紙の本
統計や実験・調査結果をもとにした状況がわかる
2020/01/04 17:55
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投稿者:UMA1001 - この投稿者のレビュー一覧を見る
分析や予測には物足りないが、現状での状況把握には信頼できる内容
・男性の5人に1人、女性の10人に1人は生涯独身
・赤ちゃんの出生体重はその後の人生と大きく関わっている(健康、知能指数)
・働く女性の子供は低出生体重児になりやすい
・出生体重が10パーセント増えると、20歳時点でのIQは0.06高く、高校卒業率は1パーセント上がり、所得も1パーセント増える
・6歳児時点では知能テスト、先生の評価どちらを見ても、母乳育児で育ったほうが高い成績を上げている、しかし、その効果は長続きせず、16歳時点では差はなくなる
・育休3年制は無意味、1年がベスト
・給付金の充実よりも保育園の充実の方が現時点では大切
・4週間の育休取得はお父さんの所得を2パーセントほど下げている
・お父さんが育休を取得した場合、子供が16歳になった時の偏差値が1ほど上がっっている
・お父さんが育休を取ることで、夫婦で育児に関わり、結果として夫婦関係が良いものになっている
・お父さんの育休で離婚が1パーセント増えている
夫婦で過ごす時間が増え、嫌になるのが早まる、金銭的に低下、お父さんにストレス
・離婚率は1000人あたり17人程度
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育休の経済学に集中すればよかった
2019/09/30 00:35
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投稿者:マハラオ - この投稿者のレビュー一覧を見る
欧米に比べ日本のデータは、著者のいうとおり、「質量ともに劣っている」。その中で著者はドイツの研究をてがかりに育休3年制について政策提言を試みる。「海外の経験をそのまま当てはめるのはやはり危険」という至極まっとうな前提に立ちつつも同時に「無分別に改革をスタートさせてしまうのも危険」とのたまう。著者が前提とする予見は!)正社員を止めてはいけない、2)一歳児になれば母親の負担が軽減される、3)育休はキャリアの致命傷にならない、という当たり前の散点である。なにをいまさらという予想される指摘に対し著者の用意する回答は「論点をデータできちんと確認することは、間違いのない判断に必要」というものだ。ここからが本番。著者が経済学の理論を織り込んだ予測と称するものから引き出される結果は1)一年間の育休は母親の就業にプラス、2)育休3年制に追加的な効果なし、3)育休は3年もいらない、そして著者の結論は第3章4節の見出し「育休3年制」は無意味。一年がベストという断定である(ただしこれは編集部で付けた可能性もある。そうであっても著者がチェックしたか問われるところ)。1と2の典拠は海外の論文であるが3の育休3年不要論は著者の英文論文が典拠である。である以上典拠となる論文を解きほぐして解説するのが筋。単に「女性の出産や就業行動がどのように変化するかをコンピュータ上でシミュレートし、何が起こるか予測しました」と述べるだけでは読者を愚弄するもの。
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当たり前の話をデータで説得する感じかな?日本の育休は世界的に悪くないとか、ヨーロッパの多くの国とアメリカは全州で離婚後共同親権だけど、原則ではなく裁判官の判断でアメリカでは25%くらいだと。それなら納得ですね。もう少し少なくても良いくらい。共同親権には懐疑的だったけど、双方が希望して裁判所が担保できるならありかなと思った。
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幼児教育の経済学というノーベル経済学賞のヘックマン氏の本を先に読んでいたが、本書で取り上げていた赤ちゃんの経済学、育休の経済学など、経済学との関係性が全く分からなかった。本書でもヘックマンのペリー就学前プログラムについて取り上げられていたが…。著者の各章のデータ分析というと、例えばマッチングサイトを利用するとオフラインで出会えない組み合わせの出会いがあることがデータで示されたとか。その程度の分析がどう経済学なのか、読み始めから首を傾げてしまった。
第2章赤ちゃんの経済学を読み進めても、出生体重の低下傾向と働く女性との関係について書かれていたが、これは経済学の分野ではないと思う。個人的に3年育休制の効果について興味を持っていたが、意味なしと帯に書いて宣伝している割には結論の元になるデータや資料が全く示されておらず、著者の推論に過ぎないことが分かった。他にも、肝心なところで結論を裏付けるデータが示されていなくて残念な箇所が多々あった。経済学の専門家らしい視点は無いです。
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タイトル&見出しに惹かれて読んでみたが、正直内容の薄さ&チグハグさに苛立ちを覚え、最後まで読み終えるのに苦痛を感じた。
データを元に結婚・出産・子育て・離婚について述べているが、主観的意見をサポートするデータの羅列が多くみらた。多角的な視点に欠けており、都合良いデータ&支離滅裂なデータ情報が散見された。
あまりにこの本で紹介されてる内容が一般的な意見ばかり、しかも、この意見がどれだけ合っているかを証明することに意義がある、と説明しているが、内容が薄すぎて説得力に欠ける。
持論がいかに正しいかを周りに知らしめたいだけのように感じた。
また一部の内容において、政府の政策を擁護するかのような内容の箇所がみられたり、結論のなくデータを羅列しして箇所が多く散見されたため、この本は著者の自己満との印象が強い。
正直偏見に満ちた内容との印象が強い。
本のタイトルから期待した内容のが全くみられず、ひさしぶりに非常に残念な本だった。
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数年前に「学力の経済学」という本が出版され、当時読みました(レビューしてなかったかも)。
その本はいわゆる「学力を上げる」や教育に関するこれまでなんとなく言われ続けてきたことを、科学的にデータ分析して見直してみたらこうでした、といったことが書かれてあり、目からウロコな話も少なくありませんでした。
この本は「学力の経済学」と同じくデータを分析して結婚や出産、保育園の効能や離婚についてなどを考察した本です。
なかでも
・今どきの出会いの場、結婚マッチングサイトについて
・帝王切開は自然分娩より劣っているのか
・母乳育児はメリットだらけというのは本当か
・父親の育休で夫婦のきずなは深まるのか
・保育園は子どもと母親にとってプラスになるのか
・離婚しやすくなるのは不幸なのか
についてはなかなか興味深く読ませていただきました。
目からうろこのものもあれば、「ああやっぱりね」とおもったものもあり。
特に大きくうなづけたのは
「子どもの幸せという観点から考えると、離婚の手続きを難しくするよりは、離婚が生み出す貧困の悪影響を避けるような社会の仕組みが必要」ということ。
不仲の夫婦のもとで子どもが育つのは、いくら父母が揃っていたとしてもいい影響は与えないと思います。かといって離婚→シングルで子育てするとなると、経済的な意味でも社会的にも基盤が弱くなってしまいます。この基盤をいかに強化するかが、ある意味、子どもたちの貧困格差をなくすことにもなるのかなぁ。→といったことも筆者が書いていましたがこの選択肢の中にシングルの親が出会い、再婚しやすい社会と雰囲気作りもあればいいかも。
もちろんシングル親への支援は必要ですよ。それと同時にステップファミリーの地位ももうちょっとあがるといいね。
ここまで言及していなかった点がちょっと残念でした。
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結婚、出産、子育てにまつわる事柄について、データに基づく、経済学をはじめとしたさまざまな科学的研究成果をもとに、家族がより「幸せ」になるためのヒントを紹介。
マッチングサイトのデータ分析、出生体重の影響、母乳神話の虚実、育休制度の政策評価など、本書で紹介されている結婚や子育てについてのデータに基づく最新の研究成果は、どれも興味深いものだった。また、育休に伴う給付金の充実よりも保育園の充実のほうが重要、幼児教育・保育無償化よりも待機児童解消が急務といった有益な政策的含意も多かった。
本書で紹介されている研究成果のほとんどは海外の事例を分析したものであり、日本と同様と考えていいのか確信が持てないという点で少し物足りなさもあったが、その背景には日本のデータが質量ともに劣っているという現状があるという。的確な政策立案のためにも、統計調査や社会科学分野での実証的研究の充実が重要だということを感じさせられた。
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結婚や出産、子育てなどに関わる最新の研究結果から得られている知見を幅広く紹介してくれる本。特に子育てに関しては巷によく分からない情報がゴロゴロとしているので、そういうものに惑わされたくない人が読むといいと思う。
本書のタイトルは『「家族の幸せ」の経済学』だけど、私が感じた印象は「幸せになるための経済学」というよりは「不幸せを避けるための経済学」だということ。そして、これはけっこう大事なことだと感じる。
おそらく関心の高い人にとってはすでに知っているとか聞いたことのある情報も多いと思う。まだ子育てをしていない私でも知っていることは多くあったから。
でも多くの情報があって、特に家族や知人など近しい人からも(近しい人からこそ)情報が押し寄せる中で、毅然と自分たちなりの意思決定をするのは難しい場合もあるように思う。押し流されて「不幸せ」になってしまう人は多いのかもしれない。そういう時にこの本は強い味方になるのだと感じる。
帯にコメントを書いている中室先生の『「学力」の経済学』が出た頃から教育分野でエビデンスベースの本が増えてきたように感じててとても好ましい。エビデンスベースであるということでランダム化比較試験などの話に及ぶこともあり、政策提言などで終わるという構成の本も多いのだけど、この本はそれをやらずに個々の家族の話で締めています。著者自身の経験や感覚が語られることはあってもべき論はなるべく避けるようにしているように感じる。
何か意思決定のよすがを求めて読むと物足りないと感じる人もいるのかもしれないけど、私はこの本はこれで良いと思う。一人で抱え込まずに夫婦や家族でこの本について話し、「不幸せ」をさけられる人が増えれば良いと願いつつ。
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結婚、子育てについて気になる疑問を淡々とデータをもとに紹介してくれる本。
3歳まで育児に専念した方がいいのか、
粉ミルクより母乳で育てた方がいいのか、
などは子育てをしようとする母親にとってはとても気になる点。
それが、エビデンスと共に色々紹介されているのが良かった。
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サブタイトルは「データ分析で分かった結婚、出産、子育ての真実」。「神話」や誤解や思い込みに満ちている。これらの分野について、データに基づいて事実を浮かび上がらせる。いつでも、僕らはエビデンスに基づいて議論すべきなのである。
データからは以下のことがわかると著者は言う。
「女性にとって子供を持つ暗黙の費用が大きく上がったこと、結婚から得られる「分業の利益」が下がったことが、未婚率が上昇している大きな理由」
「「子どもが育つ環境は重要だけど、お母さんだけが子育ての担い手になる必要はない」というのがこれら(諸外国)の政策評価から得られる重要な教訓です。(中略)特別の訓練を受けた保育のプロである保育士さんの力を借りるのは重要」
「社会全体が得をするのだから、社会全体がその費用を負担すべきだという議論が成り立ちます。つまり、幼児教育には税金が投入されるべきだという意見には、一定の経済学的根拠があるのです」
「待機児童の解消や、幼児教育の充実には大変なお金がかかります。しかし、その成果は犯罪の減少に見られるように、社会全体で薄く広く受け取られるため、その費用を税金で負担することは妥当です。海外と日本での研究は、こうした考え方にはデータ上の根拠があることを示しています」
その他、たくさんの思い込みや、口コミ、「神話」の間違いが暴かれていく。これらのせいで、息苦しい思いをしているたくさんに人が、エビデンスに基づいた政策によって、救われなければならない。実際にそうして幸せになっている北欧をはじめとしたたくさんの社会があるのに、この国はそうしようとしない。何故だろう。
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結婚、出産、育児、保育園、離婚についての「常識」に対し、アカデミックに分析した内容です。
家族がテーマだと、感情論になりがちです。きわめて私的な世界です。合理的だとか科学的に信頼できるなど優位性があることも、分かっているけどあえてそれを選択しないというケースは多いかと思います。
だとしても、「何となく」で語られてきたテーマを、学術的な立場で白黒つけてくれた本書は、たいへん意義があります。
明確な根拠がないまま、昔から言われている通りにしているのもおかしな話。一方、科学的に正しいことを知り、その上で、それを選択しないという考えは「あり」だと思います。
なお、タイトルから、子育て真っ最中の方の関心を引くかと思いますが、本書は、「我が子に与える教育」の話ではなくて、社会としてどのような政策がコストに優れ、適切なのか、という内容です。
「子育てが仕事のスキルアップにつながる」は、同感です。1人でも多くの父親が、このことに気づいて積極的に育児に参加してくれることを願います。
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エビデンスベースの一般書が増えているの本当に嬉しい
母乳じゃなきゃ駄目とか迷信が老人が若者を苦しめる世の中に鉄槌を
今の日本で問われる家族の問題を優しく解きほぐしていく好著
ただ分析手法に興味を持つ身としては少しデータや手法を示してほしかったので-1点←論文読め←ごめんなさい
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男性の20%、女性の10%が50歳時点で未婚。
結婚の目的は、費用の節約と分業の利益とリスクの分かち合い。
子供の費用が大きくなったことと分業の利益が下がっていることが未婚率上昇の理由。
結婚は似た者同士が多い。
日本は世界2位の低出生体重児が多い国。未熟児を救えるようになったから。
帝王切開は子供にも悪影響がある。細菌や微生物をもらえない、物理的圧力を受けられない、遺伝子に変化、など。
母乳は健康面でメリットがあるが、そのほかははっきりしない。
育児休業制度は雇用保障と給付金。失業保険から支払われる。
あまりに長い育休は逆効果。
アメリカは育休後進国だが、人材確保策として、企業が実施。
中小企業には両立支援等助成金がある。
長いとスキルも労働習慣も失われる。
子供がお母さんと一緒に過ごした期間は、子供の将来には影響がない。しっかしした保育士が育てても同じ。
北欧では7割りのパパが育休を取得する。
日本は制度では育休先進国。
ノルウェーは給料と同額の給付金。それでも当初は珍しかった。法律で4週をお父さんに割り当てた。
ボーナス分は補填がない。
育休は伝染する。
お父さんが育休をとるとその後の子育て時間も伸びる。
幼児教育は知能をつけるというよりは社会情緒的能力が上がる。その結果、周囲とうまくやる能力が身に付き、将来成功する確率が高い。
生涯所得の上昇だけでなく、犯罪の減少などで幼児教育から受ける恩恵は社会全体に及ぶ。
体罰は、自分の問題や葛藤を暴力で解決していいという謝ったメッセージを伝える。
保育園無償可より待機児童解消が先。
3組に一組が離婚、は結婚が減っているので分母が小さくなったせいで数字がそうなるだけ。
離婚しやすくなるとDVが減る。
離婚しにくくするのではなくその後のフォローが大事。
離婚よりその後の貧困が子供に悪影響を及ぼす。
共同親権は離婚後の子供にとって必要。養育費の受け取り率が上昇した。離婚後の男性の自殺率が下がった。
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https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334044220
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経済学の良心。もし私が高校生の時にこの本を読んだら、きっと経済学部を目指したと思う。
本書は結婚、出産、子育て、教育、離婚についての世界各国のさまざまな政策がどのような結果を及ぼしたのか、丁寧に明らかにする。
経済学とは、限られた資源(リソース)でいかにより多くの人をより幸せにできるか立案計画するための理論と根拠を追求する学問だ。といったような定義を読んだことがある。おそらく本書の帯に推薦文を寄せている大竹文雄さんの定義だったと思うが、まさにそんな本だった。
子供は母乳で育てる方がよいのか。
子供は3才までは母がつきっきりで面倒をみたほうがよいのか。
育休は長いほどよいのか。
本書は、豊富なデータから「そうとは限らない」という。
たくさんの国のたくさんの事例から、その調査が行われた時の状況や影響を与えそうな他の要因も考慮して、とてもとても慎重に、そう述べる。
赤ちゃんが一才までは母乳がよい影響を与えるが、長期的にはその影響は消える(ミルクと差がなくなる)。
子供が小さいうちは誰がか丁寧に面倒を見たほうがよいが、母親がよいとは限らない。母親が働けることまで含めるとプロの保育士の方がよい。
育休は一年くらいがよい。3年は長すぎてデメリットが多い(収入が減る、仕事に復帰しにくくなる、男女の役割が固定化される)。
などなど。
全ての結婚子育て中の人、考えている人、それから全ての政策立案者にお勧めしたい。