目次
泉鏡花の演劇 小説と戯曲が交差するところ
- 鈴木 彩(著)
- 序論
- 一 原作者にして、脚色者
- 二 “アダプテーション研究”と本書
- 三 戯曲形式のテクストから鏡花をみる意義
- 第一部 作りかえる泉鏡花・作りかえられる泉鏡花
- *コラム1 「“語り”の視点」
- 第一章 「かきぬき白鷺の一二節」の機能
- 一 一人称・回想体小説の演劇化
- 二 小説「白鷺」は誰に、何を語るのか
- 三 原作を代替する試み
- 四 物語の統括者から、劇中人物へ
- 五 芸妓からの解放
- 第二章 「南地心中」と「鳥笛」「公孫樹下」の人物描写
- 一 視点人物「初阪もの」の消失
- 二 〈執着する、人間ならざる女〉
- 三 目に見えるもの/見えないもの
- 四 観客という視点
- *コラム2 「「新派悲劇」と「鏡花物」」
- 第三章 新派劇〈婦系図〉と原作テクスト
- 一 原作者による書き改め
- 二 意識される原作
- 三 引用される原作
- 四 お蔦の造形
- 五 主税の造形
- 第四章 〈瀧の白糸〉上演史における「錦染瀧白糸」の位置
- 一 「錦染瀧白糸」に対する従来の評価
- 二 「欣弥妹」の物語
- 三 新派劇〈錦染瀧白糸〉という文脈
- 四 「欣弥妹」から「撫子」への変化がもたらす影響
- 五 「錦染瀧白糸」「義血俠血」における白糸と欣弥の関係
- 第五章 原作「日本橋」のその先へ
- 一 監修者としての泉鏡花
- 二 「戯曲日本橋」は理解しやすい作品になったか
- 三 怪異譚としての「日本橋」の可能性
- 四 イメージの拡散から限定へ
- 五 原作から新たな物語へ
- 第六章 伝説から「海神別荘」へ・「海神別荘」から歌劇へ
- 一 「海神別荘」の過去と未来
- 二 古典文学・伝説における人間の眼差し
- 三 陸と海の価値観、その融合
- 四 「愛」と「心」が導く共生
- *コラム3 「現代の泉鏡花上演」
- 第二部 演劇が上演される場と泉鏡花
- *コラム4 「再び“語り”の視点」
- 第七章 読者から観客へ
- 一 「深沙大王」に包含された「水鶏の里」
- 二 読者には〈見えない〉領域
- 三 戯曲の〈見えない〉領域
- *コラム5 「“演劇”を観る場」
- 第八章 劇場空間と怪異
- 一 「劇場」は私たちに何を見せるか
- 二 幕の裏に隠された異界
- 三 拙い芝居を観ることの意味
- 四 虚構が、虚構であることをやめる時
- 五 物語の消費者への問い
- 第九章 「紅玉」が描く「見立て」と「真似」の力学
- 一 「わが国初の野外劇」として
- 二 二つの「自然」
- 三 「見立て」と「真似」の論理
- 四 人間にできること・観客と俳優にできること
- 第十章 反転する吉原の価値
- 一 “幻想的戯曲”の系譜と「恋女房−吉原火事−」
- 二 「人」と「人」との対立
- 三 「魔もの」との対立
- 四 一つの対話と二つの物語
- 五 吉原が焼かれる理由
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