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転換期の東アジアと日本企業 みんなのレビュー
- 青木 昌彦 (編著), 寺西 重郎 (編著)
- 税込価格:2,970円(27pt)
- 出版社:東洋経済新報社
- 発行年月:2000.3
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紙の本
日本経済新聞2000/4/2朝刊
2000/10/21 00:17
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投稿者:藤村幸義 - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近のアジア経済の回復ぶりをみていると、経済危機などどこかに吹き飛んでしまったかに思えてくる。危機の発生直後には、多くの専門家が争うように危機の原因分析に走ったが、最近はそれも下火になってしまった。
アジア経済危機とは結局、何だったのか。危機を引き起こした元凶はどこまで除去されたのか。いま必要なのは、アジア各国が危機発生後にたどってきた経過を正確に把握し検証する作業である。それなしには、最近の回復ぶりが本物かどうか判断できないし、アジアの未来がどうなるか、変化の方向も見極められない。
本書は危機発生の一カ月前に始まった研究プロジェクトの中間的な報告書である。当初の問題意識は、経済のグローバル化が進む中で、アジアがダイナミズムを維持しようとするなら、従来の制度的な枠組みの手直しが必要になってこよう、というものだった。
ところが危機発生で状況は一変する。一時は「アジア・モデルの終焉(しゅうえん)、アメリカン・モデルの勝利」など、制度の手直しどころか発展そのものを否定する声も聞かれた。しかし同プロジェクトでは、アジア危機を「世界的な金融アーキテクチャーの未整備とアジア国内の金融制度の未成熟の相互作用によってもたらされた」ととらえ、あくまでも制度の未成熟さに原因を求めた。
もっとも多少気になったのは、各章によって「制度の未熟さ」に対する認識に差があることだ。
深川由起子青山学院大学助教授が執筆する第六章では、危機後に韓国でどのような制度の見直し、補強がなされてきたかを具体的に追跡している。その上で、韓国は比較的早く取り組みを始めただけに、それなりの成果を収めているものの、まだ残された課題は多いと指摘している。取り組みの遅れている他のアジア諸国は推して知るべしであろう。
ところが他章では、より楽観的な記述が見られる。分担執筆の宿命ともいえよう。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000
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