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LANケーブリングベーシックマニュアル TIA/EIA−568Aの実践的解説書 改訂版 みんなのレビュー
- ドナルド・スターリング (著), 赤木 保之 (訳)
- 税込価格:3,300円(30pt)
- 出版社:リックテレコム
- 発行年月:1999.9
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専門書
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紙の本
LANの配線にかかわるあらゆる情報について,2つのオープン標準を軸に詳しく実務的に解説
2000/10/05 18:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:吉川 明広 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は,実際にはきわめて重要でありながら,とかく軽く見られがちなLANのケーブリング(つまり,配線)に注目し,この特定分野についてのありとあらゆる情報をコンパクトにまとめ上げた意欲作である。解説の中心となっているのは,TIA/EIA-568AおよびISO/IEC 11801という2つのオープン標準だ。
筆者はまず,オープン化によって配線システムの標準化が進み,好みの製品を選べるようになったことを歓迎する一方で,ネットワーク配線についての責任の所在が個人のレベルに下りてきた,と指摘する。従来は電話会社やベンダーに任せっきりだった配線という仕事について,当事者がそれを理解し,計画し,施工し,検証し,管理しなければならないと言うのだ。実は,まさにこれが筆者を本書執筆へと駆り立てた動機であり,解説もこのシナリオに沿って展開されている。
前半部分は,メタル・ケーブルや光ファイバーの物性的特徴,データ伝送の変調方式,コネクタの種別,各種ネットワーク・アーキテクチャなど,いわば基礎分野の解説が続く。といっても,専門書にありがちな仕様の羅列ではない。実際にどこまで必要かというレベルの見極めが適切なうえ,文章も平易なので,科学読み物のような感覚で読める。
対して後半部分は,配線の構造,配線システムの施工と検証,文書化と管理など,それこそ筆者が最も強調したかったであろう実践的なノウハウが満載だ。「ケーブルの最小曲げ半径を守れ」,「ケーブル量は導管空間の50%以内にせよ」などといった具体的な注意事項は,きっと現場で役立つに違いない。
ちなみに本書の訳者は,著名なコネクター製造企業であるAMP Inc.での勤務経験を持つケーブリングの事情通。この訳者が加筆した巻末の「増補」では,カテゴリー6/7のメタル・ケーブルやギガビット・イーサネットの配線技術など,比較的新しい情報が扱われている。本書の“網羅性”が,この記事によってさらに強化されていることを付記しておこう。
(C) ブックレビュー社 2000
紙の本
ケーブルがつながっていれば、動くと思っていませんか?
2000/08/03 09:48
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投稿者:口車大王 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ケーブルなんて、つながっていればいい。
全く、「通産省認定システムインテグレータ企業」という看板を出している企業が、LANに対してこんな認識であったりする。また工事業者も、めちゃくちゃな配線工事をやったりしているのである。したがって、しろうとさんがそう思っても当然である。
ところが、LANの通信速度が向上し、10Mbpsだったものが100Mbpsになり、さらに1Gbpsというスピードになると、そうは簡単にはいかない。困ったことに100Mbpsのつもりでいても、最近の接続装置は通信できなければ勝手に10Mbpsに切り替えてしまう。すなわち、とりあえず動いてしまうから、「なんか100Mbpsにしたわりには遅いなぁ。」と思い込んでしまう。Windows95が登場して5年、パソコンLANが一気に普及するのに貢献したが、パソコンLANを支えるネットワークに対する知識と技能が追いつかなかった。ここに来てLAN配線のトラブルが、高速化と相まって一気に吹き出した。
なぜこんなことになるのかというと、LAN配線工事に関する基本的なことを記述した解説書が、長く日本にはなかったのである。しかも、電源工事と電話工事には国家資格があるが、LAN配線工事には国家資格も何もないこと、皆さんご存知であろうか。すなわち、「だれでもできる」のである。それではLAN配線工事の品質が悪くなっても当然である。
本書は、LAN配線工事業者にとってはバイブルのような本である。またしろうとであるユーザーにとっても、工事業者がちゃんと工事をしているか、確認するための指針を提示するものである。専門書であるから技術用語とかたくさん出てきて訳がわからないかもしれないが、工事業者の目につくところに、この本をさりげなく置いておくのである。効果はてきめんである!!本にはこういう使い方もある。
本書の著者の肩書きを見ると、「英語修学士、技術文書の著述を得意とする」となっている。すなわち、LAN配線工事の専門家ではない。しかし、わかりやすく解説書を書くプロである。「専門家であれば、なんでもできる」と思われている、逆に「専門家でなければ、耳を傾けるに値しない。」と思われている日本ではあり得ないことである。すなわちこのような解説書を書くことはプレゼンテーションのひとつであるが、日本ではこのプレゼンテーションの重要性が理解されていない。アメリカが良くて日本がダメだとは言いたくないが、こればかりは残念ながらその通りである。
身近にコンピュータネットワークシステムがあるのなら、必須の一冊である。
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