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商品説明
【泉鏡花文学賞(第51回)】向田邦子、小林信彦、エラリー・クイーン…。本を愛する作家が、言葉と物語からあふれる力を掬いとり、その輝きを伝える〈本の私小説〉7篇を収録する。『波』掲載を書籍化。【「TRC MARC」の商品解説】
本を愛する作家が、言葉と物語の発する光を掬いとり、その輝きを伝える7篇。懐かしくて新しい物語の言葉が、映像や詩や短歌、歌のことばに結び合わされて光を放ち、豊かに輝き出す。向田邦子、隆慶一郎、山川静夫、遠藤周作、小林信彦、橋本治、庄野潤三、岸田今日子、エラリー・クイーン、芥川龍之介――思いがけなく繋がっていく面白さ。本の達人ならではの探索と発見が胸を打つ〈本の私小説〉。【商品解説】
収録作品一覧
手 | 7−34 | |
---|---|---|
○ | 35−54 | |
糸 | 55−96 |
著者紹介
北村 薫
- 略歴
- 〈北村薫〉埼玉県生まれ。埼玉県立春日部高校で国語を教えるかたわら「空飛ぶ馬」でデビュー。「夜の蟬」で日本推理作家協会賞、「鷺と雪」で直木賞受賞。
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紙の本
世界は繋がり、世界はひとつではない
2023/03/17 12:59
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あお - この投稿者のレビュー一覧を見る
内容的には雪月花と似たような、文学・本にまつわる話、それに関する著者の所感、と簡単に言ってしまえばそうなるかと思います。
個人的に本そのものは好きですが、歌舞伎や落語、近代文学のことはほとんど全くと言っていいほど分からないので、著者のいわば「推しポイント」が今ひとつしっくり来ず、そんな自分が残念だなあと思ってしまいました。
しかし、「赤とんぼ」を聴いて何を思い浮かべるかはその人の感性次第であり、そういうものを大切にしたい、というところのくだりは共感できました。
エラリィ・クイーンへの評価についても、数十年前に知人からちらりと聞いただけの「悪評」がそのまま自分の評価になってしまうような、「ある一点」だけで物事を決められてしまう怖さ、やるせなさが伝わってきました。
世界はひとつではない、人の数だけ存在するということを、自分の好きな「本」を通して再認識できたのが良かったです。
また、著者は文学・文芸にまつわる小さな謎を追う中で、過去に自分が見聞きしたこと、期せずして他人から差し出されたものなどとの様々な繋がりを感じます。
それもまた、世界の神秘だなと思わせられました。