電子書籍
食事だけでなく会話をしたくなりました。
2022/03/03 14:49
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投稿者:ましまろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
コロナ禍の初期混乱を乗り越えた人たち。
今振り返れば「第6波もきて、未だ収束していない」と分かりますが、当時は先が分からない。どんな思いで過ごされたのかを知り、意外と違いがあることに驚きました。
こちらに掲載されているのは、“生き残った”お店です。
そうではないお店も多くあることも意識したいです。
巻末に時系列の年表があるのも良かったです。
紙の本
「推し」たくなるシェフの熱意。
2021/12/24 23:45
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投稿者:tapiko96 - この投稿者のレビュー一覧を見る
実は、この本を読む前に、『東京ディストピア日記』(桜庭一樹)、『パンデミック日記』(「新潮」編集部編)、『ふつうでない時をふつうに生きる』(岸本葉子)といった、いわゆる「コロナ禍をどう過ごしたか」が書かれている本を読んでいた。
作家やアーティストが記した本は今後も増えていくだろうと思う(つい最近『あのころなにしてた?』(綿矢りさ)も発見)。文字通り「緊急事態」だったのだから。
そういった本を読んでいて、ふと、飲食業界はどうだったのだろう…と思った。休業、時短営業、テイクアウトに切り替える…当事者にしか分からない、壮絶な闘いがあったことだろう。
そしてこの本『シェフたちのコロナ禍』に出会った。食と酒に関するテーマを扱う著者によるウェブサイトの記事を、その後の取材や事実関係の補足なども加えて書籍化したものである。
コロナ禍になる以前、ワイン通の友人に連れていってもらった店の「女将」も登場していて、もう一度お店を訪れたような懐かしさも感じた。
そして、シェフたちの言葉に、はっとさせられた。
焼鳥『鳥福』の村山さんの言葉(p95)
〈「あのお店の、あの味」って大抵はささやかで名もないけれど、それぞれにとって人生の思い出そのものにもなる。部活の帰りに先生が連れて行ってくれたラーメン屋の味とか。そういう街の食文化が消えるのは、街のためにもよくないこと〉
コロナ禍は、人々から「食の文化」も奪っていこうとしているのだ!
また新たな変異株も出現して、予断を許さない状況が続いている。
美味しいものを食べて、元気になりたい。ただ、それだけのことがいつ普通になるのだろうか…という複雑な思いもある。
でも、この本を読んで、ピンチをチャンスに変える!というシェフたちの熱意に心を打たれた。
この際だからというので、今までやってみたかったことに取り組んだという人が多い。寿司に合うワインを探しはじめたという寿司屋の店主も、東大の大学院に合格したというシェフもいる。
食通、ワイン通の友人にこの本を読んでもらって「このシェフが作る、こんな料理が食べたいね!」なんて話してみたい。
「苦しい時こそ人を大事にしたい」という、『銀座・器楽亭』の浅倉さん。
スタッフの生活も守っていかなければならないという課題がある。
この本を読んでから、この本の元となった著者のウェブサイトを閲覧してみた。
シェフたちの顔やお店の様子が分かって、さらに応援したくなりました。
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【お店を守り、スタッフを守る――】2020年春、そして2度目の緊急事態宣言を前にシェフたちは何を思い、どう動いたのか。コロナ禍での葛藤と未来への希望を描く。
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2020年2月まで連日満席だった。3月25日小池都知事からの「不要不急」の呼びかけから予約は全てキャンセル。何の補償もされないまま飲食店は先の見えない苦境に立たされる。休業か時短か、テイクアウトや新事業を始めるか、それとも何も変えないか。本書に登場する飲食店はジャンルは様々。立地も客層も様々で老舗であったり新規店もある。正解のない中で苦しみながらも共通していたのは、お客様にどう喜んでもらえるか。従業員の不安をどう取り除くか。そして自分の進むべき道の展望。34店のオーナーたちがとった行動から、お客が絶えない店はいかに経営者のリーダーシップにあるかを痛感した。
自分の身の回りにもある、べらぼうに美味しいお店たち。可能ならば最低でも月に一度は足を向けたい。美味しいから、それにずっと居てほしいから。恥ずかしながら予算に限りはあるし何もできないのだけど、そういえば彼らから見える強いプロ魂も惹かれる理由のひとつだなと思い当たる。
インタビュアーの井川直子さんだからシェフたちはここまで心を打ち明けたんだなと思えるくらい、赤裸々な心の動きをまとめた本。昨年から、出来立てホヤホヤの今だからという本が次々と出版されている。揺れ動く価値観と不安の世界で「信念」というとても大切なことが詰まった一冊だった。
インタビュー対象者:
「TACUBO」田窪大祐
「リ・カーリカ」堤亮輔
「シンシア」石井真介
「ロッツォシチリア」阿部努
「酒井商会」酒井英彰
「ビストロシンバ」菊地佑自
「コート・ドール」斉須政雄
「麦酒屋 るぷりん」西塚晃久
「鳥福」村山 茂
「イタリア料理 樋渡」原 耕平
「マンナ」原 優子
「焼鳥今井」今井充史
「オステリア・ナカムラ」中村直行
「ジョンティ」富田裕之
「ル・ブルギニオン」菊地美升
「オトナノイザカヤ中戸川」中戸川 弾
「オストゥ」宮根正人
「高太郎」林 高太郎
「ピッツェリア イル・タンブレッロ」大坪善久
「ラ メゾン ド 一升vin」岩倉久恵
「琉球チャイニーズ TAMA」玉代勢文廣
「クインディ」塩原弘太
「七草」前沢リカ
「パッソ ア パッソ」有馬邦明
「オード」生井祐介
「すし 㐂邑」木村康司
「荒木町 きんつぎ」佐藤正規
「眠庵」柳澤 宙
「ヴォーロ・コズィ」西口大輔
「葡呑」中湊 茂
「オルランド」小串貴昌
「レフェルヴェソンス」生江史伸
「 ワイン スタンド ワルツ」大山恭弘
「銀座・器楽亭」浅倉鼓太郎
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前に読んだ作品(シェフを続けるということ)がよかったことと扱われているテーマに強い関心を持ったので手に取ってみた。タイトルどおり34人のシェフ達へのインタビュー集で、飲食店に対し「要請」が出た昨年の四月時点に聞き取った内容を逐次noteで公開したものに対して昨年の十月時点でフォローインタビューを行ったものを追加し単行本にまとめたもの。逐次noteで公開したのは当時「何が正解か分からない」という声が多かったために「他所はこうやってるよ」と知らせたかった意図によるものらしい。私には縁のない高級店ばかりだったが一流の仕事人達がどのように事態を受け止め対処を検討し実行したか、に非常に興味があった。もちろん対応が一律ということはなく、即休業に踏み切った人、テイクアウトに切り替えた人、縮退ながら営業を継続した人、先をちょっと減らしたくらいでマスク含め対策を殆ど取らなかった人、と大雑把に分類できる。ほぼ全ての店が予約困難店であり連日満席、という状態からで補助金や融資をどう受けたかなども包み隠さず話す人も多くいて作者との信頼関係が窺えた。いっきに350人分のキャンセルが出た話が一番きつそうだったが他のお店も満席から一転、ポツポツとしか客が入らない状態になってしまっているのだが全員経営者として冷静に判断し対処しているところが素晴らしい。国の援助も見えない時期だけど恨言を言う人は皆無でもらえたら嬉しいけど何も援助がない前提でどうするか、という話ばかり。もちろん外向きでほんとは喚き散らしたりした人もいるのでは…とも思うけど前向きなパワーが素晴らしく不覚にも泣きそうになったほど。今年に入って更に厳しい禁酒法などにもどう対処したのか更なる続編を読んでみたい。安易に言っては申し訳ないけど読めば確実に元気になる気がする。何軒か行ってはみたいけどちょっと自分には敷居高いかな…。それにしても「自分たちが完璧に対応しても全く対策せず前日に密な状態で飲み食いしてたような客が来たらそこまでは対応できない」という理由で休業に転じた店主の言葉は重い。同じような理由で一見さんお断り状態に仕方なくしたお店を知っているが自分だけ儲けたらいい、自分だけ楽しければいい、という人が残念ながら散見される現実に改めて複雑な思いを持った。おすすめです。
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読了。すごく読みがいのある本だった。新型コロナ第一波くらいの時期のシェフ達の葛藤が記録されている。経営者として、料理人として、接客業従事者として、市民としてのそれぞれ迷いと判断と想い。
修行とか取引の関係でイタリア在住の人とやり取りがあるシェフがけっこういて、そういう人はいち早く事態の深刻さを肌で感じ取っている感じがした。
休業の判断もあれば、いつも通りお客さんを迎える場所でありたいという判断もあり、方針の変更もあり、どれもぎりぎりだよなそうだよなという感じ。
テイクアウトを導入したシェフは、おせちの経験が生きたという内容のことを言っていて、なるほどなあと思った。衛生管理とか法律とかあるものね。
店員がマスクをしていると気持ちが滅入るだろうから…というのは、私にはない感覚だったので少し不思議だった。でも去年のGWくらいだと、マスクでは感染は防げないという話になっていたと思うので、これもこれで責められる話ではない。人によっては拒絶されたと感じるかもしれなかったし、当時は。
変革の時だと考え、サステナブルな薪火に立ち戻ったシェフの話も面白かった。「料理を作る火の仕入れ元が電力会社やガス会社」という視点は私には全くないものだった。今は森林管理をしている方からミズナラの薪を調達しているのですって。森を守る手助けになるらしい。こういうのは良いですね。
昭和7年からの焼き鳥屋さんが、第二次世界大戦やオイルショック、バブル崩壊を引き合いに出して『「またきたな」という感覚』と語っていたのはとにかく老舗の凄みを感じた。これが一番印象に残っている。しびれた。
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今、このコロナ禍真っ只中を自分も生きる中で、その人気だけでなく哲学も併せ持つシェフたちが何を考え、どう行動したかの記録はとても読み応えのある、自分の行動についても考えさせられる1冊だった。
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<目次>
はじめに
第1章東京緊急事態宣言
第2章夜は20時まで、お酒は19時まで
第3章出口が見えないなかで
第4章なんでもやってみる
第5章これまでは、気づかなかった
第6章惑わされない
第7章その後の世界はどうなっている?
おわりに
webサイトに連載していた文章のまとめ本
シェフ34人
お店の紹介本としては、いいかもですが
2021/5月に出版するものではないかと。
なぜなら、環境や状況は変化して、もう内容は古く
なってしまっているから。
せっかくならば昨年のうちに出版しればよかったのに。
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常連で予約取れない店ばかりだそうで、コロナ落ち着いても多分一生行けないような気がする。都内の一等地でご近所さんに限りって言われてもなあ。関内の小さい飲み屋の貼り紙に「政府が頼りにならないから休業するしかない」って、そんな店のがずっと多いんだろうなあ。政治家ってなんのためにいるの?
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「自粛って、人の良心に訴えて、命令ではないから誰も責任とらない。」この本のシェフたちは強い。でもこの飲食業の元々いつ潰れてもおかしくない、みたいなところが、政府に期待しない、自粛にもそれぞれただ耐える、という行動に繋がったのかな。たくさんのインタビュー読んでそう思った。神泉のオルランドは飲食の売り上げは半分以上落ちたがテイクアウト売上と補助金、融資で耐える。感染拡大防止協力金50万円、業務転換支援(テイクアウト)は経費80%で75万円、持続化給付金200万円。融資は突発的災害と危機関連信用収縮への対応で3年間無利子という良い条件なので借りれるだけ借りる。シェフも大変だけど補償って大変だなとしみじみ思った。
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シェフとしてできる人は人間としてもできる人なんだなぁとしみじみ思った。前向きだし、粘り強いし、努力するし、アイデア豊富だし。
今、少しコロナが落ち着いて、私自身もとても元気が出てきたし、行動力も戻ってきたけど、もっとおとなしく引きこもって、それなりに楽しんではいたけど不安だった時に、この本を読んだら、それはそれで勇気がもらえたかもしれない。
「道なき道をゆく」覚悟がこのシェフたちだけではなく、これからを生きる私(たち)に必要なものなのかもしれない。
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2020年3月、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの宣言を受け、日本でもコロナ禍が顕著になっていった。東京で「不要不急の外出自粛」の要請がなされたのが3月25日のこと。外出をやめよう、会食をやめよう、となったときに、大きな打撃を受けたのが飲食店だった。
さて、どうするか。
その判断は個々の店で異なった。自主休業するのか、客が激減している中で営業するのか、テイクアウトやデリバリーなどの別の道を探るのか。
本書は、「食」と「酒」にまつわる人をテーマとするライターである著者が、34人のシェフたちに取材した記録。緊急事態宣言が出た後、4~5月に店主たちの声を聞き歩き、20年10月に再取材してその後の様子を聞いた。
「正解」のない未曽有の危機の中で、それぞれが出した「その時の回答」である。
料理のジャンルや店の規模・歴史などはさまざまである。チェーン店等は含まれない。腕一本でやってきた店主が多く、個性があり、一家言ある、そんな印象である。
20年3月の空気を変えた1つの大きな要因は、東京の自粛要請とともに、有名コメディアンの死だっただろう。それまでは危ないといいつつもどこか呑気な雰囲気だったのが、大きく変わった。
伝わってくる海外の様子から、「いずれ日本も大変なことになる」といち早く察して警戒していた店もあれば、3月中は普段と変わらず予約でいっぱい、フル回転という店もあった。
3月の時点では、多くの飲食店で、店員側がマスクをすることに否定的ですらあった。接客をする側がマスクなどしていたら外食の雰囲気がぶち壊しだというのだ。わずかな間に大きく変わったものである。
7都府県に緊急事態宣言が出たのが4月7日のこと。
そこからは休業に決めた店が多い。何せ自粛警察と呼ばれる人々まで出現していた頃だ。休業しない店には嫌がらせもあった。だが、休業を決めた店主たちにそうさせたのは、客や従業員から感染者を出したくないという思いが大きかった。
しかし、休業に対して給付金が出ることは決まったものの、手続きは煩雑で給付までに時間もかかる。金策に駆け回った店主も多い。従業員がいれば、彼らの生活も支えなければならない。
一方、営業を続けた店もある。東京都から飲食店に対して出ていたのは、休業要請ではなく短縮要請だった。その枠内でやる、何もやましいことはない。営業を続けるということは、店の存続もさることながら、仕入先の売り上げを確保することでもある。自分の店だけが何とかなればよいわけではない。食材を供給する生産者が倒れてしまえば、店もまた続けられなくなるのだ。
テイクアウトやデリバリーを始めた店もある。
しかし、その場で提供するのではなく、店の手を離れてからの時間が長いこうした形態は、また違うノウハウを要する。ひとたび食中毒を起こしてしまえば取り返しがつかない。おいそれと転換できるものではないのだ。
店主たちは危機に奮闘する。
もちろん、非常にストレスを受け、落ち込む人もいる。いつまで続くかもわからない。そもそも、今までのような形の飲食店が再開できるかもわからない。
一方で、非日常や空いた時間をプラスに考える人もいる。ゆっくり本を読む時間ができた。忙しすぎる店でてんてこ舞いするのではなく、少ない客とじっくり向き合い、新たな料理に挑むチャンスと捉える人もいる。
自らの店のことだけでなく、業界全体の向上に動き出すものもいる。
給付金の支給は遅い。飲食店が悪のように叩かれる。
こんなことでは外食文化は廃れる。
若手の料理人たちを助けなければと立ち上がるシェフたちもいる。
店主たちは基本的に経営者である。道を切り開き、店を構え、維持する。従業員に支払う給与も確保しなければならない。
同時に、彼らは料理人でもある。人に料理を出す仕事の根本にあるのは、人においしい料理を食べてもらいたいという気持ちである。高級素材を使った味わいを追求したいのか、和気藹々とした店を作りたいのか、日常のちょっと延長線の親しみやすい味を目指すのか。どういう料理・店を提供したいのか、それは各々の生き方に直結する。
34店すべてがこの先も生き残るのかはわからない。
その厳しさもにじませながら、2020年の激動の半年をシェフたちの証言から振り返る、貴重な記録である。
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コロナが落ち着いた今読むと、どのシェフの対策もそれぞれが正解なのではと思えます。
読んでいて、他のシェフとタイプが違うな、と感じたのは「マンナ」の原さんと、「眠庵」の柳澤さん。
柳澤さんに至っては前職が化粧品会社の研究員だったせいか、飲食の話より日本のクラスター対策やワクチンの話が多い感じでした。それがまた面白かった。
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金に糸目をつけなければ美味い店はいくらでもあるのだろうが、普通の会社員が自腹を切って、たまにはいいよね、くらいの気分で妻と楽しみに行けるような店というのは実はそうはない。ぼくらがここ10年で見つけたのは数軒で、そういう店には年に数回くらいのペースで通うようになった。その頻度なのでお得意さんと認識されているとは思えないが、ぼくらからしてみれば貴重な店だ。
コロナで外に気軽に出られなくなって、心配だったのはそういう店のことだった。こちらはしばらくお預けを食っても死にはしないが、店にとっては死活問題だ。もし店が潰れてしまって、二度とあの飯が食えなくなるとしたら寂しい。テイクアウトを始めたと聞いて買いに行ったりはしていたが、できるのはその程度で、なんとか頑張ってくれと思っていた。
本書はそういう修羅場を、レストランのオーナーシェフの立場から見たレポートだ。コロナが一番ひどかったとき、天秤の片方に載せられたのが命と医療だったから、世間はこぞって自粛当然!という方向に傾いた。それは無理はないと思うのだが、その一方でレストランをやっている人にとってはまさにそこにある危機、死活問題だった。そのときシェフ/オーナーたちは何を考え、どうしたか。
店を閉じたり、短縮営業をしたり。選んだ方法はさまざまだが、今更ながら「自粛」とはひどい言葉だと思った。強制ではなく自粛であり要請なんだから、営業をやめたり縮小したりするのは「店が勝手にやっていること」であって、保証をする義務はない、という理屈らしい。おまけにボランディアの自粛警察まで出てくるのだから、楽でいい。自分の身は自分で守るしかない(店だけでなく、客や店員の健康も含めて)というセリフが何度も出てくるが、それでいいのか。いったん日本では流行が落ち着きつつあるが、オミクロン株みたいな未知数のリスクもあり、これからどうなるかまだわからない。流行が再燃したら、また同じことを繰り返すのだろうか?
労作とは思うが、不満も多い。
本書に登場した34人のシェフ/店は、少なくとも本書執筆時点では全員が「踏みとどまっている」人たちだ。潰れた店は一軒もない。成功事例しか書いてないビジネス啓発本みたいなもので、説得力はあまりない。
あと、ロックダウンと保証をセットでやった(とぼくは理解している)海外の状況が何も書いてない。これからも「自分の身は自分で」ということなら、何も変わらない。
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コロナの中で料理人達が如何に考え行動したかのインタビュー記録。各人各様に素晴らしい思想と行動で感銘を受ける。もはや外食に行くのは「たまに」のことになってしまったが頑張る料理人達を応援に伺いたいと思わせる1冊。是非、我身事と思って読んでみてください。