紙の本
大変なお仕事
2023/09/22 17:46
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投稿者:mk - この投稿者のレビュー一覧を見る
家庭裁判所調査官というのは本当に大変なお仕事だなと思いました。主人公が転勤になったため、結婚して同居できることになったとあったのですが、2〜3年で転勤があるという話。また、遠方に転勤になってしまったらこの夫婦はどうなるのだろうと少し心配になりました。
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※
幽霊
待ちわびて
スケッチブック
引き金
再会
キツネ
はなむけ
全7話
色々な夫婦関係、さまざまな親子関係、
多種多様な家族の中で生じる家庭内の悩みや
争いごとを調整し、解決に向けて手を尽くす
家裁調査官たちの物語。
1話毎にタイトルの『涙の雫』が伝わってきて、
頬に鳥肌が立って胸が詰まりました。
生きた人と人が関係して起こる争いなので、
各人の主張が真っ向から対立していて、
相容れないものや理不尽に感じるものには
腹が立ち憤りを感じて怒りの感情が湧きます。
通じない言葉にはもどかしさが募り、
諦めや悲しみの感情にも深く共感してしまって
脳の疲労を緩和させたくなりました。
嘘をつく人、人を欺く人、人を利用する人、
自身のことしか考えない人、人を傷つける
ことに躊躇も罪悪感も抱かない人、自分以外の
人の感情に思いが及ばない人、さまざまな人が
いるけれど、主人公の様に相手の話に耳を傾け、
深く話を聴けたなら、たくさんのすれ違いや
気持ちのわだかまりが決定的な溝や争いになる
前に解せるんじゃないかそんな風に感じました。
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2023/06/21リクエスト 8
前作の北九州から川崎へ異動になった庵原かのん。
栗林と入籍も済ませ、新しい職場では少年事件から家事事件の担当に変わる。
どれも手強い相手ばかり。
最後の2編、キツネ、はなむけ、が良かった。
血縁はないのに息子を引き取る父親。
余命宣告を受けた母親が、内縁の夫の連れ子と、内縁夫との間に生まれた子の二人に、持ち家を売り現金化して口座に振り込んでやりたい。そのため内縁関係を解消したいという。
どちらの話も、厳しい話が多い中、少し和む。
家裁の調停委員ってこんな感じだったかな、と昔を思い出してみたが、そうではなかったように思う。
本に描かれているようなハートウォーミングな対応ばかりではないとは思うが、確かにハードな仕事だと読んでいて知った。
何件も掛け持ちして、移動した時も、その先で進行中の案件を引き継いでいく。
精神的にも大変だと思うが、やりがいもある仕事なのだろう。
この本がきっかけとなり、調査官を目指す人が増えたらいいなと思う。
本の内容とは直接関係ないが、栗林とかのんの食べる食事、かのんのおやつがどれもおいしそう!
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零の町は川崎。横浜地裁川崎支部の家裁調査官庵原かのんは北九州から川崎に異動してきたばかり。家裁の事案は離婚やその後の子供の親権、遺産相続などの揉め事の調停。当然裏には様々なドロドロの人間模様が繰り広げられる。小説ではあるが、おそらく同様のことが実際に有るのだろう。いやぁ実に川崎らしいとか、これは大変だなぁって他人事のように読んでいたが、ふと、このような事例はいつ何時自身の身に降りかかるかも分からないのだと感じ恐ろしくなった。
夫婦も所詮は他人、いや血の繋がった身内だって、なんなら実の親子だって、人間関係の一寸先は闇です。
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昔よく読んだ、久しぶりの乃南アサ。簡潔な文体で、急な場面転換でも違和感なく読める。家裁の相談者は皆曲者揃いだが、最後の話しはグッとくる。
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「幽霊」
「待ちわびて」
「スケッチブック」
「引き金」
「再会」
「キツネ」
「はなむけ」
七話収録の連作短編集で『家裁調査官・庵原かのん』シリーズ第二弾。
第一弾より深みが増し全話面白かった。
前任地の北九州から異動し、横浜家裁川崎中央支部で勤務する事になった庵原かのん。
家事事件を専門とするこの場所に舞い込んで来る依頼はどれも厄介だ。
記憶喪失・失踪・性的虐待・モラハラ夫・離婚・ネグレクト・相続。
あまりにも自分勝手な主張をする輩に何度も腸が煮えくり返った。
そんな中『キツネ』と『はなむけ』には深い愛情を感じ胸が一杯になる。
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裁判所が自分で調査するとは知らなかった。
調査官の良し悪しが結果に影響しそう。
どの人に当たるかは運ですかね。
とはいえ家裁にお願いする前になんとかするのも難しい事ですよね。
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何年かぶりに乃南アサ作品を読みました。私の中で印象に残っている本は、「凍える牙」「しゃぼん玉」「いつか陽のあたる場所で」かな。シリアス系もほんわか系もどちらも面白いですね。
相撲好きが有名です(もちろん観戦が)が蔵前国技館にも足を運んでいたようです。
「雫の街」は女性家庭調査官の庵原かのんから見た人間模様の短編集です。記憶喪失、離婚、親権、不倫、相続他、様々な問題と向き合いながら、人間の悪いところと良いところのバランスをとっていく仕事なのかな。私だとちょっとメンタルをやられてしまいそうな大変な仕事ですね。
今も平和的解決のために実際に調査官として働いている方々に心からエールを送ります!
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家裁調査官・庵原かのん シリーズ。
今作は、北九州から川崎に移り横浜市家庭裁判所川崎中央支部での連作短篇集。
一筋縄ではいかない癖のあるモンスターばかりを相手にすることになる。
だが真摯に向き合う姿勢は変わらず、かのんならなんとかするだろうと…。
彼女はひたすら当事者たちの話を公平な目で見て問題点を探す。
どこまでも諦めずに解決の道を探る。
しかしながらなかなか大変な職業である。
「はなむけ」が内縁関係の夫と縁をきり、前夫からの家を売り遺産としてお金を少年院にいる2人の子どもに渡すという話が強烈だった。
複雑な家族関係と内縁の夫の事故で上手くいかなくなった生活。
子どもたちは、それぞれに問題をおこしてしまう。
一見、すべてが投げやりで勝手にしろという感じかなと思っていたが、自分の命が短いことを知り、やるべきことは子どもたちにお金を残すこと。
これは、しっかりと話を聞かないとわからないこと。
それを引き出したかのんはやはり凄い。
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家裁調査官.庵原かのん。福岡から横浜家庭裁判所川崎支部に異動になって、今度は家事部を担当する。夫婦間や遺産相続、親権や子供の監護の問題などを扱う。記憶喪失の人が公開や照会してもどこの誰かもわからず、改めて戸籍を作る「就籍」を知った。その際、誕生日は発見時とし年齢は推定とするらしい。その他離婚や姑舅とのいざこざなどドロドロとした案件ばかりだ。申立人や相手方は嘘をつくこともあり、自分の都合の良い意見も言う。家裁調査官は「聴くこと」も仕事の基本中の基本とし、それを思うと根気強さが必要な職業だと感じた。
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『家裁調査官・庵原かのん』シリーズ第2弾。
前作でのかのんの勤務地は福岡家裁・北九州支部。
そこでは少年事件を担当していた。
シリーズ第2弾では家事事件を担当することに。
本の帯には
魑魅魍魎渦巻く人間ドラマ
嘘と誤魔化しの連鎖、調停室に響く怒号、やがてこぼれ出る「家庭の秘密」
と書かれているが
なんともはや…、ドロッドロやん!
だけど…、かのんはただひたすら『聴く』姿勢を崩すことなく
ドロドロの人間関係の中から
一筋の光をみつけ、よりよき道を切り開く努力を惜しまない。
それはもう〈忍〉の連続。
シリーズ第1弾よりさらに濃い内容に
うるっときたり、それはしんどいわぁ~と思ったり。
第3弾が楽しみだ。
以前、他の本のレビューにも書いたことがあるが
最近、発行された本には「コロナ」のことが描かれていたり
どこかに「コロナ」の気配が感じられる。
ずーっと後になって、その本を読んだらどんな感じだろう、と。
この『雫の街』では
「コロナ」のことがしっかり、はっきり描かれている。
物語の舞台である家庭裁判所は
どんな状況であろうと、その扉を閉ざすことはできない。
それが感染症だったとしても
様々な対処、工夫をしてその扉を開け続けてくれたんだ…
私たちの生活に、いや人生に、閉ざされてはいけない場所があった。
そして、”そこ”には”そこ”で待っていてくれる人がいる。
そんな当たり前のことを今更ながら思い起こさずにはいられない。
そんな本だった。
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乃南アサさんの小説は好きだ。この作品も子どものことを考えている大人がいることが本当に大事でありがたい。
調査官の方々のお仕事の大変さには頭が下がる。何より私もお世話になった時は、自分の事のように怒ってくださる様子が本当にありがたかった。
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家庭裁判所で取り扱う内容は、どれもドロドロしたものばかり。でも、庵原かのんの粘り強い傾聴と寄り添いの心で、どの話も円満に解決していく。そこには感動の人間ドラマがあった。背景がコロナ禍であり、よりリアリティが感じられた。登場人物である同僚、上司、パートナーの人柄も良く、家裁の暗い話も、良い方向に行くだろうという安心感をもって読み進められる作品でした。
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続編嬉しい。
結婚おめでとう!!!しかし相変わらず激務過ぎる・・・。
「はなむけ」がちょっと泣けた。
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切ない話ばかり。
コロナまっただ中のお話で、時代の背景を読んでいるとあの頃の閉鎖的な恐ろしい状況を思い出して震えた。
なんかいろいろ身につまされる話ばかりだったし、週末の楽しい夜に読むモノではなかった…。