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高い評価の役に立ったレビュー
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2011/01/31 08:11
雪ふりつむ
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
肩にひとひらの雪が舞いおちたかのように、ふいに浅田次郎さんの『鉄道員(ぽっぽや)』が読みたくなった。きっと先日佐々木潔さんの絵本『ゆきのひ』を読んだせいだ。
あの絵本に描かれていた雪をかぶった小さな駅舎のホームで雪かきをする駅員に、『鉄道員(ぽっぽや)』の主人公乙松のまっすぐに背筋を伸ばし手旗を振る姿が重なる。そして、乙松の死んだ娘雪子の愛らしい笑顔もまた。
『鉄道員(ぽっぽや)』は人気作家浅田次郎さんの出発地点にある作品です。この作品で第117回直木賞を受賞されています。
舞台は北海道幌舞の小さな駅。もうすぐ定年を迎える駅長佐藤乙松が主人公の、雪のように切ない、物語です。
乙松は定年後どんな仕事にも就くつもりはありません。友人の仙次が系列の駅ビルの重役になるような、そんな器用な生き方ができない、根っからの鉄道員(ぽっぽや)なのです。なにしろ乙松は妻の死にも幼い娘の雪子の死にも立ち会うことがなかったのですから。人はそんな乙松を非難しますが、乙松はじっと悲しみを堪え、駅のホームに立ち続けるのです。
「ポッポヤはどんなときだって涙のかわりに笛を吹き、げんこのかわりに旗を振り、大声でわめくかわりに、喚呼の裏声を絞らねければならないのだった。ポッポヤの苦労とはそういうものだった」
そんな乙松の寂しい正月に一人の小さな女の子がやってきます。女の子は次の日も、またその次の日も乙松の駅舎を訪れます。やがて、高校生の姿で乙松の前に立つその子こそ、幼くしてなくなった乙松の娘雪子なのです。
それは乙松の幻覚でしょうか。それとも雪の幻想でしょうか。
雪降る小さな駅舎を舞台にしたこの作品はいつの時代にあっても多くの人に感動をくれます。雪がしずかにつもるように、心にしみこんでくる名作です。
◆この書評のこぼれ話は「本のブログ ほん☆たす」でお読みいただけます。
低い評価の役に立ったレビュー
3人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2001/03/05 00:34
いやー、典型的な「ラブレター」賛歌に対する一つの見方
投稿者:katokt - この投稿者のレビュー一覧を見る
別にもう一つの書評を意識したわけではないが、一人が思ってる背景には、10人の同じことを思ってる人はいるということなので、「ラブレター」なんぞ取り上げて見ましょうか。
どこかで一番よかった恋愛小説なんて書いてあったけど、かわいそうに。いい小説読んだことがないんだね。たしかにいい小説になれる可能性を秘めてたことは認めるけど、なりそこねてるよ。
「もし会えたなら、お願いひとつだけ。私を吾郎さんのお墓に入れてくれますか」
もっとましなお願いを思いつかなかったんだろうか、この話では手紙の外が汚れていれば汚れているほど、手紙の中がキレイじゃなきゃいけないはずなのに、そのキレイさが徹底していない。例えば中国語でももっとキレイな言葉を見つけられるはず。そこらへんの書き飛ばしを感じずに、一番よかった恋愛小説なんていってるのはやっぱりかわいそう…
初出