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紙の本
持続可能な魂の利用 (中公文庫)
著者 松田青子 (著)
無職になった30代の敬子は、男社会の闇を味わうも、心は裏腹に男が演出する女性アイドルにはまっていく。敬子は思いがけずこの国の“地獄”を変える“賭け”に挑むことに−。【「T...
持続可能な魂の利用 (中公文庫)
持続可能な魂の利用
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商品説明
無職になった30代の敬子は、男社会の闇を味わうも、心は裏腹に男が演出する女性アイドルにはまっていく。敬子は思いがけずこの国の“地獄”を変える“賭け”に挑むことに−。【「TRC MARC」の商品解説】
この国から「おじさん」が消える――
会社に追いつめられ、無職になった30代の敬子。
男社会の闇を味わうも、心は裏腹に男が演出する女性アイドルにはまっていく。
新米ママ、同性愛者、会社員、多くの人が魂をすり減らす中、敬子は思いがけず
この国の“地獄”を変える“賭け”に挑むことにーー
女性アイドルに恋する三十女の熱情が、日本の絶望を粉砕!
著者初長篇にして最強レジスタンス小説。
和田彩花(アイドル)感激
小さな叫びでこの世界のバランスは整えられる! 私は勇気をもらった。
幾原邦彦(アニメーション監督)仰天
その革命が見える者は勇気を得られ、
見えぬふりを生きる者は吐き気を催すだろう。
あなたはどっちだ?【商品解説】
著者紹介
松田青子
- 略歴
- 松田青子
一九七九年、兵庫県生まれ。同志社大学文学部英文学科卒業。二〇一三年にデビュー作『スタッキング可能』が三島由紀夫賞及び野間文芸新人賞候補となり、一四年にTwitter 文学賞第一位。一九年に短篇「女が死ぬ」がアメリカのシャーリイ・ジャクスン賞短篇部門の最終候補に、二一年に『おばちゃんたちのいるところ』がレイ・ブラッドベリ賞の候補となったのち、ファイアークラッカー賞、世界幻想文学大賞を受賞。その他の著書に『英子の森』『持続可能な魂の利用』『男の子になりたかった女の子になりたかった女の子』『女が死ぬ』、翻訳書に『狼少女たちの聖ルーシー寮』『レモン畑の吸血鬼』『AM/PM』『問題だらけの女性たち』『彼女の体とその他の断片』(共訳)、エッセイ集に『ロマンティックあげない』『じゃじゃ馬にさせといて』『自分で名付ける』などがある。
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紙の本
男性社会と女性との感覚のずれガストレンジ
2023/08/23 08:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:天使のくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
松田青子の初の長編である。あいかわらず、ストレンジな話である。
『スタッキング可能』以降、男性社会との感覚のずれという形で、そのストレンジさを描いてきたといえる。そして、この作品では、おじさんと若い女性という対比で、そのことが示される。なんといっても、エピグラフからして、「少女革命ウテナ」である。
続いて、最初のシーンは、おじさんから少女たちが見えなくなるという現象が起きる。少女にとって有害でしかないおじさんから見えなくなるというのは、なかなか理想的なことなのだろう。
ところが、話はそう単純ではない。主人公の敬子が日本に戻ってきてはまるのは、欅坂46なのだから(いちおう作品の中では、固有名詞は示されていないけれど)。欅坂46は、秋元康がつくった女性アイドルグループの1つ。AKB48に代表されるこれらのグループは、まさにおじさんによってつくられた商品であり、実際のところ、持続可能どころか魂は消費されている、とでも言っておけばいいのだろうか。そうであるにもかかわらず、笑わないアイドル、とりわけセンターの平手友梨奈(という固有名詞ではなく、××となっているけれど)にひかれていき、コンサートにまで足を運んでしまう。そこには、おじさんによってつくられたものであるにもかかわらず、おじさんを裏切るような存在になっていく痛快さがあるのだろう。
ちょっと話はずれるように思われるかもしれないけれど、女性の生きにくさの事例の1つは満員電車での痴漢による被害だ。実害だけではなく、男性社会の痴漢被害に対する思いやりのなさというのも問題だ。という話は、ツイッターにはいっぱいアップされているのに、痴漢の被害にあいやすいような制服を強制しているということに対しては、あまり批判されていないような気がする。というか、あまりにもあたりまえ化しているものは批判されないのだろうか。学校は痴漢の共犯者なんじゃないか、と思うのだけれども。という点では、松田はこの作品の中で制服についてもしっかり批判している。欅坂46もまた、制服をしっかり着ているのに。AKB48と同じようでいて、しっかり逆転させている存在になっているということか。
結論はというと、おじさんは絶滅していく。まあ、どんなふうに絶滅するのか、女性の持続可能な魂の利用はどうなるのか、というのはまあふせておくけど。
紙の本
私も「おっさん地獄」の一員か
2023/07/03 13:26
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
男とは、女とは、会社とは、同調圧力とは、といろいろと考えさせられた「スタッキング可能」の作者の作品、ということで、、また、いろいろと考えさせられるんだろうなあ、そうだよなあ、彼女たちから見れば、私も「おっさん地獄」の一員でしかないんだろな