質の高いネタ帳を見ているような
2020/02/05 23:24
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投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
サスペンス/SF/ミステリのアイディアが詰まった短編集。何作か習作も収録されている上に、一冊通してジャンルが多様でこの作家の脳内を覗き見ているような楽しみ方ができる。推理ゲームとしてサクッと楽しめるけど、オチが秀逸な「見えないX」は特に面白かった。
本の内容とは直接関係ないけど、陳浩基の代表作「13・67」の翻訳者の名前が巻頭にあってグッときた。「歩道橋の魔術師」も「13・67」も「自転車泥棒」も訳してきたあの名訳文がもう楽しめないのかと思うと、心の底から寂しいけど、台湾中国文学の静かで熱い波が途切れないことを祈りたい。
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『13・67』が話題の陳浩基最新作。この『13・67』は、華文ミステリブームの契機となった作品のひとつで、香港を舞台にしたスリリングな警察小説だったが、本書は陳浩基の、かなり違った一面を見せてくれる。
邦訳のある2冊はどちらも警察官を主人公にしたガチガチのミステリだったが、短編の中にはSF的な設定を活かしたものや、寧ろホラーに近いもの、また、同じミステリでもサイコサスペンスに分類されるものなど、作風はかなり幅広い。
警察小説も当然面白いのだが、陳浩基の持ち味としては、SF的な設定を活かしたミステリなのではないか。本書収録作の中に、『時間の売買が出来る世界』を描いたものがある。この設定で長編を読んでみたいのだが、どうだろう。
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若干、玉石混淆なところもあるけれど、平均値高めと思う。『藍を見つける藍』『沈黙は必要だ』『いとしのエリー』○。特に『時は金なり』◎
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華文ミステリの秀作『13・67』の著者の、デビュー10周年を記念した自選短編集。本格ミステリ、バカミス、SF、ホラー、ショートショートなど、ジャンルはごちゃ混ぜだったけど、一捻りある作品ばかりでとても面白かった。僅か2ページのショートショートにも仕掛けがあるのは凄い。
登場人物を和名にしたら、日本人作家が書いたと言われても信じてしまう位に馴染みやすい文章が特にいいし、収録作の本格ミステリ二作は、いづれも傑作だった。
華文ミステリの取っ付き難さを無くしたという事だけでも、この著者は称えられて良いと思う。
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自薦短編集で17の作品が収録。
ミステリ、サスペンス、SF、脱力系とバラエティに富んだ内容で、著者のさまざまな面を見ることができて面白かった。
ベストは「藍を見つめる藍」と「見えないX」。フェアネスとミスディレクションが素晴らしい。
『13・67』も傑作だったし、この作者はやはり好きかも。これからも楽しみである。
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どれもひねりが効いている
あとがきの著作解説がとてもいい
一作ごとに一曲を例えている
藍を見つめる藍 作家デビュー殺人事件 見えないXあたりが好き
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最初のサスペンスミステリ「藍を見つめる藍」でぎゅっと詰まった技巧の妙に打ちのめされ、ラスト1ページまで鮮やかな本格「見えないX」まで本当に幸せな読書タイムでした。他にもSF、ホラー、ユーモア、メタっぽいものまで多岐にわたる17編は素晴らしかったです。どれもラストの余韻を堪能しました。他に好みは「珈琲と煙草」「霊視」。あとがきで著者が選ぶ各話への名曲も物語のイメージを倍増してくれます。「今年の大晦日は、ひときわ寒かった」「姉妹」あたりは特に。読了後の満足感は想像以上でした。素晴らしい変奏曲を堪能しました。
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「13・67」の作者による短編集。
いろいろなジャンルに富んでいて、面白いものもあった。
全体的に(特にSF的なもの)は星新一を思い出した。
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プレイリストとともに→The Diogenes Variations, Op.5 https://www.youtube.com/playlist?list=PL_D8PTgjl8oaaanrowq7zxH2g8w8P528y
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ホラー、星新一風のSF、バカミス、バリバリの謎解きと、バラエティに満ちた作品集。いろいろな楽しみ方ができるけど反面、玉石混淆、ネタありきで広がりに欠ける作品も少なくない。しかし、作者があの陳浩基となると話が違ってくる。話題の華文ミステリの旗手にして、日本の新本格を引き継ぐ注目の作家なのだ。
著者あとがきを参照しつつ作品を読むと、彼がとても実験的にこれらの作品を仕上げていることがわかる。個人的にお薦めは、金銭で時間をやり取りできる世界を描いた「時は金なり」、後の『世界を売った男』を思わせる「珈琲と煙草」。そして何と言っても「見えないX」。これは読み返すと、作者のフェアネスがわかり、さらに面白い。
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内容(「BOOK」データベースより)
今、新たな潮流として注目を浴びている華文(中国語)ミステリ。その第一人者・陳浩基が持てる才能を遺憾なく発揮したのが、この自選短篇集である。大学生たちが講義室にまぎれこんだ謎の人物「X」の正体を暴くために推理を競い合う本格ミステリ「見えないX」、台湾推理作家協会賞最終候補作となった衝撃のサスペンス「藍を見つめる藍」、密室殺人を扱った「作家デビュー殺人事件」、時間を売買できる世界を描いた異色作「時は金なり」など、奇想と仕掛けに満ちた驚愕の17篇を収録。著者デビュー10周年記念作品。
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藍を見つめる藍★★★★
サンタクロース殺し★★★
頭頂★★
時は金なり★★
習作 一★
作家デビュー殺人事件★★★
沈黙は必要だ★★
今年の大晦日は、ひときわ寒かった★
カーラ星第九号事件★★
いとしのエリー★★
習作 二★
珈琲と煙草★
姉妹★
悪魔団殺(怪)人事件★★
霊視★
習作 三★
見えないX★★★★★
王道かつトリッキーな本格推理小説集だと思って読んでみたら、ホラーやSF、幻想小説。また、ミステリの中でもメタミステリや、ややバカミス的な味わいの作品が多かったです。
本格を期待して読んだ感想として、個人的に一番面白かったのは、ラストの「見えないX」でした。
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ミステリ短編集。だけれど、本格ミステリありSFミステリありサスペンスありホラーっぽいのあり、と読み心地はかなりバラエティに富んでいます。
お気に入りは「カーラ星第九号事件」。SFミステリで、論理もきっちりとした固めのミステリだと思ったら。ラストで明かされる真実が!
「頭頂」と「霊視」もホラー好きとしてはかなり好みでした。怖いけれどどこかしらユーモラスな「頭頂」、でもこんなの……見たくないなあ。「霊視」はラストでぞくりとさせられます。
一番本格ミステリだったのは「見えないX」かな。ある意味の犯人捜しミステリだけれど、日常の謎としても最低レベルに魅力的ではないつまんない謎、だと思っていたのに。いやいやとんでもなく面白いじゃないですか! そして真相は見抜けませんでした。
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7/16/2020
私は頭が硬いんだと思う、SFは苦手。(昔は眉村卓くらいは読んだんだけど。) なので2篇くらいあったSFは字面だけ追って読んだ感じ。逆にSF好きな方にはオススメかも。他にも異なったタッチのミステリー短編満載なので、陳浩基を読んでみるのにちょうどよい一冊。それこそ3ページ程度の超短編もあったりで、器用な人なんだと思う。
追記 9/10/2020
感情的になりそうだったので前回↑では敢えて触れなかったけど、読み始めようとして最初に目にした 「本書を謹んで天野健太郎氏に捧ぐ」。これは強烈すぎた。ここでしばらく止まってしまった。
RIP
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同じ作者の13.67が話題だったので読んでみたところ、びっくりするくらい面白かったのでこれも読むしかないと思い手に取ってみた。
純粋なミステリーにとどまらずSF要素を取り入れた話もいくつかあり、作者の志向が垣間見れ興味深かった。収録作の中では「見えないX」、「作家デビュー殺人事件」、「カーラ星第九号事件」が気に入った。習作などもあり全てが傑作!とは必ずしも言えないが、13.67が気に入ったなら読んで損ではないと思う。