紙の本
【どうしよもない絶望を抱えたとしても、それでも生きていく】
2022/12/11 09:26
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投稿者:えびし - この投稿者のレビュー一覧を見る
どうにもならない現実に諦観しながらも、様々な視点でメスを入れ、生きる事を模索する人々の物語。
生きる事に明確な理由が無かろうが、死を選ぶ事は出来ず、惰性で生きる毎日。
歳をとる程、湧き上がる様な感動は薄れ、摩耗していく心。
正しさだけでは生きられない世の中。
己に嘘を付く事だけが上手くなって。
大人になる程に傷付く事に慣れていく。それでも、ハズレ籤を引いた人生だとしても。
それを繋ぎ合わせて不安のままでも生きていくのだ。
その先に絶望が光に変わる事を信じて。
紙の本
日常のなかに潜む生きづらさと、生きづらさを抱えながら生きる人々を描いた短編集
2019/12/02 18:04
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
必ずしも自分の思う通りに進むとは限らない人生。それでも、どうしても生きてる。生きなきゃいけないんだ。どうしても生きづらい世の中になってしまうけどなんだか背中を押してくれるそんな存在。心のままに泣いても喚いても叫んでも驚かない人がひとりでもいれば、人は、生きていけるのかもしれない。それが、誰でもない存在としてでしか向き合えない人であっても、それでも…。読むのをやめてしまいたくなるような、こころがずきずきくるようなリアルさがある。「最高到達点」と帯に書かれているのがわかるような気がする。痛いことをしっかり痛いって言える、自分自身に言える自分でいたい。そしたらきっといつの間にか明転するだろうか。
紙の本
面白かったが・・・
2022/07/08 18:28
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投稿者:ぼちぼち - この投稿者のレビュー一覧を見る
短編集。一つひとつは面白かったが表現する言葉が著者独特でそちらの理解するのが大変だった。「籤」は面白かった。
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消えたいなー死にたいなーと思ったり、
そこまではいかなくてもなんとなく、本当になんとなく退屈で心細かったり、
なんか憂鬱で、何がというわけでもないのに憂鬱で仕方なかったり、
誰もが抱えたことがある気持ちがどこかにある一冊。本当にどうしても生きてる。
最初の作品が好き。特定しちゃう感じ
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“死にがいを求めて生きているの”を読んでから約2年。
その作品からはものすごいエネルギーを感じて、わたしの中で、苦手だった作家さんが好きな作家さんになった瞬間だった。そんな、大切な大切な一冊。
そして、本作品“どうしても生きてる”。作家10周年という節目の作品にもなるようで、この作品からも並々ならぬエネルギーを感じた。
“死にがい~”では生きるための原動力、生きる意味、というところに焦点があてられていた、ように感じている。
本作品では、主人公が“死にがい~”よりも年齢を重ねていて、「生きる」ということに対する価値観が明らかに変化している。それは、作者である朝井リョウ自身の生きることに対する価値観の変容と、作家としての想像力の拡張、のように感じられた。
作品は全6編からなる短編集。
主人公はだいたいみんなそれなりの年齢で、「何かのために死ぬ気になってもがいている」年代ではない。”死にがい~”では、そこに焦点を当てて「生きる」ことに向き合うのだけれど、本作品では、そこを乗り越えて歳を重ねた今、「生きている」ということに向き合う、そんな印象だ。
何かのために死ぬ気になってもがいて、そこでした選択。
例えば、立ち向かう、逃げる、裏切る、利用する。
成功と失敗。その時の状況と自分の気持ち。
誰しもが抱えている、過去。
そうした過去を重ねて、今になってまた新たな問題が目の前に降りかかってくる。
でも、その問題はもう、死ぬ気になってもがいたって解決できない。そもそも答えのない問題だったりすることが多い。それに、過去の失敗が実は今の成功だったり、過去の成功が今の失敗だったりしていて、何が失敗で何が成功か、それすら曖昧なのに、また選択をしなければならない。
どんな選択をしても、結局は辛い選択で、逃げ道なんてなくて、生きていかなければならない。
選択すら許されない、つまり決断して前に進むしかない場面だってたくさんある。
そう、この作品のタイトル”どうしても生きてる”はつまり「何があったって生きていくしかない」ということだ。
朝井リョウの作品は、いつだって読者の心を剥き出しにする。
作中で否定的な立場として描いているキャラクターの気持ちにものすごく共感させたり、あるいはこちらが平凡な社会生活を営むために着せている鎧を、いとも簡単に、剥いでしまう。こういう描き方が、本当に巧い。
本作品では「生きがい」のその先「生きていくこと」に焦点をあてつつも、読者の中にある、とっくの昔にしまいこんだ情熱のようなもの、かつてあった生きるエネルギーのようなものに手を伸ばして抉ってくる。「ねえ、昔はあったよね、生きる意味とか、エネルギーってやつ。君は今、何のために生きてるんだっけ?今君は、生きていて楽しい?」と、心のずーっと奥の方まで、手を伸ばしてくる。「もうやめて!」そう叫んでも、朝井リョウという作家は、決してそれをやめない。これが、全6編。結構苦しい。
一話を引き延ばして、それだけで一冊の本を出版できるのではないか、と思えるほどの筆致。読了後は、心の中にずっしりと残ってくれました��
朝井リョウさん、作家10周年、おめでとうございます。
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文学的で、私にはやや難しかった。
「幸せ」そうに見える人も、そう見えているだけ。
いろんな事情を抱えている。
その、どうにもならなさの描き方が、すごくリアルだった。
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どうしても生きてる
著作者:朝井リョウ
幻冬舎
歩き続けるのは前に進みたいからではない、ただ止まれないから、それだけなのに
デビューから10年進化し続ける著者の最高到達点。
タイムライン
https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
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なかなかに心えぐる一冊だった。
人の闇の部分というわけではない。ある程度の人がある程度感じているはずのこと。後悔。
彼らの感情の動きの表現が秀逸で、主人公への感情移入が止まらず、えぐられていたし、思い出して泣きたくもなる。
どうしても、どうあってもいまを生きている。
初めての朝井リョウで短編集ではあったけど、好きだなと思った。
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現代を生きる同世代として朝井リョウの作品は追い続けたい。今を生きるとはこういうことなのかな、と少し俯瞰して感じることができるから。
痛いと素直に言える場所が必要だった人、理不尽な経験をせず年をとってしまった人、非正規雇用を解雇されて先が見えない人。それぞれに不安の形があり、それぞれに希望の形がある。
読み終わったあと、自分は自分の場所で精一杯生きることを誓うことでこの作品は完成するのかもしれない。
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全編通して、暗い。仄暗い、かな(苦笑)
すごく大きな何か、重たい何かを抱えていると言うより、きっと身近にいるだろうな、自分にも思い当たるところあるな、と言う感じの。でも、だからこそ、何て言うか、胸がギュッとなるような、痛みを伴いながら読んだ。
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社会人としての経験を生かしたテーマになっているが心を動かすまでには至らず。
最近著者の比喩や文体が自分に合わなくて物語に入り込めない。
川上未映子とか大丈夫なのに。
この作家もそろそろ文庫落ちかな。
文芸で単行本で購入に値する作品が少なくて哀しい。今年は特に酷い。
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どの短編の登場人物もどこかにいそうな人たちだった。
それぞれ、人物に説得力があったように感じる。
個人的には『流転』が気に入った。
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浅井リョウ「どうしても生きてる」。
僕は、映画館で見れる期間は限られている映画に比べて、読書はいつでも楽しめると思っていた。ただ、この本は新刊として本屋に並んでいる内に読んで欲しい。
ここに描かれているのは、あと5年もしたら事情が変わってしまうかもしれないザ・現代日本。こういう時代を切り取った小説を出すのは勇気のあることだ。でも、これが作者の持ち味だと思う。
現代日本の生きづらさ、しんどさをそのまま剥き出しにしながらも綺麗事ではすまさないそれぞれのストーリー。自分と地続きの世界に生きている登場人物は時には醜さすら感じられる。人間はどうしても生きてるし、どうしても生きていければならないのだ。
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朝井リョウの小説を読んで身体や心のどこかが痛くなったり苦しくなったりするのは、自分の中の古い傷が完全に治っていないからなんだろう。
どの話も自分とは関係のない別の箱の中での出来事だ。自分には起こらなかったできごとで、自分は受けなかった傷で、自分では気付かなかった痛みで。
なのに、どうしてこんなに苦しいんだろう、と思う。
なにかがうまくいかなくて。どこかでつまずいて。誰かに傷つけられて。そんな過去の自分の痛みを、治る前に蓋をして忘れようとしていたからだろうか。古い傷が口を開けていたいいたいとつぶやいている。
いつかきちんと向き合わなければならない古い傷。かさぶたさえもう消えている傷を見つけてもう一度痛みを確認する。その後でしか私たちは前に進めないのかもしれない。
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生きる選択。生きているんだから、生きていくんだ。そんな当たり前のことが、苦しくて、読んでいて、登場人物たちの思いに共感したり、自分の人生と重ねてたりして苦しくなって少し読むのを中断しながら読んだ。朝井さんの本は、読むのにエネルギーがいります、私は。集中しないと文章も難しく感じて、脳みその上で滑っていく感じ。それでも、読んでいくと、途中様々な感情にもみくちゃにされ、消耗しますが、読み終えるとなんだか、心が少し軽くなるみたいなところがあります。読んでいるときは、それぞれの物語の中で、あぁこの人のこういうところ嫌だな、、、いるいるこういう人、、、嫌なところが私みたい、、、と思う場面があります。自分の醜い部分を客観的に見ていて自分が嫌になります。それでも、いろいろ考えながら読む中で、こうしようという前向きさも出てくるんです。それは、ネガティブな人ばかりではないから。生きることに勝手にヒントをもらったような気がします。どうしても生きてる。どうしても、どうしようもないから、どうにかしたいけれど、生きてるんだ。当たり前を見つめられるような本でした。
<私なりに、考えてみました>
こんな人に、おすすめしたい
・人生について考えたい(家族、仕事、生い立ち)
・身近な人との関係を見直してみたい
・つらい経験をしたけれど、そのことについて少し距離を置けるようになってきた
・朝井さんの文章が好きだ!
こんな人は、もう少し時間をおいてみて
・いま生きていることがとても苦しい
・楽しい気持ちになりたい
・さらっと本を読みたい