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商品説明
雪を見てひねもす人に会はざりき 寒鯉の身じろぎしたる薄煙 風邪抜けてけふ猫島に猫とゐる 1994年から2017年までに詠んだ356句を収めた第1句集。【「TRC MARC」の商品解説】
◆第一句集
跼まりて子はなほ小さし椎拾ふ
「跼まり」は「かがまり」、「子」がしゃがみ込んでいるのである。大人と違って、膝も腰も小さく畳み込んだ子供の姿は本当に「小さく」見える。「子」にとって「頼みの存在」であるという自覚が自ずから「椎の実」という季題に託されたと説く向きもあろうが、それは順序が逆で、「椎の実」の持つそうしたメッセージを無意識のうちに感得した詩人の心に、一句の世界が拡がったとみるべきである。花鳥諷詠・客観写生では「人生」が詠めぬ、と言う様なことを説く人々もいる。この句などは、それらの人々の蒙を啓くに足る、第一級の作品であると確信する。
(序・本井英)
◆自選十三句より
蛇死して棒の如くに水に浮き
伊都國の夜の暗さや牡蠣啜る
夕立にちから加はり来たりけり
堅香子の花に微塵の風なきとき
居並びてみな横顔の都鳥
魞挿すや湖は晴山は雪
カーテンに押し寄せてゐる初明り
椿の数さらに蕾の数知れず
線分を短く星の飛びにけり【商品解説】
著者紹介
藤永 貴之
- 略歴
- 一九七四年 四月二十一日 福岡県小郡市生まれ。
一九九四年 慶應義塾大学俳句研究会入会。本井英に師事。「惜春」入会。
二〇〇七年 「夏潮」創刊とともに入会。
二〇一一年 第二回黒潮賞受賞。夏潮第零句集シリーズ①『鍵』上梓。
二〇一五年 「惜春」終刊とともに退会。
二〇一七年 第一回満潮賞受賞。
二〇一八年 第二回満潮賞受賞。
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