内容であり、遠藤長官にバトンが渡された現在、計測できない世界において銀行は評価されなければ生き残れないという。具滝的にはルートPとルートRがあり、前者は融資残高であったり手数料であったり、後者は顧客との関係である。後者は収益と結びつくことが少ないため、担当者の評価にもなりにくいが、資金需要が少ない現在においては、この面で評価されないと他の金融機関はおろか、fintech企業との競争に勝てない。この本の発刊後にコロナ騒動による資金需要が大量に生じた。銀行最後の輝く場でルートRを活用し、必要な資金を適切に供給できるか。
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捨てられる銀行3 未来の金融 「計測できない世界」を読む
2019/2/13 著:橋本 卓典
「捨てられる銀行」は、見えない未来に向き合わない。人工知能(AI)やフィンテックは、もはや人の簡易な仕事の大部分を代替できるまでに進化を遂げようとしているし、10~20代の「Z世代」の価値観がまもなく世の中を席捲し、銀行の店舗、カウンター、人員の意味を根底から変えようとしていることを理解しようとしない。
「捨てられる銀行」は、過去続けてきた数値とノルマと地位と報酬による人間の管理、会計とコストだけで組織や人心までもコントロールできるという古代の信仰を捨てない。いあわば、目で見える、「計測できる世界」しか、見ようとしていない。
本書は、「計測できる世界」の出来事や言葉に右往左往するのではなく、「計測できない世界」で何を意味し、何が起きているのかを洞察し、そして我々に何ができるのかを考えている。構成は以下の5章から成る。
①金融革命とポスト森金融行政
②20年の金融ルールが変わる
③「共感」と金融
④さよなら銀行
⑤「計測できない世界」にどう対処するのか
捨てられたくない。拾われたいし、選ばれたい。しかし、捨てるも捨てないも選ぶのはお客様。いくら自分たちは頑張っているんですと言っても「計測できない世界」においては、今までの常識は通用せず、既存の概念を超えた競合が現れ、お客様にとってより良いサービスが提供されれば、一気にその勢力図も変わることが予想される。
しかし、目を背けず、「守る」ということと並行して、「攻める」ためには、自分たちしか出来ないサービス・価値の創造や提供を考えながら進むことが必要となる。
「計測できない」と現実から目を背け、どれが正解かわからないと傍観していれば、一気に世の中から取り残されてしまう。
考えることは多く、やることも多く、何から手を付ければいいのか迷うこともあるが、その中でも自分本位ではなく、しっかりとお客様・地域の方を向きながらがむしゃらに一生懸命に行動する仲間が自分の近くにはたくさんいる。
計測できないかもしれないが、確実に近い将来やってくるその世界に対して、立ち向かっていくのは間違いなく私たち世代の宿命。難しい顔ばかりせず、笑顔と情熱を持って楽しみながら挑み続けたい。
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序章 計測できない世界
第1章 金融革命とポスト森金融行政
第2章 20年の金融ルールが変わる
第3章 「共感」と金融
第4章 さよなら銀行
終章 「計測できない世界」にどう対処するのか
著者:橋本卓典(1975-、東京都、ジャーナリスト)
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計測できない世界がテーマ
遠藤俊英新金融庁長官の現場主義
①生産性向上支援チーム
現場で支援する金融庁と財務の混成チーム
②ネットプロモータースコア
顧客間の口コミと推奨
③計測可能なKPIを廃止
森前長官の改革とは
①地域金融改革 事業性評価という価値観
②資産運用改革 フィデューシャリーデューティ
セゾン投信の中野社長を元に投信残高上位20銘柄のコストリターン、リスクリターンを公表
行かない革命
Z世代はインターネットで済ます
トランザクションとリレーションバンキング
再編では解決にならない。
リレーションバンキング、菱形営業で
検査マニュアルとは
①経営管理 ②金融円滑化 ③リスク管理
リスク管理にかなり膨大な量を
↓
マニュアル廃止、別表と引き当て廃止
そして予想信用損失モデル導入
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金融だけでなく、平成という時代のメンタリティーとして読んでいた。
成果主義の行きつく先の寒々とした世界が垣間見える。
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私も金融機関にいたし今も「金融機関にどう説明するか」が仕事上で大きな割合を占める。
金融機関の貸し出しが増える道筋のルートP(拡大期にあてはまる。自行の論理優先、担保・保証付き)とルートR(縮小期にあてはまる。顧客の論理優先)はまさにその通り。
この本のボリュームと内容の濃さは金融解説本の域を逸脱しビジネス書として見ても十分なレベル。見えないものを指標とする、共感をもとにした顧客との関係構築、など金融機関でない業態にも当てはまる。
今や企業としての金融機関、人材としての金融機関職員は状況の把握、分析、対応策のアドバイスというところで周回遅れの場所にいるのではないか。一方の当事者である中小企業は日々革新をし、進歩、進化し続けている。その中小企業の命運はその人たち、その金融機関に握られている形。このまま金融機関に大きな変化がなければ中小企業側は銀行抜きで成長できる方策を探し、そのニーズに気づいた人や組織がそれに応えるサービスを提供することになるだろう。
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過去作と書いていることに大差はないが、良い本だと思った。
お客様に寄り添う気持ちと熱いハート、そしてブレない信念こそが大切だと感じた。
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金融機関の審査。昔から言われているように目利きの世界だけど、いつしか金融機関はこの力を失ってしまった。それは前から言われていたことで、でもとても大切なこと。確率論はあくまで過去を語っているにすぎないから、それで未来は測れないというのは説得力はあるけど少し違うなと思うところもある。確率というか統計なのだけど、デフォルト確率の推計は過去の実績から求めるものだけど、その会社の過去ではなくて、過去の同様の会社が1年後にどうなっているかの推測。良くなる会社も悪くなる会社も、個別にはいろいろだけど、也で行けばこういう確率でこうなるというだけの話。VaRなんていうのはもっと確率的な話で、もちろんリーマンショックのようなジャンプは予測できないけど、これも也で行けばこのくらいの確率で、これだけのリスクがあるというだけの話。VaRはむしろ身の丈に合った商売をしましょうというだけで、否定されるものではないと思うけどな。だけど、デフォルトする確率が高い会社が本当にデフォルトするかは別の話。個別に内容を見て、新しい取り組みとかそういうのを見るのが目利きの力。それはご指摘のように否定するものでも何でもなくて、本来そういう目利きの力を持つべきなのは誰も否定しない。でも、商業銀行は預金を預かっているという特性上、過度なリスクをとって自分たちが破産してはいけないことも事実。バーゼルとか金融検査マニュアルとかが生まれた背景はきちんと抑えないといけない。目利きだって失敗はする。また失敗を全くしないような目利きも意味がない。ある程度のリスクを取る以上、体力に見合った範囲でというのは絶対に必要なことだと思う。
あと、アリペイとか、これはキャッシュレス革命ではなく信用革命だといっていた。これは本当だし、こちらの方がこれからの情報社会では重要なことなのだと思った。
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今の銀行に対して危機感を抱かせてくれる良書。
計測できない世界にこそ本質的なものがあるのに銀行は計測できる世界にしようとする。
フィデューシャリーや事業性評価をノルマ目標にしたりするのは最たるもの。
普通の何も考えない人が最も危険で、悪のスイッチを押されて盲目的に顧客の利益を喪失させていく。
顧客の犠牲に成り立つ利益を追求するしかなくなる。
こういう時代にこそ、本質的な顧客本位とリレーションシップバンキングを進める必要ある。
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2019年 2冊目
第1作目では金融政策の変化に伴い、地銀に対するニーズが「健全な財務体質」から「事業性評価と地域貢献」に変化したことに触れ、広島銀行をはじめ優れた経営マインドをもつ金融機関に触れていた。
第3作目となる本作では、もう一歩踏み込み、クラウドファンディングや菱形のリレーション構築等、具体的な事例について触れられており、リレーションシップモデルの銀行に関する理解がより深まったと思う。
同時に金融庁を慮った既存の経営体質を維持することで、現場の若手が離脱していくワーストイグザンプルにも触れられており、金融業界のものとしては少し耳が痛い内容であった。
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第1章 金融革命とポスト森金融行政
メインバンクを変える地方の雄/森金融革命とは何だったのか/地域金融革命と資産運用改革/現場主義者・遠藤新長官の頭の中/地域生産性向上支援チーム/何が変わり何が変わらないのか/「行かない革命」の脅威/銀行再編の限界/預金送金決済が銀行から消える日/アリペイが起こす信用革命
第2章 20年の金融ルールが変わる
検査マニュアルとは何だったのか/別表が招いた金融排除/引当が一変する/五味元金融庁長官の証言/「検査マニュアル」はどう変わるか
第3章 「共感」と金融
共感が世の中を動かす/保険の魔術師と呼ばれる男/飛騨から生まれた「育てる金融」/金融業者のクラウドファンディング/鶴岡を世界一にした金融マン
第4章 さよなら銀行
追い詰められた支店長/客を売ったメガバンク/衝撃の金融庁臨店/銀行は人に不幸を売る仕事?/相手にするのはAKとKK/商工中金の闇/
第5章 「計測できない世界」にどう対処するか
スルガ銀行が示すもの/本当のリスクとは何か/大きくなる誘惑/鎌倉投信・新井の新たな挑戦/リレーションシップ・インパクト論/「計測できない世界」に
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今、金融機関の状況は非常に厳しい。これまでの姿を維持することに腐心しているが、それが本当に難しくなってきたことを実感しているから、もがき苦しんでいる。
本書を通じて浮かび上がることは、確かに現実のものとしてほぼわかるものであり、実際に金融の現場にいる自分としても納得いくところが多い。
「金融」という仕組みの中に入って、そもそも自分は何をしたかったのか、ということをまた考えさせられる一冊だった。
金融業務は情報の仕事である。これほど大量の情報が世に溢れかえる時代となって、情報の非対称性を利益の源泉として金融仲介を行ってきた既存の金融機関にとって、出る幕はますます少なくなってきている。その状況を見つめなおしてみて、本書が言うところの「計測できない世界」であり、“共感”なのだろうと思う。次はどのような“共感”を育んでいくのか、ということになろうか。
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未来の金融―捨てられる銀行3― 橋本卓典
捨てられる銀行、非産運用、未来の金融とジャーナリスト橋本氏による金融庁の改革ルポタージュ。部門が銀行系であることや、自分自身が金融庁の管轄下の保険会社にいることもあり、非常に勉強になる。個人的に、入社前に読んだ時より、アクチュアリティをもって読むことが出来た。
主に、20年程前の不良債権問題の対応策として金融庁が策定した金融庁マニュアルの功罪を解き、現在生じている金融排除や、反対に銀行があるべき姿にフォーカスしている。引当金等を厳格に定めた金融庁マニュアルは不良債権問題で破綻寸前の金融機関に対しての緊急策であり、20年間使う代物であるとは当時の策定者も考えていなかった。融資先の格付けにより、融資額を決める画一的な方法論により、志はあれど信用のない事業者が融資を受けられない「金融排除」という事態は、明らかにマニュアル主義の終着地点であり、まさしく捨てられていく銀行の態勢に他ならない。信用のない事業者に融資することは、マニュアル的にはリスクを背負う悪の行為であり、現状では実績こそないが未来の成功を見極める目利きを持った人は少なくなっているという。本来的に、金融機関は金融機能を通じて経済全体の活性化と国民の富の増大にこそレゾンデートルがある。機械的な格付けによる融資枠の決定という外部への潔癖性と、回転販売という内部からの腐敗に筆者は警鐘を鳴らし、あるべき金融機関の姿をリレーションバンキングに見出す。
本来、お金を貸すだけならだれでも良いが、その中で、選ばれるためには、銀行が持つ関係性とお金回りの知識による事業者の全体的なバックアップが必要である。金融機関として、点と点をつなぐという付加価値提供の在り方は、保険会社に勤める自分も頷ける。商品性や保険周辺の知識はさることながら、当社が持つ多くの関係先をむずびつけることは、付加価値提供の一つの在り方であると思う。ワンピース考察で結末予想というものが良くあるが、ルフィがレッドラインを沈め、東西南北の海を統一することで、世界が一つになるという考え方は面白い。社会は、あらゆるもので分け隔てられている。それが悪いことではないが、リレーションバンキングでビジネス界のワンピースを作るくらいの夢を持っても良いかもしれないと、粛々と考えた。
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金融庁の森信親長官の金融検査マニュアル廃止宣言をきっかけに、旧態依然の銀行が変化してきている実態をレポートした面白い著書だ.ユーザー志向の考え方は銀行以外の業界では当たり前だったにもかかわらず、自分たちのノルマだけを達成して、利用者のことは無視してきた.利益の上がるはずのない投資信託を小金を持った高齢者に勧めて、暴利をむさぼる.このような銀行が存在価値はない.改善の様子が示されているのにほっとした感じだ.