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紙の本
「民都」大阪対「帝都」東京 思想としての関西私鉄 (講談社学術文庫)
著者 原武史 (著)
【サントリー学芸賞(社会・風俗部門)(第20回)】東京をも凌駕した、「民衆の都」大阪。だが、大正から昭和への転換、昭和天皇行幸を機に、大阪の街は次第に「帝都」へと変質して...
「民都」大阪対「帝都」東京 思想としての関西私鉄 (講談社学術文庫)
「民都」大阪対「帝都」東京 思想としての関西私鉄
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商品説明
【サントリー学芸賞(社会・風俗部門)(第20回)】東京をも凌駕した、「民衆の都」大阪。だが、大正から昭和への転換、昭和天皇行幸を機に、大阪の街は次第に「帝都」へと変質してゆく…。鉄道と天皇という視座から日本近代の思想史的断面を描く。【「TRC MARC」の商品解説】
〈「鉄道」と「天皇」で描く日本近代〉
阪急創業者・小林一三は、「政治中心」の東京に対して、大阪を「民衆の大都会」と呼んだ。
ターミナル・デパート、高級住宅地……国鉄に対抗し「官」からの独立を志向する関西私鉄は、沿線に市民文化を花開かせ、「民衆の都」大阪は東京を凌駕する発展を見せた。
だが、大正から昭和への転換、昭和天皇行幸を機に、街は次第に「帝都」へと変質してゆく―
権力の装置=「国鉄」と関西私鉄との葛藤を通し、「都市の自由」の可能性とその挫折を描く、原武史の代表作。
第20回(1998年) サントリー学芸賞(社会・風俗部門)受賞。
【解説(鹿島茂)より】
「横軸としての鉄道に、縦軸としての天皇が交差することによって、思考の座標軸が形成され、二つのパラメーターが思考の軌跡をさまざまに描き出す」
【本書の内容】
はじめに―昭和大礼の光景
第一章 私鉄という文化装置
「帝国」と「王国」
『細雪』から
関東私鉄と関西私鉄
第二章 「私鉄王国」の黎明
第五回内国勧業博覧会
法の抜け穴
二つの風土
第三章 「阪急文化圏」の成立
往来ふ汽車を下に見て―小林一三という人物
民衆の都
沿線文化の確立
反官思想の結実―阪急デパート
第四章 昭和天皇の登場
「大大阪」の誕生
昭和大礼と都市空間の変容
官民協力奮励セヨ―一九二九年の行幸
第五章 阪急クロス問題
「官」の巻き返し
逆風
小林一三、社長を辞任す
第六章 「帝都」としての大阪
大阪市民たるもの
天皇のまなざし
一生一代の御奉公
おわりに―「紀元二千六百年」の光景
解説=鹿島茂
※本書の原本は1998年に講談社選書メチエより刊行されました。【商品解説】
著者紹介
原武史
- 略歴
- 1962年,東京都生まれ。放送大学教授,明治学院大学名誉教授。早稲田大学政治経済学部卒業,東京大学大学院博士課程中退。専攻は日本政治思想史。著書に『〈出雲〉という思想』『皇后考』『大正天皇』『可視化された帝国』『皇居前広場』『滝山コミューン一九七四』『昭和天皇』『知の訓練』『「昭和天皇実録」を読む』『〈女帝〉の日本史』ほか多数。
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紙の本
鉄道と天皇という視座から日本近代の思想史的断面を描いた原武史氏の代表作です!
2021/02/08 09:36
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、日本政治思想史を専門に研究され、『〈出雲〉という思想』、『皇后考』、『大正天皇』、『可視化された帝国』、『皇居前広場』、『滝山コミューン1974』、『昭和天皇』、『知の訓練』、『「昭和天皇実録」を読む』、『〈女帝〉の日本史』などの著作を発表されてきた原武史氏の作品です。同書の中で、筆者は「ターミナルデパート、高級住宅地など、国鉄に対抗し<官>からの独立を志向する関西私鉄は、沿線に市民文化を花開かせ、<民衆の都>大阪は東京をも凌駕した。だが、大正から昭和への転換、昭和天皇行幸を機に、大阪の街は次第に<帝都>へと変質してゆく」と述べられています。同書は、鉄道と天皇という視座から日本近代の思想史的断面を描いた原氏の代表作です。
紙の本
関西私鉄の文化的研究
2022/09/25 13:58
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぽんぽん - この投稿者のレビュー一覧を見る
阪急の大阪梅田駅の威容は国鉄に依存したネットワークの関東私鉄とは異なり独立独歩の関西私鉄を象徴すると云われる。それを小林一三翁の率いた阪急をメインに歴史的側面から解き明かす著作。ここらへんは源流が鉄道か軌道か等切り口により分析は様々であろうし、都市構造の違いに起因するところも多いとも言われる。ただ本書冒頭で鉄道は「文明や進歩の中心である東京から」「のび」「別の開かれた世界とつながっている」と分析する。いま地方がローカル線廃止に抵抗する根拠だと思う。この冒頭の鉄道文化論は非常に興味深い。まずまずの一冊。