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みんなのレビュー33件

みんなの評価4.0

評価内訳

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  • 星 1 (0件)
30 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

これまでにない探偵の登場

2000/10/20 23:43

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ひで - この投稿者のレビュー一覧を見る

 人の感覚は個々人の主観に寄るところが大きい。もちろん感覚の良し悪しもあるし、それを理解する脳内の問題もある。特に問題がない人同士でも、もし体が入れ替わったらどれだけ違う世界が見えるのだろうか。きっとそれは想像のつかない世界なのだろう。それは感覚が異常発達した人間とならなおさらである。

 片桐稔は姉の家で暴漢に襲われ1ヶ月間意識不明になる。意識の戻った稔は自分が犬以上の嗅覚を得たことを知る。そして姉が殺されていたことを知った稔は同じ手口の事件が連続していることを知り嗅覚を使った捜査を始める。またバンド仲間の一人の行方が分からなくなっていることも知り、テレビの取材に応じることを条件にマスコミの力を借り捜査を始める稔。嗅覚により犯人痕跡を追い友人の行方を探る。果たして犯人を探すことはできるのか。

 井上夢人氏の最も優れた点はその発想力もさることながら、表現力にあるといえる。本作でもそれは遺憾なく発揮されている。文中で主人公が語るように匂いの表現はあまりに主観的である。それを克服するために匂いを色と形で表現する発想、それを読者に伝えきる文章力、その両者が相まって本作が成り立っている。その匂いの世界は詩的と言える。様々な形の様々な色をした匂いの粒が空中を漂い変化し続ける世界。それを氏はまるで自分が体験しているかのように描く。この世界は理解するにつれ、そのおもしろさにどっぷりと浸かっていくだろう。

 また本作はそんな嗅覚を身につけてしまった主人公の孤独感を描いている。真の天才は狂人のそれに近く周囲は全く理解できない。同じように本作の主人公もまた周りに理解されない。学者にはモルモットにされ、マスコミには見せ物にされる。そんな中でひたすら殺された姉と失踪した友人のために自らの能力を使い続ける主人公の姿には感動さえ覚える。とかく日本社会は突出した能力の持ち主を否定する世界ではあるが、そんな社会に対し挑んでいるようにも見える。本作はミステリとしてももちろん色々な意味で楽しめる作品である。

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紙の本

着眼点のすごさ

2002/06/14 20:51

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:大仏 - この投稿者のレビュー一覧を見る

もう、この本は文句なしの最高評価だと思います。
特殊能力を持った主人公の話は、数多くありますが。
まさか、嗅覚なんていう私たちが、常に接している能力を選ぶとは。
万が一ほかの作家が、嗅覚に着目したとしても、ここまである程度乱暴に、そして滑らかに書けるものだろうか。
この本のすごさは、その特殊能力のみによって作られているのではない。
ミステリー小説の核である、犯人の推理でもナカナカ読ませてくれる本である。

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紙の本

驚異の臭覚小説

2001/05/18 06:09

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:旅歌 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 SFっぽい雰囲気を漂わせながらも、SFとは言い切れないような…。では、ミステリかといえば、もちろんミステリなのだが、異色さが際立っていて他の追随を許さない。こんなボーダーレス、クロスオーバーな作風が井上さんの特色なのですね。『ダレカガナカニイル…』もそうだったな。岡嶋二人のころの作品はそれほど読んでないが、紛れも無く中心はこのお方だったのですねぇ。

 この物語の何が異色といえば、発想なのだ。臭覚、なのである。更に凄いのは、匂いを臭覚として感知して鼻の知覚のみで終わらせない。おかしな書き方だが、なんとこの主人公は匂いを目で見てしまうのだ。豊かな逆転の発想。更に更にワンアイディアで終わらない。この匂いを視覚で検知する感覚の周辺、つまりそれによって起きうるあらゆる事態を想定して、細かくディテールを積み上げてリアリティを演出する。主人公は、普通の人間の数百万倍から数億倍の臭覚を持つ男、ミノルだ。ミノルが視覚的に臭覚を検知する術を会得してから、世界が全てミステリになる。世界はなんとミステリに満ち溢れていることか。

 こんなミノルが、姉を殺したシリアル・キラーを追う。緻密な構成で、かなり読ませる。ミステリ的な楽しみが随所に散りばめられていて、犯人の境遇などが明かされてからは一気読みだ。意外なところから、意外につながる点と線のおもしろさ。臭覚を画期的に扱ったおもしろさはもちろん、その能力が生むサスペンスも詳細に描かれ、まさに異色のミステリ小説に仕上がったと思う。

 へんに頭でっかちにならないところが、さすがに手練のエンターテイメント作家なのだ。このテーマを捏ね繰り回せば、人間の知覚の危うさ、世界の危うさ、とかね。意識しなくても文学的、あるいは哲学的で頭でっかちな物語に陥りやすいと思うのだ。それの方が簡単だしね。そういう作品の方が出来が良いように思われがちのような…。逆もまたで、犬並みの臭覚を持ったハンターに終始してしまえば、陳腐な三文小説になったことでしょう。

 そんな題材をバランスよく、良質なエンターテイメントに消化したところに、この作家の良さというか個性があると思うし、作品的成功があるのだと思う。作者が具体的に道を指し示さなくても、読者によっては言外の意図を読み取るもの。傑作だ。

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2004/10/02 18:09

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2006/06/11 09:41

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2006/09/11 00:36

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2007/03/08 20:18

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2007/03/28 13:17

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2007/05/27 18:12

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2007/09/26 15:22

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2008/03/18 02:02

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2005/06/01 14:39

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2009/06/05 16:06

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2010/02/14 03:19

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