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紙の本
文学が裁く戦争 東京裁判から現代へ (岩波新書 新赤版)
著者 金 ヨンロン (著)
文学は戦争を抑止するために何ができるのか。1940年代後半から現在まで、時代の要請のもとに生み出されてきた、戦争裁判をテーマとした主要な作品と作家を取り上げて、新たな文学...
文学が裁く戦争 東京裁判から現代へ (岩波新書 新赤版)
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商品説明
文学は戦争を抑止するために何ができるのか。1940年代後半から現在まで、時代の要請のもとに生み出されてきた、戦争裁判をテーマとした主要な作品と作家を取り上げて、新たな文学史を描く。【「TRC MARC」の商品解説】
文学は戦争を抑止するために何ができるのか。連合国による戦争裁判が終結した後も、日本文学は、法が裁けなかった罪を問い直し、戦争の暴力に向き合い続けてきた。一九四〇年代後半から現在まで、時代の要請のもとに生み出されてきた、戦争裁判をテーマとした主要な作品と作家を取り上げて、新たな文学史を描く。【商品解説】
一九四〇年代後半から現在まで、戦争裁判をテーマとした主要な作品とを取り上げて、戦争を裁き直そうとした文学の流れを描く。【本の内容】
目次
- はじめに
- 第一章 東京裁判と同時代作家たち
- 1 傍聴人としての作家たち――川端康成、大佛次郎
- 2 裁判が残すもの――中山義秀、中野重治、宮本百合子
- 3 文学の前景としての戦争裁判――梅崎春生、久生十蘭、林芙美子
- 第二章 BC級裁判が突きつけたもの(一九五〇年代)
- 1 スガモプリズンの群像――火野葦平『戦争犯罪人』と安部公房「壁あつき部屋」
- 2 BC級裁判と女性たち――大原富枝「巣鴨の恋人」と樋口茂子『非情の庭』
著者紹介
金 ヨンロン
- 略歴
- 〈金ヨンロン〉韓国ソウル生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。大妻女子大学文学部専任講師。博士(学術)。著書に「「言論統制」の近代を問いなおす」など。
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紙の本
東京裁判で戦争犯罪を裁ききれたのか、文学で追えるのか
2024/01/07 20:24
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雑多な本読み - この投稿者のレビュー一覧を見る
第二次世界大戦において、1945年8月に日本の敗戦が確定し、ポツダム宣言を受諾した。この宣言受諾により戦争犯罪人が処罰されることになる。本書でも戦犯についての解説がある。A級は平和に対する罪、B級は通常の戦争犯罪で、民間人殺害、捕虜虐待等が該当する。C級は人道に対する罪で、ここに上下はなく分類となる。A級、C級という分類はポツダム宣言から始まるといわれ、その後の戦争犯罪の処罰基準となり、現在を生きる人から見ると当然となる。東京裁判でA級による死刑を含む処罰が下され、B、C級は他の裁判で処罰されていく。この裁判に対し、多くの角度から批判されているが、捕虜となった欧米軍人に対する処罰に比重がかかっているように思われる。
本書は裁判で裁かれなかったことに対して、戦後の文学作品が取り上げているが、時間の経過や政治情勢の変化に応じて、東京裁判等に対し、あるいは裁かれなかったことに対し、どう展開されているかを追っている。コンパクトだが内容は豊富である。目次を見ると、
はじめに
第1章 東京裁判と同時代作家たち
第2章 BC級裁判が突きつけたもの(1950年代)
第3章 裁かれなかった残虐行為(1960年代)
第4章 ベトナム戦争とよみがえる東京裁判(1970年代)
第5章 経済大国と混迷する戦争裁判観(1980年代)
第6章 記憶をめぐる法廷(1990年代から2000年代)
第7章 戦争裁判と文学の今と未来(2010年代以降)
おわりに
主要参考文献、図版出典一覧、あとがき となっている。
以上のように展開される。どうしてもA級戦犯に目が向きがちであり、B、C級戦犯として処罰されたことを取り上げる作品が出てくる。戦時中は植民地であった朝鮮半島、台湾から兵として出され、上官の命令で捕虜虐待をした人々が死刑を含む処罰を受けていることが作品に反映される。ベトナム戦争の時代、日本が経済成長していた時代から失われた20年や30年といわれる時代で作品の取り上げ方や史観の変化が出てくる。著者は本書で触れられた文学作品を読むにあたり、戦争経験のないわけであるから、犠牲者にも加害者にも傍観者にも過剰に同一化せず、戦争犯罪の再審を求める作品に対し、様々な立場からアプローチすることを求めている。具体的な内容まで触れないが、一読してほしい本である。