- カテゴリ:一般
- 発売日:2022/12/14
- 出版社: 講談社
- サイズ:20cm/313p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-06-524127-1
読割 50
紙の本
国商 最後のフィクサー葛西敬之
著者 森 功 (著)
国鉄分割民営化で革マルと手を組み、右派・日本会議の黒幕として安倍晋三を裏で操ったJR東海の「総帥」葛西敬之。巨大広告主ゆえに週刊誌ですら触れられなかった、その知られざる素...
国商 最後のフィクサー葛西敬之
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商品説明
国鉄分割民営化で革マルと手を組み、右派・日本会議の黒幕として安倍晋三を裏で操ったJR東海の「総帥」葛西敬之。巨大広告主ゆえに週刊誌ですら触れられなかった、その知られざる素顔に迫る。【「TRC MARC」の商品解説】
安倍晋三射殺で「パンドラの箱」が開き、
一気に噴出した日本政財界の闇――
その中心にいたのは、この男だった。
JR東海に君臨し続けた
「アンタッチャブルの男」にはじめて迫る。
「本書が解き明かすのは、鉄道をナショナリズムの道具とするため
権謀術数を駆使した一人の経営者の半生だ。
結果としてそれが日本の鉄道にどれほど負の遺産ももたらしたか。
重い問いが読後にずっしりと残った」
ーー原武史(政治学者・放送大学教授)
「国鉄改革を足掛かりに政官財界に人脈を張り巡らせ、官邸やNHKをも操る。
自らの繁栄こそ国益だと信じた男と、その権勢を後ろ盾とした長期政権。
この十年の権力の核心に迫る圧倒的ノンフィクション」
ーー松本創(ノンフィクションライター)
禁断の「革マル取り込み」で
魑魅魍魎の労働組合を屈服させ、
30年以上にわたりJR東海に君臨。
政官界の人事を自在に操り
安倍晋三最大の後見人となった。
国を憂い、国を導くその一方で、
国益をビジネスに結びつける
「国商」と呼ぶべきフィクサーだった。
国鉄解体という戦後最大の難事に
身を捧げた改革の闘士は
「怪物的黒幕」へといかにして変貌したのか!
(目次より抜粋)
・政策は小料理屋で動く
・靖国神社総代と日本会議中央委員という役割
・国鉄改革三人組それぞれの闘い
・「革マル」松崎明との蜜月時代
・覆された新会社のトップ人事
・鉄パイプ全身殴打事件
・ばら撒かれた「不倫写真」
・頼った警察・検察とのパイプ
・品川駅開業の舞台裏
・名古屋の葛西では満足できない
・安倍総理実現を目指した「四季の会」
・メディアの左傾化を忌み嫌う理由
・傀儡をNHKトップに据えた
・「菅さまのNHK」
・安倍政権に送り込んだ「官邸官僚」たち
・池の平温泉スキー場の「秘密謀議」
・杉田官房副長官誕生の裏事情
・政治問題化したリニア建設計画
・JR東日本とJR東海の覇権争い
・安倍と葛西で決めた「3兆円財政投融資」
・品川本社に財務省のエースが日参
・「最後の夢」リニア計画に垂れ込める暗雲
・JR東海の態度に地元住民が激怒
・「リニア研究会」という名の利権
・安倍晋三への遺言
・大間違いだった分割民営化
・国士か政商か
・覚悟の死
「権力者には宿命的な不安と恐怖が生まれる。
夢のためには権力を手放してはならない……」
(本書「おわりに」より)
【商品解説】
著者紹介
森 功
- 略歴
- 〈森功〉福岡県生まれ。岡山大学文学部卒。ノンフィクション作家。編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞作品賞を受賞。「悪だくみ」で大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞受賞。
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紙の本
いや~、面白かった。売れているのもよく分かる。
2023/01/16 01:29
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Haserumio - この投稿者のレビュー一覧を見る
「国商」とは、国士にして政商であることの謂いであり(196頁)、「国益とビジネスの結合」(290頁)の喩えでもある。昨日昼前に本が届いて、面白さにハマってしまい、一気に読了。人物ノンフィクション(NF)であるとともに、歴史NF、ビジネスNF、政治NFでもあり、はたまた財界NF、スキャンダルNFであるという具だくさんの混ぜご飯のような一書。唯一、89~90頁と100頁で意味の取りにくい箇所があったが、誤植もなく、近時売れているのもまずは納得の作品。お値段以上の面白本でした。
それにしても、菅元首相の弔辞で有名になった山県有朋の「かたりあひて 尽しゝ人は 先立ちぬ 今より後の 世をいかにせむ」(304頁、306頁)ですが、それ以前の段階で、安倍晋三が葛西敬之を送るそのFB投稿で引用していたという事実を本書で初めて知り、思わずのけぞりました。さまざまな意味で、まったくもって笑える一事かと。
紙の本
合理的な戦略家を論じたら、合理的に評価せざるを得なくなるのでは?
2023/02/27 00:43
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しおかぜ - この投稿者のレビュー一覧を見る
エピソードの集積として、本書はディープな人間ドラマそのものであって、それなりに引き込まれるし、読む価値はあると思う。
しかし、そのときの葛西氏の行動が、国鉄やJR東海、あるいは国政に対してどこまで影響があったのかという肝心な点については、ほとんど推測でしかなく、まさに隔靴掻痒的記述に終始している。とくに人事の意思決定については、決定者が決定過程を明らかにするわけがないので当たり前であるが、状況証拠だけでは著しく説得力を欠いている箇所が目立つ。
著者は、葛西氏を合理的で戦略的な人物であると規定している。その点は同意する。しかし、その葛西氏の行動について、葛西氏の思想や考え方に基づいて分析すればするほど、言い換えれば著者のように批判的に論じようとすればするほど、葛西氏の行動が正しいとしか理解できない逆効果になってしまっている箇所がある。それはまさしく、葛西氏が合理的で戦略的であるからである。
JR東海と核マルの関係など、葛西氏が労務の素人だの核マルとの野合だのと批判したとしても、結果として、戦略的であり合理的であったと評価せざるを得ないのではないか?(この点は、JR東海が、JR東日本などと際立って違っている)
著者は、葛西氏がJR東海という企業の利益と「国益」を結び付けて考えているとして、だから「国商」なのだという。しかし、企業利益を国益を結び付けて、何が問題なのか? 逆に、国益を考えない経営者が多いからこそ、国内の製造業が空洞化したり、国内の資金が海外にばかり投資され、国内が窮乏化しているのではないか?
私は、葛西氏を経営者として高く評価し、まさに私淑しているから、こうした感想を持つのかもしれない。このレビューからは、この点は割り引かなければならないと思う。
…と批判的に論じてしまったが、読む価値はある本だと思う。