紙の本
簡素で、分かりやすかったです
2020/06/14 00:38
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルの命題への著者の見解が、簡素で分かりやすく著されている1冊です。
200ページ未満の、新書としてはかなり薄い仕上がりで、重要な文章はわざわざ太字にしているので、本当に分かりやすくなっています。著者の見解は、実に的を射るものでした。
紙の本
結婚と出産したい若者は沖縄へ行け?
2022/07/04 16:27
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:クーニー - この投稿者のレビュー一覧を見る
本来は、極めて個人的選択であるはずの結婚と出産。だが婚姻率と子供の数が減少するイコール人口減少。つまり将来の国力の問題なのだ、と問題提起されている。
以前、我が国の某政治家や某校長が、女は産む機械、女子は子供を2人産むこと、産めないなら寄付をすること!と問題発言が炎上していたのを思い出した。
日本だけでなく、東アジアも少子化なのか、と意外だった。さて、政治の力で、今後の方向転換が可能なのだろうか?恋愛さえも面倒だという若者層も。推しさえあれば生きていける、専業主夫志望の男性もいるし。
多様性を認めよう、と言いつつも、結局は女性に出産と子育てを強制する世の中は変わりそうにない。
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結論に行き着くまでが長い。しかし、日本が採ってきた少子化対策は欧米をモデルとしたもので、日本人の習慣、考え方に沿ったものではないから失敗したと明確に述べられている点は良かった。
ただ、もう少し明確な解決策を示していただきたかった。
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毎週観てる「マル激 トークオンデマンド」に著者の山田昌弘さんが出演し、この本が紹介されたので興味持って手に取った。
山田さんは「パラサイト・シングル」や「婚活」などの言葉を生み出した社会学者。本のタイトルの通り、日本の少子化対策の失敗を論じている。
読んだ感想として、「なんだ、もう答え出てるじゃん」ということ。
本当にすべてその通りで、データを使ってしっかり論を補強しているので、納得するしかない。
特に秀逸なのが以下2つの考察
・欧米固有の以下4つの価値観を少子化対策の前提にしてしまったことが失敗の要因
①個は成人したら親から独立して生活するという慣習(若者の親からの自立志向)
②仕事は女性の自己実現であるという意識(仕事=自己実現意識)
③恋愛感情を重視する意識(恋愛至上主義)
④子育ては成人したら完了という意識
・日本固有の前提(価値観)
①将来の生活設計に関するリスク回避の意識
②日本人の強い「世間体」意識
③強い子育てプレッシャー(子供への強い愛着)
この欧米固有の価値観と日本の価値観は相反するので、当然欧米固有の価値観に立脚した対策が有効なわけがない。
この日本人の価値観の①は、要するに「甘ったれている(=精神的に子供のまま)」ことが原因だと思う。すでに経済的に没落し始めているのに、自分たちは「中流以上」だと思い込む。日本の没落を証明するデータは山ほどあるのに、それをまともに見ようとしない。子供が都合の悪い、嫌な物を見ない心理と同じ。しかし、これは価値観だけに容易に変えられない。
本の最後で、親の生活水準と若者が将来中流以上の生活を送る見通しのパターンを以下4つにまとめ、少子化対策はこのタイプ②に対して行う必要があると結論付けている。
タイプ① 親:中流以上 子:見通しあり
タイプ② 親:中流以上 子:見通しなし
タイプ③ 親:苦しい 子:見通しあり
タイプ④ 親:苦しい 子:見通しなし
その通りだと思うが、そのための以下2つの方策はどちらも実現性に乏しい。
①結婚して子供を2、3人育てても、親並みの生活水準を維持できるという期待を持たせるようにする
②親並みの生活水準に達することを諦めてもらい、結婚、子育てをする方を優先するようにする
①は不可能。すべての経済指標が示している。日本は今後経済的に落ちていくしかない。つまり、貧しくなる。そんな中で①を実現できるはずがない。
つまり、②しか選択肢がないわけだが、甘ったれた日本人は中流以上に落ちているという現実をいつまで経っても認めないのだろう。
岸田が言ってる「異次元」の少子化対策も、具体案が出てないので論じるに値しないが、この本で述べている従来通りの「欧米固有の価値観」に沿った対策しか出てこないだろう。となると、最後に書かれた「望ましくないシナリオ」に向かって進むしかない。タイプ①とタイプ④の2つに分断される=アメ���カ化である。私は、今の自民党にまともな政策を考える能力があるとは思っていないので、間違いなくその方向に進むと確信している。
最後に、この少子化問題は若者の問題のように語られるが、私は違うと断言したい。この問題は、60〜70歳以上の団塊世代の「老人」や、現役で働いている「団塊ジュニア」世代(私もここに入る)の問題だ。前述の通り「意識」の問題で、その意識を強固に持って手放さない、甘ったれている主体は、若者以外の世代の人間だ。そもそも、日本を経済的に没落させたのがこの世代だ。今の若者はその煽り(影響)を受けているに過ぎない。
日本の人口構成は逆ピラミッドなので、老人ほど人数が多い。よって、政治的な影響力が強い。この甘ったれた世代の意見(意識)が政治に反映されることになる。大半の政治家もその世代だ。しかも、日本は既得権益(≒価値観)を容易に手放さない(手放せない)社会だ。コロナ対策でもそれが証明された。こんな状況で、数年以内に有効な少子化対策など打てるわけがない。
私は、こういう本を読んで、事実を知って、しっかり「絶望」することが大事だと思っている。「今のまま」だと希望はない、と自覚する。そうすれば、変化しようという意識が生まれる。自分たちの「甘え」を自覚して危機感を持つ。そこからスタートするしかない。
正直言って、日本人にそれが出来るとも思っていないが、出来なければ、2流国/3流国に落ちぶれる未来が待っているだけ。むしろ、そこまで落ち切った方が早いのかもしれない・・。
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うーん、そりゃそうなんだけど。対策取る気は国には内容だなあと思う。たぶん、状況を理解する気がないのだろう。
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フランスに住んでいる友人(日本人)に、「今この本読んでるんだよね」と話したら、「え、日本て少子化対策なんかしてたの?」と言われた。
確かに。言われてみれば。
わたしはすぐに、日本が行っている少子化対策をあげることができなかった。
この作品によるとそれは、育休制度であるとか、保育園増やそうとか、そういうことらしい。でもそれって、なんかずれているような気がする。
なぜ日本で結婚・出産が回避され、少子化対策は失敗したのか。
説明していくと、こういうことだ。まとめだけでなく小言が入るので長くなります。
日本は欧米諸国の少子化対策をベースにして少子化対策を行った。
しかし。
欧米の価値観を前提としたまま、日本にあてはめてしまった。結果失敗した。その欧米の価値観とは。
A.子どもは成人したら親元から離れて独立して生活することが当たり前の慣習
B.仕事は女性の自己実現であるという意識
C.恋愛至上主義
D.子育ては成人したら終了という意識
日本にA~Dが当てはまらないのに加え、日本特有の価値観がある。それが以下である。
①「リスク回避」傾向
②「世間体重視」
③子どもへの強い愛着―子どもにつらい思いをさせたくないという強い感情
まず、Aについて。日本人は自立志向が弱い。特に女性の自立は不要と考えている人が親のみならず本人にも多く、18~34歳の未婚女性の約75%が親と同居している。これが「パラサイト・シングル現象」であり、日本の少子化の一因となっている。
では、欧米ではどうか。欧米では、成人したら原則親元を離れる。しかし、収入は日本と同様そんなに高くないので、恋人関係に発展すると同棲するカップルが増える。そのうちに子どもができる。
次にBについて。欧米では、仕事を持って自立することが男女問わず求められる。そして、仕事には自己実現という意味合いも含まれている。子育てをしながら仕事で自己実現をするため、両立支援策が必要となる。
日本ではどうか。日本では、「女性には仕事による経済的自立が求められない」、「仕事で自己実現を得られると思っている女性が少ない」。
でもこうなっているのはたぶん、高度経済成長期に完成した性別役割分業制と、それによる女性の自立志向の低さがベースにある。だから、男女問わず成人式終わったらみんな実家追い出されて、みんな生活のためにゴリゴリに働いてないと、両立支援策には意味がない。全員が「働かざるを得ない社会」じゃないと適さない。
日本では、正社員なら会社への貢献的忠誠―長時間労働―家族を顧みない働き方、が求められる。それができなければキャリアコースからは外れる。そしてもともと女性にそれは求められていなかった。
男性並みの仕事能力がある女性は、キャリアコースから外れると、仕事を継続する気をなくしてしまう。だって誰もそれを評価してくれないし、むしろそれで疎まれることだってあるからだ。男性の多くは、仕事での自立を求められ、かつ妻子を養う必要があるのでそれに従わざるを得ないが、女性にはそれに従わなくてもいい自由がある。というか、なんなら妻子を養っている男はかっこいいし、養われている妻子は幸せ、というWIN-WINの関係が成立してしまうのだ。なんてこったい!
日本は結婚後、夫の収入に依存するのは当然であるという感覚が強い。スウェーデンでは、「結婚後の家計維持は夫の責任か」という質問に対して、大多数の女性がNOと答えるのに対し、日本ではYESと答える人が圧倒的である。なんてこったい!
では、日本の女性がやりがい・自己実現をどのようなところに感じるか。
それは「豊かな消費生活を送る」というものである。日本は、仕事を苦労して続けている女性よりも、仕事をしていなくても豊かな生活をして、子どもをよりよい学校に通わせている女性を評価する社会である。そのため、女性にとって仕事は、豊かな生活や子どもにお金をかけるための「手段」としての意味合いが強い。つまり、豊かな消費生活を送る見通しが立てば、無理に仕事と子育ての両立を目指す必要はない。
そして現在、女性の労働者の半数は非正規雇用である。「総合職と一般職を区分した上で、一般職は女性に限るという慣行」「正規―非正規で処遇が大きく異なるなどの慣行」がなくなる見込みがない以上、一般職や非正規雇用の女性の専業主婦志向は弱まらないだろう。
ここで、①~③を見てみよう。
特に②世間体意識を先に見てみる。
上記のように、「仕事を苦労して続けている女性よりも、仕事をしていなくても豊かな生活をして、子どもをよりよい学校に通わせている女性」が評価され、かつ男性が主な収入源となったWIN-WIN状態は、世間体を保っているとされている。世間体を保つということは、親などの家族、親しい親戚、学校や職場の仲間、友人から、マイナスの評価を受けないことである。
日本人は、結婚から老後まで「世間からみて恥ずかしくない生活」をしなければならないと思っている。結婚したら、子どもを産んだら、子どもを育てたら、子どもが大人になったら、世間からどのように見られるかを常に意識して行動せざるを得ないのだ。その意識はSNSの発達により強まっている傾向にある。
例えば、日本で「同棲」「婚外出生」「事実婚」が欧米のように広まらないのも、世間体が悪いからである。この「世間体」という言葉は英訳が存在しない程、日本人特有の感覚なのである。
現在の日本には、経済的な格差が存在する。正規雇用と非正規雇用の明確な格差。未婚男性の38.6%は年収200万未満であって、貧困と隣り合わせなのである。しかし、人から下に見られたくないという世間体意識が、貧困を表に出させない。結果、政策にも反映がされない。
Cについて。欧米社会では、恋愛感情に基づいて人生のパートナーを情熱的に求めることが人生の一つの目的として追求される。一方、日本で恋愛感情に基づいてパートナーを得るということが人生の目的であると考える人は、欧米に比べて少ない。恋愛を「リスク」と捉える人が増えているのである。
ここで①を見ていく。
①リスク回避の意識
欧米ではリスクをとって新しいことを始めることを評価する文化があり、転職も当然のように行われるため、やり直しがききやすい社会といわれているが、日本は新���一括採用、終身雇用慣習に代表されるように、一度コースを踏み外すと、やり直しがききにくい労働慣行を持つ社会と考えられている。
これは結婚・出産にも当てはまる。日本では離婚は失敗という評価がつきまとう。欧米では離婚や再婚を繰り返しても特に問題とは思われない。離婚は再婚を目指してお互いにとってよりよい相手を見つけるチャンスという意識がある。
「仕事においても家族においてもやり直しがききやすい社会」にするということが最も効果的だが、雇用慣行や人々の意識を変化させることが必要になるので、たいへん困難な課題である。
Dについて。欧米では、子どもを育てること自体に意味がある、子どもを育てることが楽しい、といった価値観が一般的である。一方日本で子育てとは、子どもをよりよく育てる、子どもが社会からどう評価されるか、に対して強い意味づけがなされる。
その結果、子育て責任の年齢に大きな差が出てくる。
欧米では、子どもが成人すれば親の責任は果たしたとみなされるので、親は原則、大学などの高等教育費を工面しない。それゆえ、少子化対策としての経済的支援は未成年の間だけで十分となる。
一方日本では、学歴や職業ランク、娘の場合はどの職業ランクの男性と結婚したかということに価値が置かれる。そして、子どもが成人した後も子を支え続けることが求められるのと同時に、それが親の生きがいにもなっている。これもWIN-WIN!そのため、子どもにお金をかけざるを得ず、子どもの数を絞らざるを得ないのである。
ここで、③を見てみる。
③子どもへの強い愛着
欧米では子どもとコミュニケーションをとることが子どもへの愛情表現という考え方が強い。しかし日本ではなにをもってしても「子どもにつらい思いをさせたくない」が先にくるので、子どもに十分なお金をかけることが親の務めとなる。つまり、日本では父親が単身赴任で地方へ行っていても、その分家庭にお金を入れることは愛情表現の一つとなりえるが、欧米ではそれは愛情表現とはいえないのである。
日本では、親の強い愛情、世間体、リスク回避、これら三者の結合によって少子化がもたらされているので、女性が働きに出やすい欧米型の少子化対策が、全く意味がないことがわかる。
というかこうしてみると、社会の流れの中で女性は働かないことが推奨されてきたのに、急に欧米型の少子化対策が導入されたことによって「女性も働くことが普通」みたいになってきて、日本の女性はよくそれに柔軟に対応してるなって思う。世間体自体は何も変わってないのに。女性って強いね。しなやかだ。男性も「大黒柱」みたいに言われてきて家族を顧みない働き方が美しいとされてきたけど、それ自体を否定する人は多くなってきたように思う。それでいいと思う。でも、格差があることを認めたくないっていうのは、男女問わずみんなそうなんじゃないかな。男女ともにみんな年収200万が普通なんだ!じゃあお互いに手を取り合って一緒に家計を維持していこう!となれば平和的解決なのかもしれない。もう全人類フリーターでよくない?
いよいよ最後のまとめ。
現在の子育て世代の親が「中」の生活を送ってきたことから、現在の子育て世代が、自分がしてきたことと同じことを子どもに提供しなければならないと思っている。だって「子どもにつらい思いをさせたくない」。
現代日本の少子化の根本原因は、経済格差が拡大しているにも関わらず、大多数の日本の若者は中流意識を持ち続け、「世間並みの生活」をし続けたいと思っていることにある。中流の意識だけが残っているのだ。だって自分が下流だって認めたくない!
つまり、親が比較的豊かな生活水準を保っているのに自分が将来築くことができる生活が親の水準に達する見通しがない若者たち、彼らが結婚・出産を避けており、彼らこそが、子どもにつらい思いをさせてしまう可能性にさらされている。この層の増大がマクロ的に言えば、少子化の原因である。
若者の「将来にわたって中流生活から転落する不安」を払拭することができなければ、日本における少子化対策はなかなか効果が上がらない。若者だれもが、育てている子どもにつらい思いをさせなくてすむような見通しをとることができる社会にすべきである。
じゃあどうすればいいのさ。(ToDoリスト)
・結婚して子どもを2~3人育てても、親並みの生活水準(子育て水準を含む)を維持できるという期待を持たせるようにする。(経済状況、階層のあり方を変える)←無理がある
・親並みの生活水準に達することを諦めてもらい、結婚・子育てをする方を優先するようにする。(リスク回避、世間体意識を変える)←日本人にはハードル高すぎ
・仕事においてやり直しがきいて、不利にならない職業環境、共働きがしやすい社会環境、いざとなったときには社会保障で自立に向かっての再スタートが切れる社会。それは、「子どもにつらい思いをさせなくて済む」生活水準でなければならない。←無理がある
つまり、日本に「世間体」と「やり直しがきかない感じ」が蔓延っている以上、どんな対策をしたって無理があるんじゃないのって思っちゃった。ToDoリスト、どれも夢物語のように感じるよ。
本当に長くなりました。最後まで読んでくださりありがとうございましたm(__)m
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勉強になった。個人的な感覚として、日本特有の少子化の原因となる考え方や価値観に共感できないところはあるが、大きな傾向としてはそうなんだろうと理解。だからこそ、「誰の意見を聞いて少子化対策を検討してきたのか」は、重要な振り返りポイントだと理解。
「子育て自体に喜びをみいだす」と、「子供の市場価値によって親としての肯定感をもつ」の違いにはなるほどと思った。
また、中流階級意識が少子化の背景にあるというのも新発見。とくに、親の生活が安定していてそれなりの環境を準備してもらった人が、経済的理由で子供を持つことを躊躇うというのは納得した。でも、この変化の激しい時代に、先の見えない不透明感や不安だけみているよりも、楽しんで乗り越えるマインドを持った方が良いと思うのだが、、
人から下に見られたくない、というプライドというのはわからんでもないけど、これは日本人特有なのか?マウントとる、とかいうのも日本特有?このあたりは謎が残った。
バックデータも豊富で、読みやすく勉強になる本だった。
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答えは、成功例のある欧州をただ真似ただけで
あるので、文化も習慣も異なる日本では全く、
馴染まなかったからです。
少子化=婚姻数の減少です。そして結婚する人
が減っているのは男女のお付き合い数が減って
いるからです。
しかし出会いが少ないわけでは無いです。婚活
という言葉があるように、紹介サイトなどは活
況だそうです。
しかし結婚までには至らないのも事実です。な
ぜでしょうか。
スバリ条件が合わないからと著者は言います。
特に女性が男性に求める収入面が大きいそう
です。
そうだろうなあ。
もちろんそれだけが理由ではないですが、恐
ろしいことに女性は「お付き合い」の段階で
収入が低い人と結婚すると、家庭生活が厳し
くなり、果ては老後の侘しさまでの未来図を
「見て」しまうとか。
「先の読めない時代」なんて事あるごとに皆
口にしますが、コト結婚に関しては「読める」
らしいです。
いや、嫌味で言っていないですよ。
やはり大卒までの教育費を無償化にしない限
り出生率は改善しないと思います。
あ、それでも老後は改善しないかな。だから
こそ子育てが終わった熟年離婚が今増えてい
るのかもしれないです。
冗談抜きで、皆が当事者意識を持って考える
必要を訴えかけている一冊です。
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「意識は中流、でも現実には貧困と隣り合わせ」日本の若者は自然に恋愛しないし、結婚しないし、子供も産まない。全てのフェーズで支援が必要
●感想
文化的に、社会的に、豊かになったがゆえに、生きるために必要なお金が増えてしまった。親と子どもの関係性も、仕事上のつながりや、居住を共にすることはなくなったから、子どもを持つ具体的な意味も無くなってしまった。
社会的に精神が成熟してしまった以上、それを実現するためのお金が必要なのだが、、、若者の所得は減るばかりだ。当たり前に子育てをするために、かかるお金が、こんなにも増えてしまったとはなぁ。日本人の精神性と社会文化に根差した、政策的支援が必要となってくる。
●本書を読みながら気になった記述・コト
■「『親が比較的豊かな生活水準を保っている』のに『自分が書来築くことができる生活は、親の水準に達する見通しがない』若者たち。なぜなら、彼らこそが、『子どもにつらい思いをさせてしまう可能性に晒されているからである』」
■少子化対策が空回りした直接的要因は、第2章、第2節で述べたように、①未婚化を問題にしてこなかったこと。そして、経済的問題を軽視したこと
■「日本社会全体の出生率というマクロな数字を動かすのは、『大卒かつ大都市居住者かつ大企業正社員か公務員』というキャリア女性ではない。『大卒でなかったり、地方在住だったり、中小企業勤務や非正規雇用者』の女性」
■「日本では、子の自立志向は弱く、特に女性(娘)の自立は不要との意識が、親の方にも本人にも強い。自立が不要どころではなく、結婚前の未婚女性が親元から離れて暮らすことは、良くないことと考える人もまだ多い」
■「南欧を覗く欧米先進国では、成人すれば、親元を離れることが原則である。男性だけでなく、女性にも経済的に自立することが求められる。」
■「欧米型の支援では、日本の少子化問題は解決しない。日本と欧米とでは、恋愛や結婚に関する考え方、とらえ方が大きく異なっているからだ」
■「夫の収入が高い場合、夫の方から離婚するためには多額の慰謝料を妻に支払う必要がある」
■「日本は、仕事を苦労して続けている女性よりも、仕事をしなくても豊かな生活をして、子どもをよい学校に通わせている女性を評価する社会でもあるからである」
■近代社会になって、子どもは労働力としての意味を持たなくなった。核家族が前提となって、老後の扶養や世話を期待することが難しくなった
■「婚活」というワードを生み出したのは著者である山田氏
■「収入が少ない男性は結婚しづらい」という説が差別的だとして、メディアではほとんど取り上げることができない時期もあった
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少子化対策の担当者でもないのに、こんな本読んでどうするつもりだ、私?と思いつつ、サブタイトルにも惹かれて読みました。読んで気づいたけど、著者の山田昌弘氏は「パラサイトシングル」という言葉を創った人で、私はまさに20年近く前にその言葉に触れて、「これって私のことだわ」と思って焦って婚活し(笑)、今は氏が「失敗した」と言っている少子化対策に多少なりとも影響を受けつつ子育てしている。つまり、氏の研究対象である団塊ジュニアを代表する「地方在住の中流階級」ってところだ。
この本の分析によると、日本の少子化対策はそもそも、都市部に住んでいて経済的に安定しているカップルのことしか想定していない。非正規雇用で、結婚・出産すれば生活を維持していくのが難しい若者にとって、今のような政策は意味がない。
私もいつも、日本の官僚や政治家は想像力に欠けている、というかほとんど想像力がないと思っている。っていうか、想像しようとすらしていない。自分たちのような階級の人のことしか知らないし知ろうともしない。GO TOキャンペーンにしたって、旅行に行こうなんて思えないぎりぎりの生活の人のことなんてこれっぽっちも考えていないことがわかる政策だった。(あれって政策と言っていいのかな?)
これまでの政策の間違いや、間違っていたということを裏付けるデータなど、とても興味深かった。(自分のことともかぶるし)。で、興味深いなぁ、面白いなぁで終わってしまうのは新書としてはダメで、解決策というか提言みたいなのがあればいいんだけど、本書では最終章で、「日本で、有効な少子化対策はできるのか」ということで、2つ方策をまとめている。
①結婚して子どもを2、3人育てても、親並みの生活水準を維持できるという期待を持たせるようにする。
②親並みの生活水準に達することを諦めてもらい、結婚、子育てをする方を優先するようにする(日本人の意識改革)。
というもので、どちらも「簡単にいくものではない」としている。
①については、私の身近では、近隣の市が競い合うようにして子育て支援策を充実させてきているので、子育てにあまりお金がかからなくなってきており、もともとどちらかが定職についているカップルにとって、子どもを1人育てるなら、2人でも3人でも何とかなりそう…という動機付けにはなっている気がする。でも、そもそも定職に就けず、結婚もしづらい若者にとって有効な政策は何も行われていないと思う。
②については、今の世の中、かつてのようにみんなが皆トウキョウに行きたい、都市に住みたいとは思わないし、都市でかっこいい職業に就いて高給もらうのがステイタスではなくなり、お金のかからない田舎暮らしやオタク文化に価値を見出す人もいて、価値観が多様化しているので、けっこうアリかな、と思う。
でも日本の政策担当者はアタマが硬いので、あらゆる価値観を認めて柔軟な少子化対策を執り行うのは無理だろうな!
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少子化を若者の晩婚化が原因と考えていたから。(独身を謳歌したいため、結婚する時期が遅くなっただけで、晩婚化が進むと子供を産む数も減るため)、しかし現状は非正規雇用拡大による経済的な理由による未婚率の上昇が原因であった。
驚いたのは出生率1.57ショックが起きた2000年代から少子化対策は行われていたということ、ずっと少子化対策しているけど効果がいまいちなのではないか
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日本の少子化問題の現状認識において一番妥当性のある本だと思われる。
2022年8月13日
「今更」、著者である山田昌弘氏の見解が炎上しているらしい。
氏の見解が書かれたPDFが財務省のHPにある。
https://www.mof.go.jp/pri/research/conference/fy2020/jinkou202010.pdf
氏からすれば、ユリウスカエサルが言ったように「人は見たいものしか見ない」のであり、氏が扱う社会学の精神は 「現実をありのままにみることをその生業とする」し、「偏見や常識を脇に置いて現実を見る」事にある。
そして、社会学は「人間が見たくもないと思っている 社会の側面を見せてしまう学問」である。
「学者は、世間の人から嫌われる存在である 」
つまり、この状況は氏が望んだ状況であり、まさに学者冥利に尽きるのではなかろうか。戦後有数の大学者だった小室直樹には無数の不肖の弟子がいたが、弟子筋でない山田昌弘氏が最も小室直樹に近づいているのは皮肉を感じざるを得ない。
私は陰から氏を応援している。
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正に自分自身も教育費用が準備できるか、小さいうちは良くても中高生になった時の生活費と月並みのレジャー費を捻出できるかという点で、2人目は欲しいが二の足を踏んでいる。リスク回避思考が強いとはいえ、「なんとかなるよね〜」とは思えない日本。一般市民がお互いを監視している空気感があるから、過剰に人の目を気にする風潮なくなってほしい。