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投稿者:hid - この投稿者のレビュー一覧を見る
三島由紀夫にちなんでるらしい。
分かる人には分かるんだろうな。
振れ幅の大きい作品かな。
それぞれの事象に対するバックボーンがあっさりしてるから、
話が薄っぺらく感じる。
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『テスカトリポカ』で直木賞受賞後初の長編。三島由紀夫の豊饒の海をリスペクトして、書かれたストーリーらしいけど、読んでてもその点はわからなかった。三島の護国観を表現しているのかも。ストーリーは単純で、F35ライトニング2に乗りたいためだけに自衛隊に入り、優秀なパイロットになった男の話。純粋に戦闘機に乗りたいだけなのに、この国では護国という目的以外では操縦できない。限界性能まで戦闘機を操りたい。その葛藤から、とんでもないことをしでかす。
こういう生き方、というか死に方。たぶん男にしか理解できない。
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佐藤究さんの小説は2冊ほど読んで、どちらも引き込まれる面白さだったが、この作品はちょっと…というかだいぶ自分には合わず途中で断念…
内容は空に憧れる少年が、一心不乱に空を追い求めるお話しで、文章の書き方が昔の文豪の作品を読んでるみたいで不思議な感覚に陥った。
でも難しさはなく、堅い文章なのにスラスラと読みやすかった。
ただ、とにかく少年が“空”を追い求めるという内容に読み手の私は興味がわかず、その追い求め方が少しサイコチックというか不気味に感じる所があり、ゾワっとさせてくれるところもあるのだが、途中まで読んで「もういいかな、、」と思ってしまった。
これはだいぶ好みが分かれるかもしれない。
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航空宇宙自衛隊の天才パイロット
易永透2000年四谷生まれ
両親が離婚、真言宗の祖父と暮らす
成績優秀、高卒で航空学生、トップで戦闘機パイロットになる。
祖父から護国の意味を問われるが飛ぶとこにしか
興味がないと答える
天才パイロットと呼ばれるが自衛隊向きではない
米軍との演習でも天才ぶりを披露
音速以上で体が蛇がまとわりつく経験
検査の結果、飛行機に異常なし
戦闘機のパイロット資格なくなり辞める
タイへ航空パイロットの教官をしにいくが仕事がこない、軍隊経験者優先
バングラデシュの輸送パイロットになる
ジャングルにF-35Bを不時着させた亡命パイロットがたまたま居合わせた少年にUFOから降りた宇宙人と思われ射殺
その話を聞いた元パイロットは戦闘機に乗る計画をたてる
売り先候補、ロシアと中国はさけたい
地元革命グループの紹介
着陸場所はセイロン
修理と滑走路工事が開始
完成するとパイロットは飛びたつ
セイロンとは逆、メコン川上空でタイ軍のスクランブルに見つかりミサイルで撃ち落とされた
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凄く面白かったんだけどどう気持ちを纏めればいいか…
三島由紀夫、仏教、護国、戦闘機、速度、メカニック描写、自衛隊、挫折、蛇、「CLEARED FOR TAKEOFF」、タイ、バングラデシュ、紙飛行機…
さまざまな要素があるのに膨大な取材で裏打ちされた情感あふれる描写で細部まで現実感を感じさせてくれるにも関わらず、文章が簡潔というか詩的でさえあって読んでいて本当に心地よかったです。
佐藤さんの世界の弾かれ者に対する視線や、そういった人がどうやって世界に抗うのか、生きた証を残すのか、この先の作品にも表されそうで楽しみにしたいと思います。
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冒頭からすんなり惹き込まれた。
そして、ずっと最後まで穏やかな物語の世界の中に包みこまれた印象でした。
空を美しく飛ぶことを追い続けた男の一生、感動モノでした。
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事前に内容を全く知らずに読めてよかったかも
いろんなかたちでヘビが現れてなんか不穏だし三島由紀夫の引用や自衛隊になった主人公も不穏だしで(最初クーデターでも起こすのかと思った)ハラハラしたけど、結局戦闘機に乗りたい一心だったので良かった 良くはないけど
それを考えると子供時代に棺桶に入ってたのも最初に戻る感じで良かった
表紙、なんで赤にしなかったんだろうな 赤のほうが良いのにな〜
2回も階段から落ちた友だちはどうなったんだろう 最期の事件のニュースは見るんだろうけど、まさか乗ってたのが主人公だとは思わずにそのまま日常を過ごすんだろうな
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三島由紀夫をまったく読んだことがないので、帯に書いてあった三島由紀夫×トップガンと言う煽り文句の実感が湧かなかったのがちょっと申し訳なかったのだけど、きっと三島由紀夫を読んでいたらもっと楽しかったのかな?
でも正直な話三島由紀夫を読んでなくたってとても楽しかった!
空と戦闘機に見せられた主人公透の数奇な人生。
殺人事件や難解なトリック、色恋沙汰みたいな分かりやすいテーマは無いけど、人生や生き方を考えるような禅問答の様な感覚。
そしてあの終わり方。
個人的には後味を引くあぁ言う終わり方の話は凄く好き。
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三島由紀夫さんの作品は金閣寺しか読んだことがありませんが、主人公のストイックさに繋がるものがあったのか。舞台が日本、タイ、バングラディシュと動くストーリーもわかる気がしました
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少年の頃から航空機に憧れ、やがて戦闘機パイロットとなった易永透の人生を描いた作品。
もう、早々に心を鷲掴みにされ一気読み!
パイロットを目指し、ストイックに黙々と努力し続ける透がすごい。
自衛隊戦闘機パイロットとして生きた透と日本を離れてからのその後、先が気になって夢中で読みました。
ひたすらに何かを追い求める人の物語には、人を引き付ける力があると思う。
個人的に「航空機」や「パイロット」についてのストーリーは好きなので、専門的描写はとても興味深かった。
舞台が異国になってからは雰囲気が変わり、ある出会いからは余計に先が気になりページをめくる手が止まりませんでした。
飛行シーンもいい!気分は「トップガン」の世界。
ちょっと予想外な部分もあった。私だけかもしれないけど、ラストは少し物悲しい感じがしました。
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この作品は、当に「読む劇薬」です。
用法用量を誤ると、猛毒となる惧れがあります。
と、書きたくなる程に、惹き込まれました。
あのような、崇高ささえ覚えるラストは久々でした
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三島由紀夫×トップガンという触れ込みに興味をそそられ。
三島のファンじゃないが。若い頃そこそこ読んだが面白かったのは『春の雪』『奔馬』くらいか。思想については全然知らない。
トップガンマーヴェリックは楽しく見た。
現在より少しだけ未来の話。物語が進むにつれ舞台は日本、タイ、バングラデシュへと移っていく。
主人公は空を飛ぶことに憑かれた男。戦闘機乗りになるべく自衛隊に入隊する。しかし本人に護国の意識はない。たぶんこの護国が本書の鍵概念なのだろうが直接には語られず主人公の行動を通じて読者が思考するような結構になっている。
トップガンのようなドッグファイトの場面はほぼない(シミュレーションのみ)。
もっとわかりやすいエンタメよりの話かと思ったが読んでみたら硬かった。専門用語が頻出。終盤の主人公の行動の動機が掴めなかったのだが三島の割腹と重なっているのだろうか。英雄的な死への憧憬を排除したと著者が語っていたのを読んだがこれでよかったと思う。
ラストに鉄ではなく紙が来るのがいい。
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佐藤究氏の本を初めて手にした。一気読みだった。この著者の文体でずっと航空小説を読んでいたいと思った。
つい先日、小松基地航空祭で、画面越しではなく自分の目で初めて、F15戦闘機の機動を見た。美しいんだ。本当に。
第一部の三沢基地航空祭2016で飛ぶF16の機動飛行(YouTubeでまだ見られる)の描写、それから、航空宇宙自衛隊員となった易永透が、米軍との共同訓練でF35Aを駆る場面の描写、海面スレスレの背面飛行からの逆さハイレート…アグレッサーを嘲笑うような機動!この著者の文体でずっと航空小説を読んでいたいと思った。鮮やかで、自由で、危うい。
F35が物語に引き寄せられるように不時着した時から、易永透はこれに乗るんだろう、乗って飛んでほしいなと思ってた。だけど、それは、彼の死を意味するもので、平和な日常にキリキリと締め付けられるような…そう、時々思い返すように挿入される蛇のイメージ。蛇が鼠を締めるように、死へ収束していく、そんな気分を味わう物語だった。
参考文献にたくさん書名が上がる三島由紀夫については、その著作をわたしは一冊も読んでない。いつか読んだらこの幽玄Fとの関わりを知るのかもしれない。それはまだ読書の楽しみがあるという事だから、無知だって良いのだ!(偉そうに胸を張る部分ではないけども)
三島由紀夫は知らないけど、わたしは戦闘妖精雪風シリーズ(神林長平)が大好きなので、易永透に、つい雪風のパイロット深井零の影を見てしまう。こじつけがましく、もう、名前から。
透という名。すかす、とおりぬける、すける。掴めない、有るのに無い、みたいな意味の名だ。零という名も、有るのに無い名前だから、似てる。そして、機械と一体になったような飛行センス。最新鋭の機体を駆動して…とある事故により、飛べなくなる事も、被って見えた。
自分を見失った深井零はメイヴ雪風に呼び戻され、ふたたび空を飛んだ。護国の空を離れた易永透も長い休暇の果てに、ただの航空機となっていた"F35"に〈呼ばれ〉たんだ。
易永透がタイを経由して数年間過ごしたバングラデシュ。そこで観光客を乗せて小さなプロペラ機を飛ばす日々。経歴よりも俺を見てくれ的な考えが魅力的なエンジニアのニルと、自分で設計した飛行機を自分で飛ばすんだと言うストリートチルドレンのショフィクルとの交流。これがこのまま続いても良いんじゃないか。いや、何か起こる。あの伏線が関わるはず… とページを捲る。
戦闘機F35は「破壊の使者」。人間の闘争心とナショナリズムに呪われた乗り物だ。だけど、物語の最後に透の乗った不時着したF35はナショナリズムにも、護国の任務にも囚われない、非暴力な、ただの音速を超えて飛ぶ機械として、空に上がって、消えた。消された。
自由になった超音速戦闘機に生存意義が無いように、闘争心もなくナショナリズムも無い人間が生きる場所も、地球には少ないのかもしれない。
高校生の透が、絵の具では見つからない空の色を求めて美術教師に教わった〈心理補色〉。赤の残像で青緑(シアン)が見えるという。唐突に挿入されるエピソードが印象的だった。内表紙の蛇の描かれた赤と、���の外の深い青色のカバーの事を考えた。透の最期に空の青さが死の補色なのだと回想されるのがキレイで孤独で哀しかった。
そして、エピローグの紙飛行機の白が鮮やか。
空への憧れは∞だ!「人間は空を見上げて、なぜか自由を夢見る」(P102)そういう生き物なんだから。
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個人的にこの数年に出会った日本人作家の中で最も衝撃を受けた作家の一人である佐藤究が、直木賞受賞作である『テスカトリポカ』から受賞後第一作として執筆した新作長編。もう今回も期待を全く裏切らずない完成度であり、一気呵成に読了してしまった。
『幽玄F』というなんとも形容しがたくペダンティックな匂いもするタイトルであるが、この不思議なタイトルの意味はラストにおいてクリアに理解される。テーマは最新の軍事兵器である戦闘機であり、幼い頃から戦闘機に魅せられた超エリートの航空宇宙自衛隊員の男が主人公である。
自衛隊員を主人公としていることから、当然に”護国”という概念が言及される本作では、同概念、ひいては自衛隊というもの自体に強い情念を持っていた三島由紀夫の傑作、『豊穣の海』がレファレンスとして扱われている。ある種、三島由紀夫の『豊穣の海』に対する一種のアンサーとしての思想を秘めつつ、物語としてのエンターテイメント性も決して失われてはいないという奇跡的なバランスの傑作。
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超高速に取り憑かれた寡黙な主人公。コックピット内で重力に抗う様が蛇に巻きつかれているよう。
読んでいるこちらも窒息しそう。実写化されたら柄本佑あたりに演じてもらいたいかな〜