紙の本
いやいや
2023/09/06 20:19
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:井端隕石 - この投稿者のレビュー一覧を見る
(詞のつくり方)という章。「僕」「君」「あなた」などの人称代名詞は使わないと明言している。
いやいや松本さん、過去にいっぱい使ってるじゃないですか。嘘言ってはいけない。
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作詞家、松本隆。全盛期をリアルタイムで知っているわけでも、はっぴいえんどのファンというわけでもない。
けど、短い文章の節々に作詞家として生きてきた矜持のかけらのようなものを感じられて、アーティストとしての彼について深く知りたいと思う内容だった。
職業作詞家として、数字で判断される世界に対しての苛立ちをのぞかせながら、そんな時期もとうに過ぎたと達観しているような雰囲気。
作詞において重要なことは、知識、技術、思い。これはきっと全ての仕事に通じるんじゃないかな。知らないと何もできないし、実現するためのテクニックやスキルは必要だし、ただ、それだけだとつまらなくて。思いという要素があること。そのバランスがあることが大事という考えには共感した。
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実に、夏葉社らしい一冊。
そうとは知らずに、書店で手に取って、パラリと見て、「あ、いい本だ」と買った、自分の感性をまずは褒めておこう(笑)
2012年から関西(神戸)に移住した松本隆。元ガケ書房の山下賢二相手に、京都の喫茶店で語らっているという、気楽な雰囲気で、本音ともいえる松本隆の哲学が、33のテーマで、さりげなく語られている。
珠玉の金言集と言っていい。
「イノダコーヒー本店旧館にて」の章(あまりこの章立ては意味ないのだが)、”非難について”の一節は、今の世の中、心強く生きる手立てが、小気味よく語られていて、心地良い。
夏葉社、いい仕事してます。
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喫茶店でふと隣の席から聞こえてきた何気ない会話。
それが妙に耳に心に残る。
そんな本。
大事にし続けたい言葉がいくつも。
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季節が大事、5W1Hはいつも考えている、「あなた」「僕」などの人称代名詞は無駄だからつかわない、否定形の表現は避ける、知識が重要、とか。筒美京平先生は弟がアメリカにいてヒットチャートのレコードを大量に送ってきていた。まあ松本先生いい人だね。
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本にしてしまうのはどうだろうか。
値段はちょっと高い。
申し訳ないけど、もしも古本屋さんの棚にあったら、きっとうれしくなる。
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面白かった。
京都の喫茶店で古希を越えたおじさんと息子くらいのアラフィフのおじさんが話をしてる。
聞くとはなしに古希のおじさんの話を聴いてしまった。
そんな感じかな。
テレビ番組で京都の鴨川での映像が出てたけど、
本書をきっかけに今は神戸に住んでいるって知った。
松本隆が直接エッセイとして、林真理子の様に起承転結を考えて、何かに掲載してメジャーな出版社から出せば、
かなりの数が売れるのではないか!?
そう思ったのだが、
エピソードの上面なら知っているのだが、
妹のこと、太田裕美を採用した理由、細野さんと柳田ヒロの関係とか。
知らなかったよ。
というのがいっぱいあった。
柳田ヒロは、最初、ツノダ☆ヒロと勘違いしてた。
山下賢二という人をフィルター、あるいはバッファーとすることで、本書が実現したのならそれもありだろう。
本書を読みながら、ストリーミングではないけど、
手持ちのCDをキオクシアのメディアとHEOSのアプリとで
iPhoneで選曲して、
風をあつめて、
ガラスの林檎、
SWEET MEMORIES.
等などを即聞いた。
これも、treeか。
TREEINGなり。
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松本さんが語ったことがそれぞれごく短く綴られている。これがシンプルながらもぐさっとくる。「人と人は有機的」とか「才能は神様から借りているもの」とか。ぼそぼそっと喫茶店で話してくれるこの感じがたまらない。そしておもしろい。
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松本隆さんは好きなので、これまでも特集インタビューや、ご自身で書かれた文章など、結構見聞する機会はあるのだが、それらをこうやって素のまま載せると、少し違った感じの人物に映ってしまうのだなと思った。心やすい相手に向かってリラックスした場所で話された言葉には違いないが、読者に伝えるためには多少表現を整えないと、鼻持ちならないおじいさんのように読めたりするところも?筆者のフィルターを通して書かれた、あとがきの項が一番面白い。
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大好きな作詞家の松本隆さん。
やはり言葉選びが上手だし歌詞もそうだけど松本さんの言葉は情景が浮かぶ。
こんな大人になりたい。
以下、良いなと思った言葉。
時間を有効にするためには、嘘というのはつまんない時間の使い方だから、それを封印して、そこで得た時間をほかのことに振り分けたほうがいいよ
いまの若い人はよく論破するって言うじゃない?でもあれは無駄。理論で負かしても無駄なの。うらまれるだけ。一生懸命理論で勝って、相手を屈服させても結果うらまれるだけだったら時間の無駄だよ。
理論って意外と役に立たない。僕は直感みたいな方が正しいって思う。
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松本隆さんのことはよく知らない。
よく知らないのだが、楽曲リストを見てみると、知っている曲をちらほらと見かける。
タイトルの通り、山下さんが喫茶店で松本さんから聞いた話をまとめた本。
本文は短く区切られてはいるが、話なので流れがあり、前の話から続いていることも多々ある。
そんな中で印象に残ったのは『妹のこと』。
彼女の生きた人生、決断について考えさせられる。
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インタビューを文章化しているからか、力が入りすぎていない、気軽に話しかけられているかのようなことばでした。とても読みやすかったです。
音楽には疎くて、「松本隆」の名を拝見しても、ピンときませんでした。「はっぴいえんど」の文字を見て、「あれ、どこかで聞いたことがあるかも……」と感じた程度です。曲を思い出すことすらできません……。
なので、事前知識がない状態で、まっさらな気持ちで、彼のことばを受け取りました。
松本さんが何年かけてこれらの思考にたどり着いたのかわからないですけれど、自分が数十年かけてたどり着いた考えもあり、親近感を抱く部分がありました。それは、人間の本質的なところなのかもしれないですね。
(以下、読みながら綴った感想)
2022/12/14 p.2
p.2
“自分で選んだつもりでも選ばされてるかもしれない。本当は二つある選択肢が一個にしか見えないこともある。”
大学生の頃の自分がまさに、この状況でした。
無能な自分は、ほかに居場所がないのだから……。正社員にならなければ、家族も世間も認めてくれないのだから……。だから此処で、どんなにつらくても、耐えなければならない。
そう思い込んでいました。けれどそんなことは、なかったです。別の道を選んでも良かったのです。
それを、教えてもらって、良かったです。
2022/12/17 p.2-116
p.13
“美味しいものがあったら、写真を撮りたいっていうのは本能だし、その写真をみんなに見せたいっていうのも本能。”
へえ。“本能”だと捉えたことはありませんでした。
本能ならば、当たり前のことですね。
p.13
“歳とるとさ、昨日食べたものって忘れるの。ほんとうに。だから、いちいち撮っておいたほうがいいのね。”
(中略)
“すぐに記録できるというのはものすごく豊かなことだと思うよ。”
本当に、そうです。あらゆることを忘れてしまうから、記録しておきたいのです。だからわたしは、記録魔になりました。
けれど、最近は、忘れてしまうことも、受け入れるようになりました。すべては消えゆくものですから……。
p.16
“天才って空気感染するといいなって思った。”
その発想が天才ですよ。なるほど……。
p.19
“
(前略)ついてるかついてないかはどうにもなんないよね。そこは神様の領域。
でもね、最近思うんだけど、ただの偶然って意外とないんじゃないかって。それは何かで用意された必然じゃないかって思う。
”
凄い……。びっくりしてしまいました。
というのも、先日友人が、キリスト教では「神様が備えて下さった」と考える、と教えてくれました。その人に必要なもののご縁を、神様が結んでくださる……みたいなお話だったはずです。
まさしく……。
p.35
“この人たちは偶然生きてるだけなんだって思った。”
誰もがそうです。たまたま、生きているだけ……。いつしぬかなんて、わからないです。
p.63〜
“
(前略)美味しい成分っていうのは、思いが入ってるんだと思う。
(中略)
ただ、それだと続かないから、そのために知識とかテクニックが必要になってくるわけ。
(中略)
思いだけじゃだめ。その人だけが「これは美味しい」って言っても、人は納得しない。
”
才能で「食べている」人のことばだなぁと感じます。
仕事にするのなら、残念ながら、ひとりよがりではダメなのでしょう。他人に、世の中に、認めてもらわなければ……。
p.84
“負のエネルギーがあるとしたら、それはマイナスだから、プラスでは絶対プラスに置き換えられない。”
(中略)
“だから、マイナスにはマイナスをかける。”
マイナス思考で脳内が埋め尽くされている時、プラス思考のことばが嫌いでした。「何でしにたいって言うの?」「生きて」……それらは押しつけのように感じました。生きたくない時に、そんなことばは響きません。
むしろ、しにたくてたまらない人、苦しみに耐えている人のことばが響きました。共感すると、気持ちが落ち着きました。
「そう考えてもいい」そのことばだけで、良かったのです。本当は。
奥付
あ、著者の山下賢二さんって、ガケ書房の方でしたか。『ガケ書房の頃』を読んだことがあります。
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親が昭和アイドルが好きでその作曲をした人というイメージ
Book market 2023 で夏葉社ブースで見つけて、あ、この人(松本隆)見たことある名前だ…と、内容をちらっと見て「恋」「戦う」「虚無」…とかの概念について作曲家としての言葉が並んでいて、勇気づけられそうな本だと思って購入
「ジャンルに上下はない」
最近自分の好きなものだけに偏ってる気がするので、無意識にジャンルに優劣つけてたような気がする
よくないので、周りからの意見をたくさん取り入れたい宣言する
感動ポイントに付箋つけた
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「失恋」についての言葉が心に残った。
所々、経済的余裕が音楽活動に好影響を及ぼしたような内容が語られている。本当のことなんだろうけど、今自分が心を砕いて働いているのを否定されたような気分になってしまった。それでも松本隆の詞は好き。
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淡々としているのにすごく刺激的。
物語についてのお話が個人的にハッとさせられた。
私は昔から物語がすごく好きなのだが、その中に自分の生きる意味を探しているのかもしれない。
見失ってるなと思った時に読み返したい本。
装丁がとても好き。