緊迫感と疾走感満載
2023/02/12 10:26
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:こばとん - この投稿者のレビュー一覧を見る
札幌大通警察署刑事課遊軍の佐伯宏一、少年係の小島百合、機動捜査隊の津久井卓らおなじみのメンバーが活躍する北海道警シリーズの最新作。
冒頭、スーパーの駐車場で単身赴任中の企業経営者が拉致される。一方、離婚して札幌で働いている父親に会いたい一心で、旭川からJRに乗ってきた小学生の女の子が札幌駅前で保護され、小島が児童養護施設に連れて行くことになるが、少女の父親も駆けつけてくる。大通公園脇の街路では、セダンの後部座席から降りてきた男がふらついて第2車線まで出てしまったところをトラックに撥ねられる死亡事故が発生し、津久井が現場に向かう。さらに郊外にある弁護士事務所に空き巣が入り、佐伯が捜査を担当することとなり現場に向かうが、盗られたものはないように見える。
最初、3人の警察官は、それぞれの同僚とバラバラに対応しているが、断片が次第に一つに繋がっていき、そこに恐ろしい構図が浮かび上がってくる。なるほど『樹林の罠』というタイトルが付く訳だ。
別々の出来事と思われた事件が一つに繋がっていく過程では、繋がりを示す手掛かりが都合よく見つかっていくきらいがあるのは、いつもながらだがご愛敬。何故だろう?どうなるのか?と思いながら手に汗かいて読んでいるのに、繋がっていかないことには面白くない。本作もまた、緊迫感と疾走感満載で、安定の一気読み。
それにしてもいつも驚くのは、作者が警察関係の小ネタに通暁していることだ。本作では例えば、容疑者の周辺の事情を聞くために警察署に呼んだ参考人を、佐伯は課の応接セットに案内するが、これは「会議室に招じ入れると、尋問ふうに感じるせいか、相手によっては緊張してうまく情報をもらえないことがある」ためだという具合。こういう小ネタがあちこちに仕込まれているのも、また楽しい。
「道警シリーズ」の記念すべき10作目
2023/01/30 08:09
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:higassi - この投稿者のレビュー一覧を見る
佐々木譲さんの「道警シリーズ」も記念すべき10作目。本作も佐伯・小島・津久井のそれぞれの事件がつながって「小さな捜査本部」となり事件を解決していきます。ある意味「形」通りなのに、静かに真相を追いかける姿や、北海道の雰囲気、佐伯の悲哀、佐伯と小島の関係性等々の要素もあって、毎回読んでしまうシリーズです。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
相変わらず安定の一冊。いつも通りモジュラー型で話が進みますが、今回はややご都合主義に感じてしまいました。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
久しぶりの道警シリーズ。
父親を引き取ってからの一冊。
いつもながらのたくさんの糸が一本になって事件解決は面白かったです。
初期の頃
ハラハラ感が少なくなって少し寂しい。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
道警シリーズ
閑職に追いやられている感じの佐伯だが、事務所荒らしの捜査が繋がっていく。
安定の展開。
コロナ禍の町や人の様子などが組み込まれているが、「マスク」に関する供述が少ししつこく感じた。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
久しぶりの道警シリーズ。
発売の間隔が空いたし、前作で佐伯と小島の関係も解消されてしまったので、もう続編はないものかと思っていたが、しれっと発売されていた。
父親の介護をしながら、盗犯係の仕事を続ける佐伯と機捜の津久井、生安の少年係の小島。
時間が経っても、所属も相棒も変わらない安定のシリーズ。
ひき逃げ事件を追う津久井、事務所荒らしを捜査する佐伯、旭川から来た少女を保護した小島。
いつも通り、別々の事件を扱っているようで、話が進むと共に点と点が線となっていく。
ちょっと強引?とも思うけど、あまり土地が広くない関東では聞かない森林詐欺と言うテーマが面白かった。
コロナも無かったことにせずに、コロナに翻弄される札幌の様子が描かれているのも興味深かった。
ブラックバードに集まることもなくなっていた3人だが、また集結して、ラストは3人で活躍するシリーズの終わり方であって欲しい。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
テンポ良くさらさらーっと読め、面白かった。
事件もいつものメンバーがコヨリをよるように佐伯の下に収斂して行き、スピード解決。
佐伯の読みがビタビタ過ぎですが、本流に戻る日は来るのか
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
佐々木作品の十八番、安定の道警シリーズ最新作。登場人物も背景もすべてわかってるので頁が進むこと進むこと。年末年始休みの初日に一気読みさせていただいた。主要キャストが事件に関係していく過程と収斂の具合が絶妙で何とも言えない名人芸ぶり。このシリーズは是非続けてほしいなあ。ブラックバードも健在でいて欲しい。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
轢き逃げの現場に臨場した大通署機動捜査隊の津久井は、被害者が拉致・暴行された後に撥ねられた可能性があることを知らされます。
生活安全課少年係の小島は、駅前交番で保護された、九歳の女の子を引き取りに。
佐伯のところには、弁護士事務所荒らしの事案が。
ひとつの交通事故から、隠された犯罪を探っていきます。
3つの事件がどうつながるのか。
道警シリーズ第10弾。
相変らず面白い。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
北海道警シリーズ第10弾。
道警大通署刑事課の佐伯と新宮、生安課の小島、機搜の津久井などお馴染みのメンバーがそれぞれに担当していた事件が一つの事件に収斂していくいつものパターン。そして捜査本部ができているにもかかわらず、このメンバーたちの活躍で事件が解決してしまうところも相変わらずのご都合主義で、このシリーズの固定客じゃなかったら白けるところ。
でもシリーズを全作を追っかけてきた者にとってはそれでいいのだ。
組織に逆らい飼い殺しにされているポストでも腐ることなく職務を全うする佐伯と新宮の刑事としての矜持に胸を熱くし、結婚も視野にあった佐伯と小島が大人の事情で別れを選択したことに胸を痛めるなど、シリーズならではの展開も見逃せない。
今回はコロナ禍でいつものブラックバードでのやり取りが少なかったのも残念。マスターが閉業の話をしていたから、佐伯が警察官を辞めてあとを継ぐなんてことがあるかも……と妄想してみた。
まだまだこのシリーズから目が離せません。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
久々の道警シリーズ。拉致暴行事件が発端、様々な事件が山林を巡る事件へと収束していく。本部に盾突き、冷遇されていた佐伯と新宮、小島らが、がそれぞれの事件を捜査、犯人を追い詰める。社会問題や警察官の矜持、そして彼らの私生活を盛り込みつつまとめ上げた安定の一作。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
久しぶりの道警シリーズ。やっぱりロシアシリーズより格段に面白い。ただ20年近く経ち、こちらはだいぶ老けたのに主人公たちがちっとも歳とらないのが、ちょっとだけ不思議なカンジ。でも組織に楯突いた佐伯さん、まだ飼い殺しなんて…今回もありえないスタンドプレーで大金星挙げたのだから、チーム佐伯復活させて、佐々木さん。そろそろ締めに向かわないと…。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
テンポが良くさらっと読めました。やはりここでも COVID 19 が。今後
展開がどうなるかで、評価に影響する小説もあるのかな。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
大通署には頼もしい奴が多い。薄野とか旭川とか馴染みのある地名が出て感情移入できた。逮捕劇がクライマックスになったのが残念。黒幕の社長は逃れて次回作でも再登場?
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
気に入っているシリーズの新作というのは、「遠方の友人知人の消息を知る」という感じで愉しく読む。札幌都心部に在るという警察署の刑事達が活躍する「道警シリーズ」の新作だ。
シリーズの愛読者には御馴染の面々が活躍して、事件の謎を解き明かして行くという展開である。頁を繰る手が停め悪くなってしまい、素早く読了に至った。
明確に年月が記されているのでもないが、2021年頃の感染症の問題で何となく落ち着かないような様子の中で、作中の出来事が起こっている。
“大通署”の佐伯刑事は、部下の新宮刑事と盗犯の担当をしていた。大きな事件の特捜本部等からは外され、細かい事件を扱うことが専らであった。
同じ“大通署”で少年係に在る女性の小島刑事は札幌駅前の交番に急行していた。上川管内の小さな町の小学3年生女児が、列車を乗り継いで札幌駅にやって来て「お父さんに会う」としていて交番に保護されたのだという。小島刑事は女児を保護して児童施設に泊らせる段取り、旭川で働く母親が迎えに来るように連絡を取ること、札幌市内に在るという父親と連絡を取って家庭の事情を尋ねる等して奔走していた。その父親の職歴等を聞く中、旭川の「ブラックな感じ」の会社の名前が出て、少し気になっていた。
機動捜査隊の津久井刑事は、「ひき逃げ?」という情報で現場へ急いだ。車から出た男がフラフラとしていて、通り掛ったトラックにひかれて死亡してしまったというのだ。男性は、何らかの危害を加えられたように見受けられた。そこで“大通署”に捜査本部が立上り、捜査が始まった。
そんな時、“大通署”の管轄内で、弁護士事務所が「家宅侵入の被害」という連絡が入った。佐伯刑事と新宮刑事はこの件の対応をすることになった。未だ戸建ての住宅等も目立つ辺りで、自宅に併設されている弁護士事務所を訪ねて様子を調べる中、相談を受けていた弁護士が会う予定になっていた人物が浮かび上がる。その人物は、トラックにひかれて死亡してしまった人物であった。
幾つかの出来事が不思議な結び付きを見せる、或いは不思議な結び付きから「事の真相」が解き明かされて行く。弁護士事務所の「家宅侵入の被害」という地味な案件が、思いも掛けない拡がりと深まりとを見せて展開する。
作中、佐伯刑事、小島刑事、津久井刑事は各々の部署に在るのだが、このシリーズの最初の作品、またはそれ以前からの仲間であり、今般も絶妙なチームワークで事件解決に向けて奔走する。モデルになっている場所が在るのか否かは判らないが、彼らは<ブラックバード>という、ジャズを流していて、ライブも可というバーに集まっている。バーと言っても、珈琲も飲めるようだ。今般、佐伯を援けるべく急に現場に出る可能性を感じた津久井が、マスターに珈琲を御願いする場面が在った…
本作では、過去の経過を知り得る人に会うことや容疑者を追うようなこと等、物語の殆どの部分が札幌都心部で展開している。個人的には土地勘が在る辺りなので、作中で描かれる場所の雰囲気が強く思い浮かび、何か夢中で「入り込む」というような感じにもなる。
とにかく面白い!!広く御薦めしたい…