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イタリア使節の幕末見聞記 みんなのレビュー
- V.F.アルミニヨン (著), 大久保 昭男 (訳)
- 税込価格:946円(8pt)
- 出版社:講談社
- 発行年月:2000.2
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文庫
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紙の本
今も昔も、国際外交は複雑
2006/08/05 13:49
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:朝光 - この投稿者のレビュー一覧を見る
江戸時代末期、各国が日本と通商条約を結びました。この本は、イタリア代表と任命され、幕府に8番目の国として通商条約交渉を行った著者の記録です。
当時アメリカは、①アジアでの捕鯨基地の確保、②貿易市場の確保、③中国貿易においてイギリスに勝つための燃料(石炭)の確保。という3つの狙いで日本に開国を迫りました。
イタリアは、悪疫の流行により養蚕産業が危機的になり、日本の蚕卵紙が欲しく通商を迫りにきました。 江戸幕府はこれ以上通商相手を増やしたいとは考えておらず交渉を渋りますが、イタリア代表は既に通商条約を結び終わった他の欧州の国々の協力を得て、江戸幕府に迫ってゆきます。 一方、欧州ではイタリア、プロシア、オーストリアなどの戦争が勃発しており、日本に来ている各国の間でも緊張が増してゆきます。イタリア代表も母国がどうなって行くのかなかなか分からない中、対日本の交渉を進めることになります。
結局、1866年8月25日に日伊修好通商条約が結ばれます。明治維新の直前です。 この本は、日本と外国との外交を、外国からの視点で見ることができる面白いものです。いつの時代でも、外交は、経済損得と各国連携での圧力、政治のタイミングを複雑に組み合わせて行うものという事が良く分かります。
単純に良い悪いとか、好き嫌い、などという観点での考えにとかく流されやすい日本人は、もっと冷静さや裏も見抜く視点を持って外交を考える必要があるという事を改めて感じさせられました。 平易な文で書かれており、欧州人から見ての日本文化に対する素直な驚きも分かります。例えば、日本の体制を神聖ローマ帝国に似ているなど比較し、色々と思わぬ切り口が述べられていて、ナルホドそういう見方もあるのか、、と感心させられました。
日常文化に対する見方も新鮮です。
江戸以前に日本に来た外国人の記述には、特に当時の日本人の身体能力に対する驚きがよく出てきます。この本でも、別当(馬の世話をする人)が遠距離も含めて外出する時には、きまって一緒についてきて馬と一緒に走り馬を休ませている間に世話をするという記述があります。馬並みに早く走り、馬よりもタフということです。
現代では忘れ去られてしまった身体活用法が当時はあったという事なのだろうと思います。
日本人を知るという意味でも当時の外人見聞録はお勧めです。
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