紙の本
対立とは
2003/03/25 07:27
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:五十棲達彦 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この著書のテーマは、冷戦後の世界の対立関係の分析と日本の選択についてである。
冷戦時代、世界は“イデオロギー”にもとづいて識別されていた。しかし、冷戦後は“文化”、もしくは“文明”にもとづいて識別されるとする。また、自らのアイデンテイテイーの危機に直面して、「われわれはいったい誰なのかという問いである」、と。
世界の主要文明は、西欧文明,東方正教会文明、中華文明、日本文明、イスラム文明、ヒンドウー文明、ラテンアメリカ文明、アフリカ文明に大きく分類される。
「パワーの構造」。ソビエトとアメリカが冷戦時代の二極軸であった。ところが、冷戦後はアメリカが、唯一の超大国として存在している“一極世界”構造になっている。しかし、こうした一極集中はアメリカを孤独の道に向かわせている。排他的な国家、アメリカ。
日本も孤独な国家である。日本は日本一国の孤独国家である点が、特異である。また、日本史において“革命”がなかった、と。この点に関しては、日本の歴史家の中で永年にわたって論争が続けられてきたが、世界史的には日本史上に革命がなかったと、みなされても致し方ないかもしれない。日本はアメリカ追従から中国追従(追随)に傾くと予測する。
また、東アジアの運命は、中国、アメリカ、日本が鍵を握っている、としている。
この著書のモチーフは、世界政治が文明や文化の境界線にそって再構成されているとしていることである。現在の国際政治のモデルは「一極・多極体制」である。一方の超大国アメリカが取る強制手段は「経済制裁」と「軍事介入」の2点である。その意味においても、アメリカは慈悲深い覇権国という幻想をすてなければいけない、としている。
人々は先祖や宗教、言語、歴史、価値観、習慣、制度などに関連して自分たちを定義する。
旧ユーゴスラヴィアでは、ロシア人がセルヴィヤ人を支援し、サウジアラビヤ、トルコ、イラン、リビヤはボスニア人を支援した。これも文化的な血縁意識のためである。
人類の歴史は文明の歴史である。文明は人々にアイデンテイテイーを与えてきた。
文明を定義する上で最も重要なもなは宗教である。文明はまた最も範囲の広い文化的なまとまりである。また、文明はきわめて永続的な実態である。
メルコによると メソポタミア、エジプト、クレタ、古代ギリシャ・ローマ、ビザンテイン、中央アメリカ、アンデスと中国、日本、インド、イスラム、西欧が文明とする。
冷戦後の国際関係の主要な舞台はアジアである。二つの中国、二つの朝鮮。しかし、親戚同士(同じ文明を共有する国家同士という意味)が戦うには限度がある。
ハンチントンは、「中国の発展は、アメリカにとってよりぬきさしならない挑戦となる可能性がある」としている。中国の台頭。中国脅威論。
中国の躍進とその課題に関しては、別途検討するに値する。
アフガン戦争と湾岸戦争の性格。文明間の最初の戦争。アフガン戦争(ソ連の軍事介入に対する、イスラム勢力とアメリカ軍の戦い)は、イスラムがジハード(聖戦)を戦い、自信と勢力が飛躍的に高まった。ソ連の敗北は、アメリカの技術、サウジアラビヤの資金、そしてイスラムの膨大な人口と宗教的な熱意による。アフガン戦争はその後の湾岸戦争、そして昨年の9・11テロから始まるアメリカのアフガン攻撃とイスラエルとアラブ間の紛争につながっていく。
ハンチントンの特異性は、後追い論ではなく、まさに今起きている時点でパースペクテイブに世界を捉え、理論化したところである。むしろ、世界史が後追いしているかの錯覚を覚えてしまう。冷戦後の世界は一つになるのではなく、文明間での衝突になるという先見性を、すでにベルリンの壁の崩壊前に構築していたことだ。
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国際情勢の未来について書かれた本で
話の内容は硬いものであったが
不思議と読みやすく面白かった。
この本では著者の他の作品からの抜粋や関連するする図表などを
用いて冷戦後の世界がたどり着くであろう
新しい勢力分布のモデルを提示している。
近い将来、日本は大きな戦争の中にいるのかもしれない…
戦争の危機が迫ったときに将来の選択肢を増やすためには
アメリカとの関係も大切だけど、中国・韓国との関係を
もっとよくしておく必要があるのかもしれない。
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80年代にかかれたんで、現状とはちょっと違うけど、現代の国際状況の構造を、冷戦時代と比較しながら、わかりやすく説明してくれています・・・(だよね、先生・・・?)
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最初に「文明の衝突」を手に取った時にはあまりの分厚さにひよってたんだけど、こっちは非常に読みやすくて、ハンチントン理論がよく分かった(気がする)。この本を読むのと読まないのとでは、国際ニュースの読み方が変わってくると思う。
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あまりにも有名な『文明の衝突』の新書版。
著者のハンチントン教授は、アメリカを代表する国際政治学者です。
ケネディ政権とカーター政権においてはホワイトハウスで外交・安全保障の政策立案に携わった経歴をもちます。
メインの部分が、単行本(原著)の5分の1くらいのページ数にまとめられてて、それプラスその後の論文2本が収録されています。
原著は分厚いし難しいけど、これは概念図とかついてるからわかりやすいからいいねぇ。
内容は一口に説明するのは難しいので、まぁ、読んでみてください。オススメ!!!
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冷戦構造も崩れ、これから世界はどうなるのか・・・。ユートピア的世界へと向かうのか。否、また衝突しあう。今度は、文明同士で。なぜ、文明の衝突が起こるのか。日本の世界的立場はどうなるのか。そして、その文明同士の対立を防ぐ手立ては・・・。
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文明の衝突って本をまだ読んでませんが、
この本も結構よかった。けど 難しかった。
アメリカと日本・韓国・パキスタン・アルゼンチン・イギリス・・・。
あと忘れちゃったけど、地域の第2強国?
の関係性とか結構面白かった。たぶんこの文章を読んでも説明不足でわからないかもしれませんが、
文明間の衝突が今後最も悲惨な展開へとつながるってことを書いていました。
文明は周辺の同じ文明を持つ人びとも巻き込むので。
日本は、日本特有の文明を持ち合わせるので、同じ文明を持つ同士より理解に難しいと書いてありました。
そこはうんでした。
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一極多極世界、文明間での衝突、といったハンチントンさんの視点がとても面白い。でも、文明というのは曖昧であり、他文明と相まって部分的に溶け合って存在すると考えていくと、衝突する境界線は存在するのかな。
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冷戦後の現在の状況を的確に表した本。
文明の衝突と大きな題目になっていますが、現実の世界で起こっていることで、根底に流れる共通項と異なるものとは、は除するために不幸ながら、紛争・戦争・テロなどが起こる。
文明の中で大きくしめる部分は「宗教」であるとしており、共感できる。
「イデオロギーが同じでも文化が違うものは離れていく」…旧ソ連、旧ユーゴスラビア
「イデオロギーが違っても文化が同じであれば一緒になる」…北朝鮮・韓国・中国、東西ドイツ
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ハーバード大学教授であるハンチントンの有名な「文明衝突論」の新書版(簡易版?)。文明衝突理論のレジュメと論文二篇を収録。薄いだが、興味深い。
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僕がサミュエル P ハンチントンを知ったのはあのオサマ ビン ラディンが声明で彼の有名な著書『文明の衝突』のことに触れていたからです。
本当は先に『文明の衝突』を読もうと思ったのですが、たまたま本屋で彼の新書を見つけたので先にこっちから見てしまおうというものでした。
内容は、冷戦までは国家はイデオロギーによって分類され(自由経済主義、共産主義、非同盟など)、その間での争いが起きていたが、冷戦崩壊後の国際秩序は文化、文明間でおこると彼は考える。
その上で世界の文明は以下の8つに分けられるという。西欧、ラテンアメリカ、アフリカ、イスラム、中国、ヒンドゥー、東方正教会、仏教、日本。
これらを踏まえて、これから国際秩序はどのようになるのか、どのような国際間の争いが起き、どのように対処していくべきなのかを解説。アメリカが中心の一極・多極世界の秩序についてや、それを取り巻く、地域大国、地域ナンバー2国家の関係など現在の国際関係を考える上で有用な内容が多い。
非常に読みやすく、こんな分析を1993年にしている人がいることに驚く。
また現在、彼が主張するようなことが起きている(イラク戦争など)ので政治、国際政治、国際関係論に興味のある人や『文明の衝突』を読みたいけど時間がない人は必読です。
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文明の衝突他論文の3本立て。
概念図なども使われていて話の筋自体は
納得できるが、なぜそうなるのか?という
証拠がはっきり示せないのがこの手の話の辛いところだろう。
他の原因と考えても説明できるという。
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ちょっと前に話題になった本。
卒論発表後のパーティでF教授が薦めていた本なのでつい読んでみた。
文明間の争いは絶えることなく続いていくのでしょうか。
宗教とは他者を排除し、攻撃するためのモチベーションとなるものなのか?と読んでいて強く違和感を覚えた。
まぁ私が無宗教だからでこその意見ですが。
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前著『文明の衝突』から、日本に関する部分を含む抜粋と、アメリカに関する新しい論文を加えた本。
とりあえず日本のことを知りたいのなら、こちらの方が量的に少ないので早い。
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ハンチントン!
新書にするには内容薄すぎじゃないかなぁ。同じことの繰り返し。
けどハンチントンの文明論はいま読んでもやっぱり新しい。