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商品説明
母は、わたしの恥部だった――
申し分のない夫・聖司と結婚し、〈ふつう〉の幸せになじもうとするも、にわかに体と心は夫を拒み、性の繋がりも歪になっていく――密かに声を殺して生きた子ども時代の〈傷〉に気づくとき、台湾の祖母、叔母、そして異国に渡った母の一生が心を揺らす。
夫と妻、親と子それぞれの〈過ち〉を見つめる心温まる長編小説【商品解説】
著者紹介
温又柔
- 略歴
- 〈温又柔〉1980年台湾生まれ。「台湾生まれ日本語育ち」で日本エッセイスト・クラブ賞受賞。ほかの著書に「「国語」から旅立って」「空港時光」など。
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電子書籍
そうなのね
2022/12/06 20:12
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
台湾人の母と日本人の父の間に生まれた主人公。実は、友人の一人がこの立場です。だから、彼女のこと思いながら読み進めました。そして、この主人公と同様、私の友達も日本人の夫と結婚しているので……。なんとも……深いです。
紙の本
音が聞こえる文章から、多文化・多言語を考える
2020/11/27 10:39
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:amisha - この投稿者のレビュー一覧を見る
学生時代から四半世紀、殆ど小説を読まずにいた。かなりのブランクを経て、私小説を立て続けに読むと、時代が変わっていることに気づく。それでも、変わらないもの。ライフイベントと横文字で書くと軽薄になるが、生まれたり、死んだり、番ったり、離れたりということは、人それぞれでありながら、生きていればそれなりに訪れる。
彼女の書き振りが面白いのは、自身のルーツと親の話す言語を文字でありながら、音声化しているところ。微妙な響きが文字なのに伝わってくるところ。リズムとか韻とか言葉の上げ下げとか、語気とか。言葉の息遣いが聞こえる文学という点では、日本語は抑揚に乏しいずんべらぼんな言葉なんだと、改めて感じさせられた。
紙の本
ふつう、って何だろう?
2020/10/26 17:05
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:遊糸 - この投稿者のレビュー一覧を見る
桃嘉は
日本人の父、深山茂吉と
台湾出身の母、雪穂(秀雪)の娘である。
母は日本語をあまり上手に扱えない。
タイトルにある魯肉飯(ロバプン)を
桃嘉の夫は、二口食べたところで箸を置く。
「こういうの日本人の口には合わないよ」
自分が当たり前だと思うことは
誰でもが当たり前だと思うことと
まったく疑う様子もない。
こうした偏狭さと傲慢さに、
本人はもちろん気づくことはない。
恋人の実家への初訪問にもかかわらず
魯肉飯を三杯もお代わりするような
茂吉のような日本人もいるとは
夢にも思わないのだろう。
物語は
第一章は、桃嘉の視点で始まり
次の章で、母の雪穂の視点に移り、母の結婚が描かれる。
こうして娘と母の物語は交互に綾なしていく。
桃嘉の夫はハンサムボーイで浮気している。
姑、舅、小姑の人物造形は月並みで
よくあるドラマのようなエピソードが描かれていく。
しかし、それだけに終始するような陳腐な小説ではない。
日本で生まれ育った娘も、
小学四年生のときの授業参観の帰り道、
母に向かって言ってしまうのだった。
「ーーなんでママはふつうじゃないの? せめて外にいるときは
ふつうのお母さんのふりをしてよ!」
台湾人の母を持つ娘。
娘はネイティヴの日本語話者だが
母の日本語は上達していない。
母娘のコミュニケイションは途切れがちになり
何かとギクシャクする。
ある日、思いあまった雪穂は台湾の実家に電話するが
雪穂の母はいう
「ことばがつうじるからって、なにもわかりあえるわけじゃないのよ。
あなたとあたしだって、そうじゃないの?」
そして母は秀雪(雪穂)に、さらに言い聞かせるのだ。
「……(あえて伏せる)……」
実のところ、そこで起こっている事象は
その状況の特殊さには、さほど依存していないのではないか。
それぞれのエピソードを際立たせてはいるが
これはどこでも、誰にでも起こりうる
普遍的な問題ではないか、と気づかされる。
老若男女にかかわらず、人種も国籍も関係ない。
とはいえ、
台湾と日本の歴史的関係を知らない方には
是非とも読んでほしい一冊でもある。
さて、人はどうしたら幸せになれるのか。
桃嘉は、自分の幸せを見いだせるのだろうか。
紙の本
食べ物と言葉と
2020/10/23 04:39
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:はるべ - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルにある「魯肉飯」と「さえずり」が示すように、食べ物と言葉に物語の重要なメッセージが含意されているようです。台湾人の母と日本人の父の間に生まれ、日本人の夫と結婚している主人公の感じている息苦しさ。母の作る料理や台湾語と中国語と日本語の混じり合った母の言葉。そうしたものをめぐる葛藤が印象深いです。殊に、魯肉飯に対して「日本人はこういうのは好きじゃない」と言ってしまう「夫」と三杯もおかわりした「父」という対照性や、娘が肉燥のおにぎりが食べられず梅のおにぎり欲していることに悲しみ動揺する「母」、といった食べ物をめぐるエピソードによって語られるゆらぐ自身の根源と、やがてそのゆらぎ受け止めていく様子が胸に迫ります。
紙の本
じわりと心に響くさえずり
2022/05/01 15:48
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ろろろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
普通って何だ、日本人が他の国の人より優位に思ってるのは何だ、結婚したら女の方が下に属してるような感覚って何だ、など、ジェンダー感、多様性などに気付かされる。食文化を否定されることってジワジワ傷を深くしてしまうんだと感じた。知らなかったこと、気づかずに生きてきたこと、恥ずかしく思った。
娘に時につらくあたられる時も、気持ちが通じ優しく穏やかな心の時も母の深い愛がこんこんと流れる川のようで、どこを切り取っても美しい。
父の優しさも最高!
紙の本
台湾のさえずりが心地よい
2021/01/07 16:57
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
皆が羨むハンサムな理想的な旦那様と結婚した桃嘉。
幸せになれると信じていた結婚生活は頭痛に悩ませられ我慢する日々。
1章は桃嘉の結婚生活で始まり、なんとも読んでいて辛い。
2章は日本人のご主人と結婚した母雪穂が日本で桃嘉を育てる。日本語を話せない母に苛立つ娘。
ここまでは辛い話が続くが、後半は読んでいて楽しく、幸せな気持ちになれる。
台湾で過ごす母娘の幸せでのびのびしている姿が気持ち良い。そして母の味を美味しい 美味しいといっぱい食べる兄妹たち、みんな家族を大切に思い、幸せだと感じている。
比べて日本の忙しなく、心から楽しめない表面的に結びついているような家族達。
「ことばがつうじるからって、なにもかもわかりあえるわけじゃない」
そんな心で通じ合える関係が築けたらいい。