紙の本
心を感じる
2021/10/11 19:24
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投稿者:ネコ - この投稿者のレビュー一覧を見る
人の心を読むことはできない、たとえ自分自身でさえも自分の心を知ることは難しい。人に語ることで、姿を現す心に気づいた時、感情が湧き上がる。そんな気持ちで読み進んでしまった。
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週刊文春の1年連載記事をまとめた一冊。ちょうどコロナ禍が始まるタイミングと連載が重なっていて、本書のタイトルと関連した長い序章が加わっている。連載自身は「心」と関連するエッセイで、読みやすく興味深い内容が多いと思うけど、ちょっと軽いノリのキャラを演じて笑いを取ろうしていて空回り気味かな。前半は当然コロナ関連ネタが多く、後半は臨床心理士としてカウンセリングをした人々の話(実話を元に創作したらしい)が多い。臨床心理士って一体何をしてるのか知らなかったけど、ちょっと理解できた。
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コロナ禍の命がけの社交、過酷な働き方、段ボール国家…。今ほど心が蔑ろにされている時代はない。それはなぜかを解き明かすとともに、心の在り処を探る。心を取り戻すための小さな物語が満載。『週刊文春』連載を書籍化。
軽いけど重い話だった。
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週刊文春に連載されていたときもときどき読んで楽しんでいたので、こうしてまとめて読めてうれしい。連載開始がちょうどコロナの感染拡大とかぶっていて、それが週刊連載という形で瓶詰めのように保存されているのも貴重だし、そのなかから東畑さんが、パンデミックという大きな物語に吹き飛ばされた小さな物語=心を見つけようと意識したという序文も示唆に富む。そしてもちろん、河合隼雄に象徴される「心の時代」が、コロナ以前に終わりを告げていたという洞察も。そうか。「物は豊かになったが心はどうか」と河合さんは問うていたのに、現代は、物も豊かでなくリスクだらけ。だから心をどうこうするよりもまずまともに暮らせる環境をととのえることが先決、というふうにならざるを得ないものね。
各エントリでは「YouTube、安全なカプセル」が、前振りから事例(守秘義務があるから事例は基本的に数々の例をシャッフルしてつぎはぎしたものらしいけど)、考察、そしてちょっと自虐まじりのオチまでの流れが完ぺきですごく好き(笑)
そして何よりも「中学受験の神様」(大学院の教授のひと言が深い!)から「ピンク色の森へ」へ至る中学受験シリーズがすごくいい。児童文学みたい。危うくて紙一重で運がよかったという述懐もそのとおりだったんだと思う。そして児童文学にもそういう、紙一重の体験がたくさん描かれているんじゃないかと。それこそ河合隼雄さんが激賞していた『思い出のマーニー』だってそうだし。
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「心はどこに消えた?」本当にそう思う。さらっと書かれていて、ちょっとだけ心に残るエッセイ。でもそのささやかさの中に人間はいる。
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この本に載っている、1人ひとりの様々なストーリー(環境や状況)は、それぞれシリアスではある。
が、著者の巧妙でユーモアセンスある文章でクスっと笑わせてくれる。
なんだか、臨床心理士という人を身近に感じさせてくれた。(自分の中ではお堅いイメージだった)
話すこと・聞くことを仕事としているからなのか、内容は読みやすくて入りやすく、そして面白い。
堅苦しくないのも本書の魅力。
※2020年5月~2021年4月にかけて、週刊文春で連載した「心はつらいよ」をまとめたものとの事。
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臨床心理学というだけあって,個々の(想像上)事例をもとにわかりやすく心の問題を述べている.
心は二つあるという.もしかしたら三つかも.
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「1日が長いと感じられる日が、時々でもあるといい
」で言及されていて興味を持って読んでみた。
心理士の著者によるカウンセリングの現場に基づいたエピソードの数々をオブラートに包んだいくつかのお話。
なんにも記憶に残ってない、、、あ、禁煙の話は面白かったかな。あとはカウンセリングする人なのに、結構病んでるんじゃないかと心配するかたわら、著者のメンタルのアップダウンがきつくて、ジェットコースターに乗っているような気分が味わえます。
とりあえず自分はメンタルヘルス大丈夫なんだなと思えたのがよく、ちょっと病んでる人には効く本なのかもしれません。
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以前読んだデイケア本が面白すぎてびっくりし、こちらも手に取りました。臨床経験や自身の体験から考えたことを紹介されている中、
「根源的なことを問い続ける姿勢」が今とてもしっくりしました。
学問ではなく仕事での支援のことだけれど、長く続けていると「そもそもどうして」と立ち止まり振り返ることが減ってしまいよくないな、と感じていた折でもあり、意識的に考える機会を持ちたいと思いました。
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「大きすぎる物語に私たちは剥き出しでさらされている。」(27)頁のとおり、コロナ禍で、円安で、侵略戦争があるときに、個人の小さな物語は語る場がないような心細さを払拭する本でした。困っている人がいれば自然とヘルプがあったその場所でやってきたことが、今は卓球のようにメールを打ち返すというヘルプの方法に変わったという描写はよく分かります。よくわからないまま関わってもなんだか前に進む仕事は確かにあって、人がいればこそ湧き上がる場の力を見ることがあります。
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令和版河合隼雄のような雰囲気。まえがきにあったようにかつて(90年代)は、河合隼雄をはじめとする心理学者の本が溢れ、事件が起きれば「心の闇」が語られていた。でも今は「心の闇」より「社会の歪み」。心理的な問題が起きていても、カウンセリングよりも、生活費の支給や労働環境を変えるなどの社会的経済的なケアが必要との認識に、社会が変わってきた。大人になったからわかる。確かにお金と生活基盤は超重要。でも、そんななかの、それでも、心を探して、心に寄り添い続ける著者のエッセイ集だ。時々軽妙すぎて読むのがしんどかった。
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野の医者は笑うを読んで、面白い人だなと思っていたけれど、他の書籍は読んだことがなかった。
たまたまAudibleにあったので聞いてみることにした。
最近、私は数字、ロジック、ファクトが大事だという意識が強かったけれど、それでは語れない個人のストーリーの大切さを思い出した。
何事も数字かしたり、統計処理をするためには解像度を下げる必要がある。そうやってまとめて一つ一つのデータには本来はもっと多くの中身が詰まっていて、それを切り捨てることで統計的な処理ができている。
そのことを知ってはいたものの、すっかり忘れて生活してしまっていたと感じた。
個々のストーリーと全体の統計、両方を行ったり来たりしながら物事を考えることはとても疲れる作業ではあるものの、
大切なことなのだろう。
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なんか、色々な感情は湧くし、言いたいことは色々あるんだけど…とにかく面白かった。共感、皮肉、ユーモア、哀愁。豊かな時間をもらいました。
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一つ一つは読みやすいエッセイなのだけれど、全体を通して見た時、カウンセリングとはこういうものか、と感じることができた。
というのは、自分が受けているカウンセリングに照らし合わせたから思う感想。
カウンセリングにおけるクライエントとして、自分の中では先が見えない闇の中で彷徨っているイメージだけど、おそらくカウンセラーからはこう見えていて、こういう気持ちでこういう反応をしてくれていたのか、と納得できる箇所が多くあった。
「心が一つ存在するために、心は必ず二ついる。」と本文中にあるが、本当にその通りで、もう一つの心が感じ、受け止めることで初めて心の形がわかる。そのもう一つの心役は多くの場合他者となると思うが、相手も人間なので心の形を教えてくれるだけでは済まず、傷つけたり変化させようとしたりすることも多々ある。そこを、純粋に心の形だけを教えてくれる、本人自身の変化を見つけてくれるのが、カウンセラーなのだと思う。
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卓球、たばこ、オレンジの傘
カウンセラーの著者のもとには、いろんな心をかかえた人たちが訪れる
忙しくすごす日常で脳も身体もフル稼働していると、心はどこかに隠れてしまうけれど、大きな変化や小さな躓きで、その隠れた心が顔をみせる
心の変化にはとても長い時間がかかるのだな、と本書で創作として現れる人たちのおはなしから感じつつ、心はふたつあってはじめてそこにあると気づけるのだという言葉に希望を感じる
要約とか取説とか。そうした消化しやすい情報もだいじだけれど、ひとにまつわるお話はもっと長ったらしくて要領を得なくて掴み所もオチも本質もわかりにくくて仕方のないもの
だからこそ人には人が必要だって思いつつ、この本をとじ、また東畑さんの本に手を伸ばします